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酒場の親父は転生者  作者: 乱世の奸雄
酒場の親父は転生者 第一巻
9/51

とある酒場の経営事情

 俺がメセルブルグにやってきてから、一ヶ月が経過していた。

 そう、やる気に満ちた酒場の親父開始初日から一ヶ月だ。

 そして、俺は今、ベッドにつっぷしてゴロゴロしていた。

今日から、三日間臨時休業することになったのを幸いとして、惰眠を貪っている訳である。

 その理由はと言えば、あまりの忙しさにハンナさんが過労でダウンしてしまったからだ。

 正直、この一ヶ月間はあり得ないぐらい忙しかった。とにかく必死に目の前の仕事を片付けると一日が終わり、泥のように眠った後、起きたらまた同じ日常が繰り返される。

 色々と非効率な仕事をしていると頭では解っているのだが、それを改善したくとも目の前の仕事に追われてその余裕が持てない。完全な負のスパイラルに陥っていた。

 そして、昨日ハンナさんが過労で倒れたと言う結果につながってしまったのである。

 このままでは拙いので、なんとか打開策を見つけなければならない。

 どこから手を付ければ良いか考えるため、まずは改善すべき部分を見つけるべく、俺はここ一ヶ月の記憶を辿り始めた。



 初日の営業は、いつもの常連達にゴードンという寂しいものだった。

 そう言う意味では不安な門出と言えるだろう。

 だが俺はそれどころでは無く、常連達に俺の料理が受け入れられるかどうか、その事ばかりを気にして緊張していた。

 いつもは乾物と酒しか頼まない彼らが、試験と称して料理も頼んでくれる。

 俺は不安な面持ちながら、彼らに俺が作った『兎と野菜のスープ』を提供する。

 結果としては、概ね好評もしくはもう少し頑張りましょうと言ったところか、薄いと言うものや、丁度良いというもの、総論としては「ジルには及ばないが、まあまあ旨い」という、曖昧なものだった。

 多分、ジルは他に香辛料か材料を使っていたのだろうと思う、それが何か解らないが、工夫する余地があることだけは解ったので「精進します」と頭を下げておいた。ひとまず受け入れられたと思っておく。

 なんとか最低限の合格点は貰えた感じなので、その場には弛緩した空気が流れ、酔っぱらい達の取り留めの無い会話が繰り広げられる。

 話題が尽きかけたのだろう、それともよほど印象深かったのか、ゴードンが昼間に食べたハムサンドもどきの話をし始める。ハンナもそれに相槌を打ち、興味を持った常連達は俺に作れと言ってきた。

 そうなると、断る事は出来ない。常連達はこの店の最後の砦で有り、俺の就職を後押ししてくれた恩人でもあった。

 俺は調理に不向きな鍋をフライパン代わりに使って、何とか人数分のハムサンドを作り上げ提供した。

 コイツは何故か、常連客達にも大好評だった。

いつもどういう食生活をしているのか、疑いたくなるぐらいだが、調理技法自体がそれほど発達しておらず、まとめて沢山作れる煮込み料理の需要が高いのは仕方が無いのかもしれなかった。

 それなりに手応えのある初日を終え、王都に戻っていくゴードンとの再会を約す熱い抱擁なんかを交わし、これからどうやって新規の客を増やすかと頭を悩ませていた俺は、その日三倍に増えたお客を前にして、驚く事になる。

 答えは簡単な話で、常連客であるこの町の古老達が、各所で自慢して回った結果であった。勿論、この店の宣伝を兼ねてくれたのだと解るが、それにしても極端な増え方であった。

 当然、彼らのお目当てはハムサンドの方であるから、やむなく作り続ける羽目になる。

 前日自分で試食した俺は、マヨネーズを自作し、豚肉の塩漬けを焼くオリーブオイルにはニンニクのすり潰したものを加え、自分好みに改良してあった。

 これで、ガーリックトーストもどきと、マヨネーズを加えたパワーアップしたハムサンドが完成した。

 合わない調理器具に四苦八苦しながら、訪れていた新規の客達に振る舞うと予想以上の反響があり、紹介した常連達も面目を躍如して自慢げですらあった。――そればかりか、俺が工夫して昨日と味が違うと知ると「ずるい」とか言い出して、自分たちの分まで作らせる始末だ。

 その後、つくづく俺を驚かせたのが、この街の情報伝播の早さと、人々の好奇心の強さである。

 常連達に連れられ、半信半疑でついて行った連中がいち早く体験したその味を自慢げに語ると、その噂は瞬く間に街中の噂となって駆け巡った。

 娯楽も多くはない世界で、噂話と食の話題は最も人々を引きつけさせるものらしかった。

 翌日押し寄せた客は、とても酒場に収まりきれる人数ではなかった。

 材料にも限りが有り、設備も悪いためとても捌ききれる人数ではない。それでもこれは偶然生まれたチャンスであることに違いなかったので、俺は必死になって客を捌き、ハンナと二人で売りに売りまくった。

