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ここから始まる表と裏の物語-the back a story-episode1  作者: 鈴菜
第12章-人間と魔物の争い-
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第86話-説明とご褒美-

「一応、弓が得意な人が約『20』、ブーメランや投擲ができそうな子が『10』

 両方戦える精鋭が『10』、後方で前線の援護ができる子が『10』です」


「精鋭の数がもうちょっといたと思うのだけど……どうしたの?」


「それが村のどこにもいないそうなんです……もしかして個別で戦いに?」


「それはないと思うわ、あの子達だって馬鹿ではないと思うのだけど

 でも……もしもの可能性があるから、気を引き締めてね、エミ」


「はい、わかりました、長老」


「先輩、協力してくれてありがとうございます」


ココがエミにそう言った時、エミはココの頭を撫でながら言う


「ここには長老とスティナさんしかいないから、お姉ちゃんでいいわよ」


「そう? 一応スティナさんはこの村の人じゃないから気を付けようかなって」


「気を付けるねぇ……せめて精鋭がいる前でのお姉ちゃんはやめなさいね」


「そうするっ」


スティナはエミとココのやり取りを見てどこか微笑ましかった

それも先程まで気を引き締めていた2人の穏やかな話と笑顔を見ると

自分の緊張が少し解れた気がして嬉しかった。


「さて、エミが教えてくれた数を合わせると、前衛が40、後方が10ね

 私は戦闘できないから村で指揮を執るわね、スティナさんもお願いね」


「はい、わかりました」


「伝令役はエミとココ、このままこの状態を続けてもらってもいいかしら?」


『はい、問題ありません』


エミとココは同時に同じ言葉を長老に言うと、長老は頷き更に喋る


「では、ココ、今言った子達を村の中央に集めて、エミはスティナさんの

 お連れの人達を連れて来て」


『わかりました』


2人は長老に頼まれた呼ぶ対象を呼びに行くため、長老の家を出た直後

長老はスティナに話かける


「来るまでの間の時間で悪いのだけど、今言った数で分担できるかしら?」


「一応、両方計算すると『43』なのでミヤを遊撃に回して『42』

 そこから半分にするので『21』ずつになりますね」


「こちらはそれで構わないのだけど……スティナさんの方は大丈夫かしら?」


「こちらはミノタウロスの方にエステさん、ハーピーをハンナさんにします

 押されている方、支えられないほうにミヤに動いてもらって余裕ができたら

 伝令もしてもらえば……いいのですけど、これだとミヤの負担が……」


「きっとやりますというはずよ、あの子はスティナさんの信頼を裏切らないわ

 だから、信じて、あなたがミヤを信じるようにミヤもあなたを信じているから」


「わかりました、皆さんが集まったら説明してみます」


それから数十分後……長老の家の前の広がった場所に総勢『43』が集まり

長老とスティナが外に出るのを待っている


そして長老の家に中にココとエミが呼びに来たので、スティナは長老と一緒に

家の外まで出ると、長老が口を開く。


「皆さん、今回の作戦は共同戦線です、今までは魔物に言われるがままでしたが

 今回でそれを終わらし……平和に過ごせる土地にしましょう、そして今回の指揮

 を務めるのは私ではなく、私の隣にいるこの子……スティナさんです」


ハンナ達はわかっていたが、エルフ達の方は驚いていた

名前だけは聴いていたが……明らかに『子供』の体格

この子を信じて勝てるかと言う疑問がボソボソとその場で喋る者がいる

その光景を見た長老は煽るようにその者達に言う


「この子を信じられないのなら1人でやりなさい、でも誰も助けないわ

 墓も立てない……1人で地に帰りなさい、それがお望みでしょ?」


その発言を聴いた直後、先程まで声が聴こえなくなり、エルフの人達全員が

スティナが喋るのを真面目な顔で待っている

そんな空気の中、スティナはゆっくり丁寧に戦闘の内容を説明しだす


「敵の拠点はココさんとミヤさんが見つけてくれました、1つ目はミノタウロス

 の住処、もう一つは大木を拠点にしてるハーピー達です

 これを2部隊に分け総力戦にします

 まず、ミノタウロスの方にはエステさんとエルフの弓隊10名、投擲隊10名です

 ハーピーの方にはハンナさんとエルフの弓隊10名、投擲隊10名です

 なお、ミヤさんは遊撃として伝令と押された戦場の援護に回ってもらいます

 作戦開始は早朝、皆さん武器の手入れと矢などの準備おねがいします!」


『オォーー!』


その場にいた全ての人達が気合を入れるための掛け声を思い思いにあげる

それは自分の気力を振るいたたえるための雄叫びにも聴こえ、スティナも

自分も頑張らないといけないと言う気持ちを引き締めてくれる

そんなスティナの元にミヤがやって来て質問する


「お姉様、私1人で遊撃と伝令ですか?

 伝令はココさんとエミさんがいるから大丈夫なような気がしますけど」


「そうだよ、ミヤの足なら両戦場を回れるし……それに両方できて

 私が信頼できるのはミヤだもん、お願いできないかな?」


ミヤはその言葉を聴くと両ほっぺを膨らませるとスティナに言う


「そういう言い方は卑怯ですよ……でも、お姉様に頼まれた大事なお仕事です

 精一杯頑張らせて頂きたいのですが」


「が? どうしたの?」


「ご褒美が欲しいので先に頂いときます」


それは一瞬の出来事、スティナとミヤの会話を聴いてる者はおらず

ほとんど者が自分の家に戻ったり弓隊や投擲隊で固まり割り振りをし出したり

ハンナとエステに至っては広場の端っこのほうで背中を向けたまま武器を手入れ

しているため、スティナとミヤを見ている者は誰1人いない


そんな時、ミヤはスティナの唇を奪った

それもスティナが動けないほど素早くそして鮮やかに奪うと

その場から逃げるように口を両手で押さえながらミヤは休憩家に向かっている

その光景を見ながらスティナはミヤを追いかけはせず、左手で唇を抑え

少し茫然とした後、ミヤが走り去った方向へスティナは1人叫ぶ


「ミヤーーのバカーー、私のファーストキス返せーーー!」


その発言を理解できた者はいず、ほとんどの人物が首を傾げていた中

背中を向けていたエステとハンナは背中を向けたまま

肩を震わせ笑っているようにスティナには見えたと言う

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