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私は自分が何者なのか知らない。ただ、あの日、私は彼らに捕まって、おもちゃになったのは確かだった。
「いたい・・・。」
体中が痛かった。ぐるぐると巻かれる包帯はまるで
「ミイラ男みたい。」
女じゃん、と思ったけど、なんかおかしくて笑ってしまった。
今日の実験は本当に嫌だった。すべてが気持ち悪かった。周りにはたくさんの子供の死体が積み上げられていた。あの死体の数だけ、叫びが聞こえてきそうだ。
だだっ広い研究所の中なら私は好きに動き回れる。無機質な部屋に戻る気が起きなくて、お気に入りの森の中で、木の根元に座りこんだ。
「私も・・。」
自分では見えない右目を手で覆った。抉り出せたらいいのに、自傷行為すらこの首輪は許さない。
神の目と言われたこの武器もまた古代兵器の1つ。適合さえしなかったら、彼らみたいに安らかに眠れたのに。
「死んでしまえばよかったのに。」
居なくなってしまった彼の顔が浮かんだ。
その時だった
ビーっ、ビーっ
警報が鳴り響いた。
侵入者です。侵入者です。
この研究所に侵入者なんてめったにない。なんたって樹海の中にあるのだ。方位磁石は聞かないし、あちらこちらに獣がいて、人を食べる人食花なんてのもいる。天然の要塞だ、だから、兵士は常駐していない。ここにいるのは研究員だけなのだ。
兵器ならここにいるけど、戦えるだけの力が今日はなかった。
今なら、殺してもらえるかもしれないな・・・。そう思いながら、ふらふらと研究所に戻る。
この目に魅入られてからすべてがおかしくなっていた。まず人の思いが見えるようになった。文字として見えるようにもなった。感覚で何がどこにいるのかわかるようになった。ますます化け物じみてきたなと自分でも思う。
だからわかった。ここに彼らがくるのだと。
廊下から足跡が聞こえた