 当然の事であるが、全ての客に提供する事は出来ず、最後はハンナと二人で頭を下げた。

 そして、翌日もまたその翌日も盛況が続いた。上がらぬ能率にイライラしながら必死にこなすしかなかった。

 だが、急に忙しくなりすぎた反動なのか、昨日とうとうハンナが参ってしまい、過労で寝込むことになった。

 ハンナは「情けない」と言いつつも、良い機会だから三日間休業にすると決め、俺も一息付けたと言うことである。



 俺はそこまでの記憶を辿り、大忙しで大変だったものの一番心配していた新規顧客の獲得に成功した幸運を忘れてはいけないと思っていた。

 そうなると、今度はまた来たいと思うよう満足して帰って貰わなければならない。しかしながら、現状は一日に販売できる数に限りが有りすぎて、殆どの客が不満を抱える羽目になっているのではないかと不安になる。

 改善するには、何とかして料理の提供方法を改善しなければならない。よって、俺は料理を提供する手順から考えることにした。

 まず考えられるのは、量を捌くために作り置きをする方法である。実はこれは真っ先に思いついたので、一週間目ぐらいで一度試してみたのだが、一度焼いたパンは固くなりすぎ、豚肉も油が白く固まり、野菜もべたつくなど一つも良いところがなく、この方法は直ぐに却下するしか無かった。

作り置きが出来ないとなると作る工程を見直すしかないが、現状最大の問題点は適した調理器具がないため、数をこなせないことであった。しかし、これも調理器具が売っていない以上どうすることも出来ないので、とりあえずこの考えも保留にするしかない。

 次に取り組んだのは作業工程である。工程の中で一番時間かかるのが、ハムを焼いた後、パンを焼く手順である。

 無くそうかとも思ったのだが、明らかに風味が落ち、食感も悪くなるため、そうするぐらいなら作るのを止めた方が良い気がした。

(この部分を外注できれば、少なくとも一工程減らすことが出来、調理時間は三分の二ぐらいまで減らせるだろう)

 俺は、それ以外にも策を練り、その準備の為に疲れで重い体をベッドから無理矢理引き起こした。

俺は『楽をするために手間を掛ける主義』の提唱者なので、ここは将来楽をするため手間を惜しむべきではない場面だ。――ちなみに『楽をするために手間を掛ける主義』とは、例えばエクセルを使って毎日行うデータ整理の作業があるとする。それは三十分かかる作業だが、これをVBAを使って五分で実施できるようにすると、毎日二十五分楽が出来ることになる。ちなみに、このVBAを組むのに一ヶ月かかったりするが、毎日の二十五分のためには労を惜しまない。それが『楽をするために手間を掛ける主義』の実践者である。

「さて、出かけるとするか」

俺は、上着を着て部屋を後にした。



 向かったのは、メセルブルグ郊外にある、酪農家のお宅である。顔の広いマルセロ氏に紹介して貰った家だ。俺のお目当てはバターである。

「こんにちは、アドルノさん。マルセロ氏に紹介していただいたウートと申しますが、本日はよろしくお願いします」

「ああ、あんたが? ・・・・・・どうも、アノルドです」

 紹介されたアノルドは、チラッと俺の方を見てから低い声でそれだけ言うと黙り込む。どうやら朴訥な人物のようだ。俺は特に気にせず、用件を告げる。

「実は、バターが欲しくて伺ったんですが」

「ああ、潤滑油か何かに?」

「いえ、食用でして」

 そういうと、アノルドは目を丸くする。アノルドにとってバターは、道具の周りに勝手に発生する厄介な副産物に過ぎないらしかった。――いつもは捨てていたらしい。

 しどろもどろになりながら、俺に説明しようとするが、その辺りのことは大体予想がついていた。

「出来れば売っていただきたいのですが?」

「売るって、あれをかね? 必要ならお譲りしますよ・・・・・・。」

 その申し出は、一見するとありがたいように思えるが、相手の善意だけに、やめるもの勝手と言うことになり、それだと困るのである。

「いえ、今だけというわけではなくて、店が開いているときは毎日届けて貰いたいんです」

 そう言って、マルセロに作成して貰った木箱を取り出す。大体千五百グラムぐらい入るようにして貰った。

「この箱に一杯詰めて貰って、大銅貨三枚でお願いします」

 アノルドは再び目を見開き、絶句している。

「この箱一杯に作るとなりますと結構大変だと思うのですが、簡単に取り出す方法もお伝えしますので、お願いできませんか?」

 アノルドは、この話の裏は何だろうと考えているらしく、しばらく腕を組んで考え込んだ。話がうますぎると思ったらしい。しかし、俺を紹介したのはマルセロ氏である、渋々了解してくれた。

