3
ようやっと皇子さま
靴の音が聞こえる。誰かを引きずっている音。
現れたのはなんてことはない男の人だった。ただ、服は血で濡れているし、刀のようなものの差していた。抱えているのは茶色い髪の男の人だった。きっと彼らは仲間で、この人は仲間を助けに来たのだろう。
「子供・・・?」
戸惑っているようだ。まあ、全身ぐるぐる巻き包帯子供だしね。敵なのか味方なのか、戸惑っている様子だ。
「その人はおじさんの仲間なの?」すると、おじさん・・・。とショックを受けたように見えた。
「お兄さんの仲間なの?」
言い直したら、元気になった。
「そうだよ。」
どうやらお兄さんも負傷している様子だ。これは殺してというのは無理だな。
どたどた、と床を蹴る音が聞こえた。どうやら子供たちが解放されたらしい。
ふと、考える。
今日の実験はとっても痛かった。本当に痛かったのだ。少しくらい意趣返ししてもいいだろうか。
「お兄さんこっち来て。」
彼は戸惑っているようにもみえる。わからなくもないが。
「今、人形の子供たちが放たれたよ。その人抱えたままじゃお兄さん負けるよ。」
そういってするすると庭に出ていく。ついてくるかな、と思ったがついてきたようだ。人形は有名な話だ。子供たちに戦闘を教え込んで戦に放つのだが、その恐ろしさは並ではない。
お気に入りの森を進む。人形ちゃんたちはまだまだ、建物を探し回っているようだ。
「君は…ここに詳しいのか・・・?」
「そうだよ。ここに戦争以外はいるからね。」
「…君も人形なのか?」
「人形だけど、意志は残されているよ。」
この古代兵器のおかげでね。
「ここから、逃げるか?」
それには答えなかった。
見えてきたからだ。彼らの仲間が。どうやらこの人は単身で乗り込んできたらしい。
「その人は大切な人?」
「おれの弟子なんだ。」
そういって茶髪を見上げる瞳はとても優しげだった。
「大切なのね。」
しばらくすると塀が見えてきた。塀の上には鉄線が張られている。
「ついたよ。」
そこは塀が立ち並ぶ場所。
え?という顔をされた。
「外にみんないるよ。仲間でしょ。叫んで、聞こえはしないから、あなたたちの仲間が別ルートで、今お人形ちゃんたちと戦っているから、大丈夫。」
みんな、あなたたちのこと大好きなんだね。すると
ドガッドガッ ドターンっ
ものすごい音とともに塀が壊れた。というかなぎ倒された。驚いたのはそれをしたのが自分の身の丈ほどの大斧を持っためっちゃきれいなお姉さんだったことだ。
「君はどうする。」
「行かないよ。」
というかいけない。この首輪は塀から一歩でも出たら、私を操って彼らを殺すだろう。
「カイエンさん。この子、首輪つきだ。あきらめるしかない。」
ペつの男の人がつらそうに言った。青い目が特徴的な人だ。
「・・・、お兄さん達優しいね。じゃあ、ちょっとお願いしていい?」
「なんだ?」
私に目線を合わせてくれた。
「私より強くなってね。そしたら私を殺しに来てね。そしたら私自由になれるの。」
お兄さんは目を見開いていた。ちょっとおもしろくて笑ってしまった。
「私は古代兵器の一角神の目。 楽しみにしているよ。お弟子さんよくなるといいね。」あ、この森気を付けてね。危ないから。