第87話-戦闘開始-遊撃編
そして時間は過ぎ……思い思いの朝を迎え、長老の家の前に集合する
眠たい目を擦る者、武器を背中に仕舞い悠然と立っている
その者達の覇気が自分にも伝わってきそうな、そんな涼しい風が吹いている
「それでは皆さん、今日1日明日1日を生きるために今この時を頑張りましょう」
スティナの声が誰も喋らない村の広場に風のように響き渡り
それを聴いたハンナ、エステ、エルフ達が歩きながら外に向かう
それを確認したスティナはエミとココに話かける
「2人は別々の部隊の後ろに付いて戦況と状況の整理、何かあったら
すぐにここまで帰還してください、途中、ミヤと会ったらその時に交代で」
『了解です!』
エミとココはスティナの言葉に返事をし、2手に別れ、部隊の最後尾に付く
すると、ミヤがスティナの隣に近寄り笑顔で話かける
「私もー頑張りますよー! なんでも言ってください! お姉様」
「じゃあ……私のファーストキス返して」
「嫌です……というかあれが最初だったんですか?! 嬉しいです!」
「ミヤは違うの?」
「いいえ、私も初めてなので問題ありません!」
ミヤは左手で親指を立てながらスティナに左手を向ける
それを冷めた目でスティナは言い返す
「そうなんだ、で……前払いしたからにはその分は頑張ってくれるんだよね?」
「もちろんです! どーんと言っちゃってください!」
「じゃあ、今すぐミノタウロスの拠点破壊してきて」
「りょーかいです! 行ってきまーす!」
ミヤはスティナの前を走り去り、村の外へ出て行く
それを唖然とした顔で援護のエルフの1人がスティナに話かける
「えっとー……あの人、遊撃の人ですよね? いいのですか?」
その質問にスティナはまるで聞かれるとわかっていたように笑顔で答える
「ええ、大丈夫です、破壊できなくても削るぐらいはしてくれます
その戦闘に上手く合わせられれば、ミノタウロスも押し切れますし」
聴いたエルフはさらに唖然とした……先程走り去った遊撃の子にからかわれた
ように見えた目の前の女性は、逆に手玉に取り、上手く乗せた
「それと、矢の準備とブーメランの補充、食糧を分配を始めます
援護の皆さんは協力してください」
『わかりました!』
援護に来た10名のエルフ達はスティナの指示に従い、矢の準備ブーメランの準備
そして長老と数人のエルフは食糧を上手く分配するために話し合いを始めている頃
ミヤは1人ジャングルの中を走る、先に出発したミノタウロス班を追い越すために
木から木へ渡っている、それは細い木の枝を1つずつ丁寧に渡っているが
その速度は昨日の探索の速さの2倍は速く見える
『さてさて……エステとエルフ達はどこかなっと、まだ戦闘にはなってないはず
なら、先に先行してミノタウロスをおびき寄せとうこうかなっ』
ミヤはそう思いながらジャングルを進んで行くと……急に足を止め
木の上で待機する……ミヤがいる木の上の真下の道にはミノタウロスの群れが
村の方向を目指し歩いている……その中に武器を持ったエルフが何人かいる
そのエルフ達の顔をミヤが遠回しに見ると、その顔は卑屈ではなく
笑顔を感じ取れるほどで……耳を澄ませばそのエルフ達の声が聴こえるほど
煩く喋っている
「あの婆煩かったから、魔物方来て正解だったわ、それも魔物のリーダー
すごくかっこよかったし……エルフ1人連れてくれば褒美もらえるし
良い事ばっかり!」
「ねー、私も来てよかった!」
それを聴いたミヤはミノタウロスの群れがその場を去るまでその場を動かず
離れて行った事を確認するとミノタウロスの拠点を目指すため移動する
『やっぱり黒幕がいるのね……なら、やるべき事は1つ』
ミヤは遊撃の任務をこなすためにジャングル中を進む
スティナが言った『拠点を破壊して』と言う言葉のために……