 それから俺は、効率的な取り出し方を伝えていく。

「まず、桶を二重にして、中の桶に搾りたての牛乳を入れます。そしたらその牛乳に塩を少しだけ入れます」

 俺は解りやすいように、地面に枝で図を書きながら説明する。アノルドは黙ってそれを聞いている。

「次に外側の桶に井戸から汲んだ冷たい水を入れます。これは中の牛乳を冷やすためです。そして、中の牛乳を棒などで掻き混ぜていくと下の方にバターが溜まっていきます。後は、バター以外の牛乳を他に写し、バターを箱詰めすれば完了です。牛乳もそのまま飲めるのでいつも通り売りに行って問題ありません」

 その後、アノルドから、作業の過程で自然に出来ていた今ある分のバターを買わせて貰う。木箱半分ほどに大銅貨二枚を無理矢理押しつけ、その上でバターの入れ物としてマルセロ氏に作って貰った木箱を置いて、アノルド宅を辞去した。

多分、何が何だか解っていない感じだが、お願いしてくれたことはやってくれるだろう。マルセロ氏の名前もあることだし、多分本当に信用して貰えるのは取引が定着してからのことになる。俺はそれで、かまわなかった。

 俺は買い取った甘い香りのするバターを手に、今度はザムエル氏のパン屋に向かった。



 俺が店に入ると、ザムエルさんが迎えに出てくれた。いつもながら、息を切らしている。俺が、相談があることを告げると、椅子を勧めてくれた。向かいにザムエルさんも座る。

「いやあ、お忙しそうですねえ」

 ザムエルさんが、額の汗をふきふきしながら、最近の酒場の盛況ぶりを褒めてくれる。

「いやまあおかげさまで、偶然が重なりまして・・・・・・。それに、仕事が遅くてお客様全員に行き渡らないので、余計にそう見えるんでしょう」

「いやいや、ご謙遜を。家内とも話をしていまして、食べに行きたいねと。しかし中々機会がなくて」

「ありがとうございます。是非今度、家族でいらして下さい。ところでその事にも絡んで相談があるのですが」

 社交辞令含みの世間話を打ち切って、早速本題に入る。あんまり長く拘束しては迷惑を掛けるからだ。

「実は、ザムエルさんのお力を是非借りしたいと思っていまして」

「ほほう、いったいなんでしょう? もしかして、パンの増産ですかな?」

「実は、今納品していただいているパンを、ある程度加工して欲しいのです」

「加工・・・・・・。ですか?」

「はい」

 ザムエルさんは首をかしげている。この世界のパン屋は均一の製品を各家庭に届ける役割を負っており、元の世界のパン屋のように、様々な加工製品を販売するような形態ではない。首をかしげるのも当然と言えた。

「実は、うちで出している『ハムサンド』なんですが、人気があるのは嬉しい悲鳴なのですが、製造方法に難がありましてね、言うなればパン屋が、パン窯無しでパンを焼くような状態なのですよ」

 俺の例えにザムエルさんは苦笑する。たぶん「仕事になりませんよねえそれじゃあ」と言う気持ちだろう。

「そこでですね、製造過程の一部をこれはパンを加工する部分なんですが、ザムエルさんにお願いして、効率を上げたいのです」

 俺はここで一旦話を切り、ザムエルさんの反応を見る。どうやらそれほど乗り気ではなく、さりとて顧客に対して断りづらいのだろう、やや困惑した表情を見せている。

(まあそうだろうな、さてどう切り崩せば良いか)

 俺は、ここが勝負所と、さらに提案を続けていく。

「もちろん、その分手間賃を上乗せしますし、なによりザムエルさんにはこの『ハムサンド』のレシピをお教えしますので、それを街の皆さんに教えてあげて欲しいのです」

 俺がそう伝えると、ザムエルは驚きに目を見開き、顔を紅潮させた。信じられないという風に首を振る。

「良いのですか? あれほどの人気商品ですよ?」

 ザムエルが驚くのも無理はなかった。レシピとは本来家族や弟子に伝えるのみで、ひた隠すものらしいからだ。

ザムエルとて、自分のパンの製法を家族や弟子達以外の誰にも教える気など無いだろう。だが、目の前に座る人物はそれを自分に教えた上、人々にも広げようと言っている。考えられない話であった。

「正直ですね、困っているんですよ。捌ききれないお客様はうちの店に不満を持つでしょう。一度食べたら二度と来て頂けなくなる。それでは逆効果なんです。それに、うちの店は酒場です。本来、料理と共にお酒を楽しんで貰う場所なんです。それが今は落ち着いて飲むどころの話じゃなくなっていましてね、早いところ手を打たないと、気がついたら誰もいなくなっていたなんてことになりかねません。そんなことになったら、結局自分達が馬鹿を見ますからね」

