第85話-探索結果と今後-
ミヤが前線基地らしき物を見つけ次の場所に向かっている途中
ココはドライアーツの木の左側を地面に降り、歩きながら探索する
『下手に空中を動けばハーピーに遭遇しちゃう……それなら
まだミノタウロスのほうが逃げやすいから……歩こう』
ココは地面から長く生えた草を掻き分けながら進んでいく
しかし……敵もいなければそれらしき物が見つかる事はない
『この辺はないのかしら? それなら……もうちょっと北に行ってみよう』
ココは西方面に歩いていた場所を途中まで歩くと
目の前の木に落ちていた石で×の字を付け、歩き出す
『これで帰る途中も大丈夫……』
ココがしばらく歩くと……木の上空の葉っぱが揺れる気がして
急いで木に体を隠し、空を見上げるとそこにはハーピーが2体何かを探している
しばらくその場をキョロキョロと辺りを見回すと空を飛んでいく
『あのハーピー達はドライアーツを探しに? でもこの辺にドライアーツの
木が見当たらないし……もしかして私達を探しに?』
ココは一瞬そう考えたが、ドライアーツの木は目立つほどわかりやすく
生えていればすぐさま、それがドライアーツの木だとわかるほどなので
それに付いては除外し、もう一つの方……私とミヤさんを探しに来た方を疑う
『魔物がそこまで知恵のある生物だと思わないけど、もしかして……
いや、それはないはず……それとも魔物を使役する何者かが裏にいる?』
裏にいると言う事は、エルフ族からの裏切り者、またはこの土地以外から
この土地に来て、魔物を使役し……飼いならした魔物でこちらを狙っているのか
それならば……どうしてエルフの女性を捕獲するのか……など問題は山のように
あり、なによりエルフ族には女性しかおらず、男性はいない。
『とりあえず、もう少し先を見てから……元の場所に戻ろう』
ココは慎重に歩いていく……すると、また空中で葉っぱが揺れる音が聴こえた
ので身を隠し、上空を見上げるとそこにはミヤがいる、ミヤの姿を確認した
ココは上空を見上げながらミヤに声をかけると、ミヤは下に降りて
ココが隠れている場所に移動し、話始める
「ミヤさん? どうしてここにいるんですか?」
「ん……? ああ、ココさん、右側はほとんど見て来て、前線基地が1つ
それとここに来る途中にハーピーの住処らしい場所を見つけた」
「ハーピーの住処? ミノタウロスと同じ場所にいるんじゃ?」
「葉っぱの上にあった、それも大きな木がある所だったから目立つと思う」
「大きな木…………もしかして、この右上端にある『黄昏の大木』ですか?」
「右上かはわからないけど、大きな木の上の葉っぱが密集してる場所の
中に巣を作って、そこで活動してると思う」
『黄昏の大木』
昔、アルストナハトでは小さな木が1つ、外から来たであろう旅人によって
植えられた、ただの木だと思うエルフ達は放置し、そのまま時間と時代は流れ
気づいた時には大木となり、そこから枝が数多く別れ、葉っぱが密集し
鳥などの住処となったが……何時の間にかハーピーがその場を占領し
拠点にしているらしい
「なるほど……こちらは収穫と言うほどの物はありません
ミヤさんのお話をまとめると……前線基地が1つと大木に住処ですね」
「そうね、多分だけど……下の基地がミノタウロス、大木がハーピー
なのだけど、これは戦力を分断するのはちゃんと考えないとだめね」
「たしかに……戻ってスティナさんと長老にお伝えしましょう」
「りょーかい」
ミヤとココは木にジャンプすると木を蹴り、次の木を蹴り、空中を飛んでいく
しかし……そこから村まで戻るあいだにハーピーとミノタウロスには遭遇せず
夜でもないのに……どこか静まり返っていたが
ミヤとココが村に付き、長老の家に辿り着いた時、空には星が見えていた
「お姉様、ミヤとココ、ただいま帰りました!」
「おかえりなさ……い、でどうだった?」
ミヤは長老とココがいるのにも関わらず、スティナに抱き着く
その光景を長老とココは微笑ましく見つめた後
ミヤはスティナから離れ、スティナの横に座ると説明を始める
それをココはミヤの横に座り、長老とスティナにミヤの話を補足するように喋る
そして探索内容が伝わり、スティナはココから地図を受け取り、長老と地図を
見ながら睨めっこを始めながら喋る
「……前線基地がミノタウロス、大木がハーピーなのはわかりましたけど
問題はどうやって味方を分配するかですよね?」
「あら? 弓が上手な子をハーピーの住処で、ブーメランとスティナさん達の
味方さんをミノタウロスじゃだめなのかしら?」
「それだと……もしも、どちらかが罠だったら、こちらの村が危なくなります
もちろん、普通に考えるならそれで問題ないのですが……」
スティナはミヤが考えていた事をそのまま長老に喋ったのでミヤは少し内心で
驚きを隠せないでいた、スティナがここまで観察力があるとは思わなかった
それも、1つ先まで考えてる当たり、素晴らしいと思ったほどだ
「なるほどね、それなら今からこちらで弓とブーメランが使える子の人数を
確認してもらうから……それを分配してもらってもいいかしら?」
「わかりました」
スティナは長老の声に返事はするが顔を見ず、地図と地図に書かれた×文字の
基地と大木そして村を道を指でなぞりながら睨めっこをしたままでいる
その光景を不思議に思ったのかココがスティナに話かける
「スティナ……さん? 何かあったんですか?」
「え? あ……えっとね、遊撃できる人を用意してどこかに隠せないかなって」
「あ、それなら私が先程探索していた時に隠れれそうな場所を見つけてきました
たしか、このあたりと……この場所とこの辺ですね」
ココは地図の隠れそうな場所で指で三か所指すと、スティナはその場所に
石で×マークを付け、わかりやすくする
「この地図……丈夫なんですね、石でも切れる心配ないですし」
「それは『鹿の毛皮』よ、今ではもうこの土地では絶滅しちゃっているけど
昔はけっこうな数……住んでいたからその時に作ったのよ」
長老がココの言葉に説明すると『鹿の毛皮……凄いです』と頷きながら
スティナの顔を眺めていると……ミヤがココに話かける
「お姉様の事、じろじろ見てないで仲間の数数えてこなくていいの?」
「今先輩が数えに行ってくれてます、だから大丈夫です」
ココはそういって再度、地図を集中して眺めているスティナの横顔を眺めつづける
ミヤはそれを面白くなさそうな顔で見ていると、長老の家にココの先輩が現れる
その人物はスティナにココを紹介したあの時のピアスのないエルフである
スティナが長老に頼むよりも速く、事前に準備させていたであろう速さだった
「長老、頼まれた件のことなんですが」
「ええ、教えてもらってもいいかしら?」
「はい」
その女性はエルフ達の戦える人数を喋り出す