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ここから始まる表と裏の物語-the back a story-episode1  作者: 鈴菜
第12章-人間と魔物の争い-
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第89話-戦闘開始-ミノタウロス-

エステとエルフの仲間達は陣形を固めながらジャングルの中を歩いていく

そんな状況中、一番声をだしているのは最後尾のココだった


「警戒を緩めないでください! 後ろからの強襲もあります

 目の前はエステさんに任して、左右の視野確保をお願いします」


ココの熱意が伝わったのか、エルフ達は再度気を引き締め武器を構えたまま

左右を見ながら行軍する……そしてミノタウロスの群れと遭遇する


「ちっ、ここでか……視界が狭い、弓と投擲は左右に別れろ!

 木に矢を当てるなよ! ブーメランは引っかけないようにしっかり狙え!」


エステの言葉にエルフ達は指示通りに動く、ミノタウロスの数はおよそ『30』

人数の不利はないが、ミノタウロスの強固な肉体を考えるとこっちが不利である

それも……


「あの人間を狙っちゃいな! アイツがやられれば後は雑魚のエルフだけ!」


ミノタウロスの後ろで弓を構えていたのは5人のエルフ

それも捕まって利用されたではなく、明らかにこちらを殺そうとしている

ミノタウロスはそのエルフの言葉を理解してかエステに狙いを定める


「おいおい……モテモテじゃないか……牛頭の魔物に」


エステを取り囲むミノタウロスの数は5、全員大斧を構えじりじりと距離を詰める

エステの味方のエルフから見ればそれは絶望であり絶体絶命

しかしそんな状況であってもエステは笑っている


「はは……面白れぇ……今までは暴れたりなかったし、暴れさせてもらうぜ!」


エステは周囲を囲んでるミノタウロスを見る

前に1匹、左右2匹ずつ、後ろに1匹

狙うは数の少ない所……と思わせるのが相手の狙い

前を抜ければ敵エルフの弓の的になる、だからと言って左右ならば捕まる

ならば……後ろに行くまで


エステは駆け抜けるミノタウロスがこちらに気づき大斧を上段に構えるが

それよりも速くミノタウロスの背後に周り、両手に持った『キル・マッチ』

で背中を斬る、しかし……バツ印に傷か付き、少しの傷が流れるが

それはミノタウロスに取って『かすり傷』にもならない


「今だ! 弓隊、傷を狙え! 外すなよ!」


エステの指示に従い弓隊が火矢を放つ、しかし……その何発かは

敵のエルフの弓によって弾かれ、矢が地面に落ちて行く

しかし、こちらの矢の方が量は多くは、ミノタウロスの傷に火矢が突き刺さる

普通の矢であればさほど効果はないが、火矢とならば硬い肉質にも効果はある


ミノタウロスは背中に刺さった火矢を抜こうと開いている手を背中に回した時

エステはその隙を逃さず、ミノタウロスの両目を斧で斬る


「敵は目の前だぜ……」


ミノタウロスは両目を斬られ周りが見えなくなる

獣……それも狩りをする生物にとって目は命だ

その目が斬られ周りが見えなくなると言うことは……暴れるしかなくなる

眼の見えないミノタウロスは叫び声あげながら大斧を振り回す

その斧は味方のミノタウロスを斬って行く

そのお陰で普段は当てられない致命的な一撃を敵自ら行ってくれた


「よし……全員攻撃を開始しろ! 傷を狙え!

 投擲隊は後ろにエルフを狙え! 元は味方だが今は敵

 殺される前に押し込むぞ!」


エステの叫び声と共にエルフ達は声を荒げながら攻撃を開始する

それに器用に眼の見えないミノタウロスを外して攻撃をしている

そんな状況をミノタウロスの後ろで見ていた敵エルフは舌打ちをする


「ちっ……やっぱり獣は獣か単細胞……おい、ミノタウロス共

 眼の見えないやつを殺せ、その後に反撃するよ!」


そのエルフに従い、ミノタウロスの何匹かは味方に斧を構え頭を潰す

そうする事によって味方に被害が少なくなるから……なのだが

それをエステが許さなかった


「甘めぇよ……だったら眼の見えない連中を増やすまでだ

 精々、味方同士で殺し合えよ!」


エステは斧を投げ、ミノタウロスの眼だけを狙う

その斧はミノタウロスの頭付近を回転し、眼をだけを器用に狙っていく

もちろん、ミノタウロスもその攻撃を撃ち落とそうと大斧を振るうが

エステの攻撃を援護するために味方のエルフ達は弓とブーメランを投げ

斧を防がせないために援護していく


「味方のエルフ隊、弓を撃つのやめないで! エステさんの援護には普通の矢

 ミノタウロスを狙う弓隊とブーメンは火をつけるのを忘れないで!」


その指示をだしているのはココである

声を荒げながら走り回り、周囲にいる味方、離れている味方に指示を出し続ける

それは、戦場を駆け……周囲を確認し、的確な指示を出す


『スティナさん、これでいいんですよね? 私にできる一番の方法』


ココは戦闘が得意と言う訳ではない、それも弓の技量はよくない

それをスティナに相談した時、スティナはこう答えた


「ココさん、戦闘する事だけが全てじゃないですよ、ココさんができる

 最大限の事をすればいいんです、ココさんは足が速いのだから

 周囲を見回して味方に指示をだしてください」


ココはそれに従い『味方に指示を出し続ける』

弓を片手に構えながら走り、敵を見、味方に指示を出す

ただそれだけをひたすらに繰り返す


たったそれだけの繰り返しが、味方にどれだけの援護になるか

ココはそれを始めて実感した。


『……味方の攻撃が私の言った場所に攻撃してくれる

 私は眼と判断力が良いってお姉ちゃんに言われた事がある

 でも……それが何の役に起つの?! って言い返した事がある

 だけど……今は違う』


「弓隊はエステさんの攻撃に合わせて、敵の弓を警戒しながら木を壁に!

 それが終わったら投擲隊前へ! ブーメランを相手の弓めがけて投げて!」


ココの眼と判断力がこの戦場を支え、不利な状況を少しずつ押し返していく

それを横目に確認しながらエステも声を挙げる


「押し切るぞ! お前ら死ぬんじゃないぞ! もしも死んだら

 俺がスティナに怒られちまうからな!」


エステとエルフ達の戦いは今も続いている

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