 これは偽らざる俺の本心である。本業を疎かにすれば何時かしっぺ返しを食う、そんな気がするのだ。特に常連客が離れては目も当てられなくなる。

「もちろん、一般の人に流すレシピは全部ではありません。ザムエルさんにお願いするつもりのパンの加工部分と、その材料や製法は二人だけの秘匿事項と言うことで、つまりは、作りたかったらここでパンの加工品を購入して、後は自分で組み合わせて作る事になります。実は元々そういう製品なんですがね。あと、こちらで売り出す事になるパンの加工品は、純粋なパンでは無くなりますので、お値段はザムエルさんにお任せしますね」

 ザムエルとて、商人の端くれだ。引きも切らない人気商品のレシピと主要材料の供給がどれほどの利益をもたらすか、瞬時に理解できるだろう。

それに、この世界の主食であるパンは、値段の変えにくい製品である。彼らパン屋は、この街の食卓で食される全ての人の需要を満たし、人々の生活に悪影響が出ないように薄利多売を貫いている。基本的に赤字になる事もないが、大きな黒字も見込めない。そんな商売なのだ。

しかし、加工品であれば話は変わってくる。加工品であれば、ある程度の値段を自分で決めることが出来る事に気づいているだろうか。

 パンの値段が上げにくいのは、人々の主要な食料を担っているからだ。人々は敏感に価格に反応するし、値上げに対する反発は大きい。しかし、加工品に関しては、買いたくなければ今まで通り普通のパンを選ぶことができるのだから、値段を自由に設定しても不満の声は上がらないはずである。そうすることで、今までのパン屋になかった新たな儲けの手段を提供することになる。これが、ザムエルを説得する俺の切り札だった。

 気がつくと、ザムエルの顔色は紅潮から転じ蒼白に近い顔色をしている。汗も止まっているた。

「お引き受けするとして、お幾らぐらいお支払いすればよいのでしょうか?」

 ザムエルは、恐る恐ると言った感じで値段を確認してくる。この機会を逃す手はないが、半端な値段ではあるまい。そんな旨い話があるはずがない。そんなところだろう。

「いえ、ですから加工品による納品をしていただければ、それで十分ですよ」

 ザムエルは今にも息の根が止まりそうな様子だった。それでも、絞り出すように声を出していう。

「それでは、私の利益が大きすぎます。そうなれば街の人たちは思うでしょう。パンの供給を縦に、レシピを盗み取った。そんなふうに」

 考えすぎではなかろうか? 俺はそんな風に思う。正直すぎる人だが、パン屋は人々の食を支える存在だ。むしろこういった人にしか勤まらないのであろう。

「そうですねえ、それではこうしたらいかがでしょう? ザムエルさんから納品していただいているパンの価格を一割下げる。それでいかがでしょう?」

 一割は暴利かなと思ったが、計算すると一日大銅貨一枚程度である。ザムエルにとっては大した損失ではないだろうし、それによってこちらは利益を得た上に加工をお願いできるのだから、お互いにメリットを享受できるというものだろう。

 サムエルの表情は未だに驚きの抜けきらぬ様子であったが、俺の本気を感じ取ってくれたのか、呼吸を整えるように大きく息を吐き出してから言った。

「わかりました。お引き受けさせていただきます」

「ありがとうございます、助かります」

 俺とザムエルは、ガッチリ握手を交わす。交渉を纏めた充実感がわいてくる。

 さっそく、ザムエルに加工品の作り方を伝えるため、一緒に工房の奥へとむかう。

 ザムエルの工房には、数人の徒弟がおり、忙しく立ち働いていた。彼はこの工房の主であり、王様だ。普段からすると信じられないような厳しい声で、弟子達に準備を命じている。

 俺は、持ち込んだオリーブオイルとバター、ニンニク――すり潰して、ペーストにしておいた――に塩少々を材料の説明から入手方法を含めて伝え、実際に混ぜ合わせて、ザムエルに切ってもらったパンの上に塗り、その上に見栄えと香り付けの香草を散らすと工房のパン窯でさっと焼いて貰った。

 早い、俺はその光景に涙が出そうになる。俺が必死に焼く半分以下の時間で十倍近い数が一気に焼き上がる。馬鹿らしくてやってられない光景だった。

 焼き上がったパンを弟子達も含め全員で試食する。ぱりっとした食感と、バターとニンニクの食欲を誘う香り、味も申し分なく間違えようのないガーリックトーストの完成であった。しかも、俺の焼いた奴の何倍も旨い。これは、バターの効果と全体にパリッと火を通してあるからだな。

「このままでも十分すぎるほど美味しいな」

 俺が感想を述べると、全員が頷いている。もしかしたら、ハムサンドは余計かもしれないな。

「これを毎日、夕方のオープン前にもらえますか?」

 俺はザムエルに頼む。

「本当によろしいんで?」 

 ザムエルとしては、まだ信じ切れないようだ。

「もちろん、うちを助けると思って、お願いしますよ」

 俺はそう言い切って、無理矢理ザムエルを納得させたのだった。



 臨時休業の開けた日は、それまで最高の賑わいだった・・・・・・。

 三日間の断絶が、余計に噂と食への情熱をヒートアップさせたかの如くであった。

 これには、俺もハンナも嬉しいどころか、実は内心げっそりだった。

 ザムエルの協力で、工程の短縮を図ったおかげで、時間は半分くらいに短縮できていた。だから、休業前の二倍は捌いたはずだが足りなかった。

 店内はごった返し、客は食った端から追い出される。何処のファーストフード店ですかこれは? な状態である。

 俺は常連達の手も借りて、仕込んだザムエルのパン屋を宣伝して貰った。一度は、実物の味を知りたいだろうから、店に来る。味をつかめば、レシピがあれば自分で作れる。その材料と、レシピはザムエルの店に行けば手に入ると言う流れだ。

 翌日朝から、今度はザムエルの店が大変なことになっていた。――らしい。

 俺は寝ていたので気がつかなかったが、噂を聞きつけた奥様方を中心に突撃を敢行。ザムエルの工房を疲労困憊の渦にたたき落とした。作っても作っても足りない状態だったらしい。

 俺は、ザムエルからその話を聞いて大笑いしてやった。俺たちの気持ちが少しは解ったのであろう、ザムエルは苦笑していた。苦労は分かち合わないとな。

 次の日から、狙い通り客足は徐々に落ち着きを取り戻し始めていた。

 常連達も「やっと俺たちの憩いの場所が戻ってきた。これで落ち着いて飲める」と喜んだが、元はと言えばあんたらが噂広めたんじゃなかったっけ? 勿論感謝しているが。

 ハンナにしても「多分、一ヶ月で二年分以上稼いだんじゃないかしら?」とか言ってたから、俺の職場は当分安泰だ。しかも、落ち着いたとは言っても、自分で作るのが嫌な奴や、まだ初めて食べに来る奴もいて、店は以前よりずいぶんと活気を取り戻している。このぐらいでも十分儲かっているはずだ。

 俺たちは、今後はボチボチやっていこうと話し、それで満足だった。

 だが、トラブルの種というのは、何処にでも発生するものなんだなと、俺はつくづくあきれ返る。

 数日後、その日の営業を終え、ハンナと店じまいの準備をしていたとき、ザムエルが二人の男を連れて店にやってきた。

(珍しい、ザムエルって、飲む人だっけ?)

 俺は、世話になっているのもあって、閉店作業を中断し三人をテーブルに案内する。何というか暗い、葬式の相談でも始める気かと思うほど沈痛な空気が流れている。

 俺はなるべく邪魔しないようにしてやるかと、飲み物の注文だけ取りに行った。

「いや、今日はウートさんにお願いがあって来たんですよ」

 ザムエルがいつものように汗を拭きつつ言った。どうやら俺に相談したいことがあるらしい、と言うかこの二人が、かな?

「わかりました。ハンナ、先に上がって下さい。後はやっておきますから」

 店じまいを続けるハンナに、そう声を掛ける。彼女は病み上がりだから気を遣うべきだろう。

「いいのかい? じゃあ、先に上がるよ。おやすみウート」

「おやすみ、ハンナ」

 挨拶を交わして、ハンナは店の二階にある自室へと引き上げて行く。

 それから俺は、三人の向かいに腰を下ろし、話を聞く体制に移行する。

「お話とは何でしょうか?」

 俺が切り出すと、唯一の知り合いだからだろう、ザムエルさんが二人を紹介してくれる。

「こちらは、ヴィレム商会のフンケさんと、フーゴ商会のマインホフさんです」

 そう紹介してくれるが、俺には心当たりがない。

だが、俺が知らない様子なのを見て、二人は驚きを見せた。つまり町の人なら、当然知っている名前なのだろう。

「すいません、新参者でしてご容赦を、ウート・ヴォージオンです。まあ、この店の雇われ店員ですな」

 知っていて当然、傷ついた的な反応をされて、ちょっとイラッときてしまった。そのためどうしてもつっけんどんな言い方になる。さすがに、一ヶ月で全住民の氏名を覚えるのは無理がありすぎる。閉店時間を過ぎて、早く休みたい気持ちもあったと思う。大人気ないとは感じてしまうが、店を一日切り盛りして披露は既にピークに達している。俺だって早く休みたいのだ。

 しかし、二人はしまったという顔を浮かべ、素直に頭を下げてきた。これではこちらが悪者っぽい。そう思い溜息をつきつつ用向きを尋ねた。

「今日はいかなる御用向きでしょう」

 やはり疲れているらしい、声が固くなる。俺は早く休みたいのだ。

「お疲れのところ押しかけてしまいまして、大変申し訳ありません。私はヴィレム商会のフンケ、この街でパン屋を営んでおるものです」

 そう言って、フンケが頭を下げる。

(パン屋? ザムエルさんと同じだな。所謂商売敵だよな? それがどうして連なって俺のとこに来るんだ?)

 どうも、理解が追いついていかない。

「同じく、フーゴ商会のマインホフです。」

 マインホフさんも同じように頭を下げる。

(マインホフさんもパン屋? まあ、街のパン屋なら普通の人は知っていて当たり前だな)

「本日は、お願いしたいことがございまして、こうして参った次第です」

(お願いかあ、パン屋にお願いされるようなこと何かあったかな? お願いしていることなら有るけど、ザムエルさんに)

「実は、ザムエルさんが販売している『ガーリックトースト』の製法と『ハムサンド』のレシピを我々にも伝授していただきたいのです」

(ふむ、そういうことか、だからザムエルさんと連れだってやってきたのか、やっと理解できてきた、そういう理由か・・・・・・。どうやら俺の頭は休眠寸前らしいぜ)

「何故です?」

 俺は相当疲れが溜まっているらしく、短くぶっきらぼうに問い質した。

 正直、俺は気が短くなっていたし、理解が追いつかなくなっていたかもしれないが、純粋に怒りに駆られてもいた。

 『ガーリックトースト』の製法や『ハムサンド』のレシピは俺にとっては特別なものではない、元の世界の知識なだけだからだ。ただ、ザムエルがどう思おうと、俺はザムエルに加工を依頼し助けて貰っている恩がある。さらに気休め程度とは言え、値引きもして貰っておりそう言った意味では義理もある。

 そのザムエルを差し置いて、恩も義理もない相手にそうしてやる意味が本気で理解できないし、道理を理解せずに頼んでくるような相手に、好意を抱けと言われても無理な話である。

 だが、これは俺の早とちりだったようだ。フンケもマインホフも神妙な顔つきで、ある種の覚悟を伺わせる気配である。つまり、恥を忍んでも頼み込むと言う気配であった。

「お怒りになるのもごもっともな話ですし、恥知らずなお願いであることも承知しています。しかし我々としても後には引けないのです。我々にも、懇意にしていただいているお客様がおります。その方達に喜んでいただくのが我々の誇りです。しかし、我々は今それを果たせていないのです。お求めの商品を提供できていないのです。それでも、当店でお買い上げ下さるお客様に対し、我々が出来るのはこうして頭を下げることだけなのです」

 そう言って、二人して深く頭を下げる。それを見て、俺は自分が恥ずかしくなった。早とちりで相手の思惑を決めつけるとは、修行が足りないということなのだろう。

「申し訳ありません。失礼をしました。お許し下さい」

 俺は素直に頭を下げた。どうやら大きな勘違いを、この二人に抱いていたらしい。

 俺は冷静さを取り戻すため、自分に言い聞かせた。

(潔さは恥ではない。間違えたら頭を下げる。こんなことで俺のプライドは小揺るぎもしない。二人と、向き合い真剣に対応しよう)

 この誠実な商人達を何とか助けてやりたい。しかし、無条件に承諾すれば一人割りを食う人物がいるのだ。そう、ザムエルである。それは俺にとっては許容しがたい。

「お二人のお気持ちは解りました。おっしゃる事も理解できます」

 二人の顔が、希望を浮かべたものになる。しかし、

「ですが、お受けすることは出来ません」

 それを聞いて、愕然とした表情を浮かべる。

「何故です? 理由をお聞きしても?」

 諦めきれないのだろう、フンケがくい下がりを見せる。粘り強さは商人の美徳だ。

「俺は、ザムエルさんに製品の加工という手間を負わせています。その上で、値引きまで受けている。その俺が、お二人に協力するのはザムエルさんに対する義理を欠きます。それは承服できないのです」

 二人は「なるほど」と頷く。これだけの商人だ、解ってくれるだろう。俺は交渉を終了させようとした。しかし意外なところから待ったがかかる。ザムエルさんその人だ。

「待って下さい。ウートさんが義理堅いのは解りましたが、それでは私も困るのです」

 意外なことを言い始めた、またしても理解が追いつかない。 

「何が困るんです?」

 回らない頭を叱咤して、なんとか理由を理解しようと試みる。

「我々は、それぞれこの街で、パン屋を営んできたわけです。勿論ライバル関係でもありますが、実は協力関係にもあるという微妙なバランスの上に成り立っているのです。もしこの三者のうち、誰かの店がつぶれたら、この街の誰かがパンを買えなくなる。そんな関係なんです」

 なるほど、パン屋というのは主食を支える重要な役割だから、競争に勝てればそれで良いというわけでは無いと言うことらしい。そのところが、普通の商人とは少し違うのだろう。

「ここ数日、目も眩むような忙しさで、理解が追いついていませんでしたが、私が考える以上に加工品販売は儲かるのです」

 ザムエルは沈痛な様子で言う。だが、それっていいことなんじゃないだろうか。

「お客様はこのお二人がおっしゃっているような、固定客ばかりではありません。値段に厳しく、味に五月蠅く、話題性に飛びつきます。今私の店が繁盛しているのは、その話題性に過ぎません」

 ザムエルは自嘲するように言うが、そもそも、お客は自由にお店を選ぶ権利がある。それはどうしようもないことだし、そこに商機があるとも言えるのだが。

「私の店が繁盛しすぎれば、他の二人が割を食います。二人は移り気な客を取り戻すのに『価格』で対抗するしかなくなるでしょう。そうなれば、こちらも対抗しなければならなくなる。私にも大切な常連客がいますからね」

 真実であるのか、二人は項垂れて顔を上げない。 ザムエルはここで言葉を切る。重い発言を憚るように小声で言う。

「行き着く先は、誰かの店が潰れるだけです。残った店もただでは済みません。ここは小さい街ですから」

 確かに、あり得ない話ではない。そして、残った店では全員の食を支えきれないとなれば、その混乱は小さくないだろう。

 そしてその原因は、俺のレシピが発端なわけである。ぞっとしない話だ。

「私が、加工品の販売を止めれば良いかとも考えたのですが、ウートさんがお困りになるでしょうし」

「困りますね」

 俺は間髪入れずに答える。それだけはハッキリしておく。その選択肢だけは無い、あの地獄はもう懲り懲りだ。

 進退ここに窮まれり、にっちもさっちも行かないとはこの事だな。

 俺は、一度状況を整理することにする。

 俺は、ザムエルに加工をして欲しいし、レシピの普及と加工品の販売も続けて欲しい。しかも割引の恩恵迄受けられる。

 ザムエルは、現在、加工品の販売による利益を上げているが、そのために俺に割引をしてパンを販売している。ここで、他の二人に製法を教えてしまうと、割引の分だけ二人より損をしてしまうことになる。だが、このままだと大きな問題になるのでそれでもいいと言っている。

 ザムエルが行っている割引を止めれば三者平等に見えるが、この店が損している。

 どちらにしてもこの二人の訴えのせいで、この店か、ザムエルが損をすることになるわけだ。

 そしてこの二人は、断られても金銭的には損はなく、ザムエルが懸念していることは有るかもしれないが、無いかもしれない。元々断られて当然の話だからな。

 そうか、この二人にも損して貰えば収まる話なのか、俺はそう気がついて考えを纏める。旨く説明できるかな。

 俺は懐から大銅貨を三枚取り出すと、三人の前にそれぞれ一枚づつ置いた。

「代案があるので、それをこれから説明します。ご納得いただけないならこの話は無し、と言うことで終わりにしましょう。切りがありませんので」

 俺はそう切り出す。

 三人は、藁にも縋るという面持ちで、俺の説明を待った。

「その銅貨は、あなた方の持ち物と仮定して下さい」

 そう言って、俺はザムエルの前から大銅貨を一枚自分の前に持ってくる。

「この店は、製法の代償として、一日に約大銅貨一枚分の値引きをザムエルさんから受けています」

 三人は頷く。大銅貨の移動で、理解はしやすいはずだ。本当は、殆ど自分の理解のためなんだがな。

「次に、この店が割引を諦めた場合はこの店が損をします。一方で、ザムエルさんからの割引はそのままに、加工品の製法をお二人に伝えた場合はザムエルさんが損をしてしまいます」

 俺は大銅貨を、ザムエルの前と自分の前に行ったり来たりさせる。

「この場合、どうやってもそちらの懐は痛みません。ですがこちらはどちらかが損をする。この状態を承服するつもりはこちらとしてもないわけです」

 俺の言葉に二人は頷いている。理解して貰えたものとして、俺は説明を続ける。

「そこで、お二人にはそれぞれ一日大銅貨一枚を、製法の使用料として支払っていただきます」

 俺は、二人の前から大銅貨を取り上げてみせる。

「その上で、ザムエルさんとの割引は無しにします」

 俺はザムエルの前に大銅貨を置く。

「こうすれば、あなた方はザムエルさんより大銅貨一枚分損失が発生しているわけですから、俺としても納得できますし、ザムエル氏は損失が減り結果として大銅貨一枚分得をし、この店も割引を失う代わりに大銅貨二枚を得て一枚得します。お二方は一枚ずつ損をしますが、製法を手にできます」

 これが、お互いに最小限の差額で四方丸く収めるアイデアだった。これ以上は思いつかない。どのみち、こちらが損をして、あちらが儲かる話を受け入れるはずがないのだ。

 フンケとマインホフは、お互いの顔を見合わせて困惑顔だ。これで気に入らないのであれば、ご破算にするしか無い。二人の表情から納得がいかないのかと感じ、俺は徒労感に溜息をつく。

「失礼ですが、それだけでよろしいので?」

 そう、フンケが尋ねてくる。マインホフは無口な人のようで、挨拶以外でしゃべらず、交渉はフンケに任せている様子だ。

だが、その表情はフンケと同様で、言いたいことも同じであるようだ。

「それだけとは? 今出した条件が、こちらが譲歩するための条件ですが、不服がおありですか?」

 俺は相手の真意を窺うため、重ねて問う。

「いえいえ! そうでは無いのです。そうではなく、ザムエルさん失礼ですが、ものすごく儲かったでしょう?」

 フンケが話の矛先を急にザムエルに向け、確認するように問う。嫉妬しているのだろうか?

「ええ、一日あたり、銀貨二十枚は確実に超えていますね」

 その問いに対し、ザムエルがあっさりと口を割る。

(え? 銀貨二十枚って差額の収益が? 凄いなそれ。でも、一過性のブームみたいなものだろうし)

「でしょう? それなのに大銅貨一枚で良いんですか? 失礼ながら我々は、加工品で得られた利益の全てを要求されたとしても拒めなかったでしょう。こんな常識外れのお願いをした以上、そう覚悟していました」

 フンケは呆れたように言う。

「失礼ですがあなたは・・・・・・、これほどの製品を生み出し、あっさりとそのレシピを他人に教える。儲ける気はあるのでしょうか?」

 がーん、と頭を揺さぶられたような衝撃を覚えた。

(え? いや、だって元々知識としてあっただけだし、儲ける気は勿論あるけどお店儲かっていますけど、過重労働は嫌なんです。その軽減を優先しただけですよ?)

 ザムエル氏が、うんうんと頷いている。気持ちが解るらしい。

 俺は、なんだか面倒臭くなった。もう眠たい。値段に文句を付けているわけでは無いと言うことは、納得はしているのだろう。話を強引に纏めにかかる。

「では、よろしいんですね? 製法の方は、ザムエルさんからお願いできますか? お金の方は明日からと言うことで、ハンナさんに支払っておいて下さい」

 俺は、そう言って話を纏めると、彼らを追い出して後片付けを済ませ、ベッドにダイブした。

 しかし、ベッドに横になっても先ほど言われたことの衝撃が抜けきらない。

(儲ける気があるか、だって? あるさ、あるに決まっているだろう。誰だってお金は欲しいさ、こちとら無給だぞ? でも、だからって、人様がせっせと働いて稼いだ金から暴利を貪るのはなんか違うだろう。自分のお金という気がしない。今度の事だって、俺は加工品を手に入れ、店の営業状態を緩和するというのが大きな目的で、値引きの件だってザムエルさんを納得させるために思いついただけだ。それをアイツらがややこしくしに来たから、丸く収まるように調整してやっただけじゃないか、もともと儲けとは関係ない話だったんだ。うん、そうだ俺は間違ってない)

 俺は何となく自分の考えに納得できたので、やっと眠りに落ちることが出来たのだった。

 もうトラブルはこりごりである。



 後日、フンケとマインホフの二人は、きちんとお金を収めに来た。

 その折に聞いた話によれば、お得意様には殊の外喜ばれたそうで、面目が立ったとほくほく顔だ。

 しかし、お金を差し出されたハンナは言った。

「お店の売り上げじゃないのに、私が受け取るのはおかしいじゃないか。ウート、元々あんたが決めたことだ、このお金はあんたが受け取りな」

 俺は戸惑ったのだが、結局受け取ることにした。ハンナの言い分も正しいと思ったし、このお金は返却出来ないお金なのだ。それに、このくらいなら受け取っても暴利とまでは言われないだろう?

 そして結局のところ、この店と二つのパン屋が大銅貨一枚の損失を出し、ザムエルさんは加工と言う手間を請け負った、そして俺だけが毎日大銅貨二枚の収入を得ることになり、一人勝ちの結果となったのだ。

 ちなみにこの話を常連客達に自慢したところ、全員何故か生暖かい物を見る目つきで俺を見たのだが、誰か理由をご存じだろうか? 訳が分からない。

 そうして俺は、無職、住所不定に続き、無給の状態からも脱することが出来た。

 俺は満足していたのだった。


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