第82話-信用と信頼-
そこまでスティナが喋り終えた時、長老は喋り出す
まるでエルフ達が何を言い、スティナが何を言いたいのかをひたすら聴いていた
ように……
「……スティナさん、私達のほうが悪すぎるわね、ごめんなさい
スティナさんはこんな状況の時、どうしたらいいと思います?」
エルフ達そして長老の目がスティナに集まる、そんな状況はスティナは
臆することなく、真面目な顔で語り出す
「弓が駄目ならブーメランそれに火をつけ投げればいいです
もちろん、戻っては来ませんが、私達の仲間が傷を与えた部分を援護すればいい
弓の普通の矢がだめなら先体に火を付け顔を狙う、または傷に追撃すれば
すくなからず援護もできますし、ハーピーを撃ち落とす事もできます」
そこまで聴いた時、長老は驚いた顔をしたまま、スティナに話かける
「……あなたはそこまで考えていたのね、でも……どうしてそこまで?」
「やると決めたのなら……最前を尽くします、私の背中を押してくれた
仲間のために、私が考えられる最前を尽くすだけです」
「そう……それなら、今回の作戦は全て、スティナさんにまかせます
こちら側の兵士になる子、全てを自由に使ってくれてかまいません」
「長老?! 何を言っているんですか?! 相手はこの土地の人物じゃない
それに……私達を犠牲にしようとするかもですよ?!」
そう1人のエルフがそう言った時、長老は厳しい顔で睨み付け
小さい声で話に割り込んできたエルフに言う
「あなたは戦闘に参加しなくていいです、どことなりと逃げなさい
ただし……2度とこの村に戻ってこないでください」
「そんな?! 長老は私達よりそちらの人間を信用するつもりですか?!」
「当たり前じゃないかしら? だってあなた達の考えは使えないのよ
まだ……そうね、子供のほうが頭が回るんじゃないかしら?」
「……わかりました、この子の話は聞きます、ただし戦場での判断が
可笑しいと思ったら単独で行動させてもらいます」
「それならそれで構わないわ、勝手になさい」
長老はその人物の顔を見ないで言う……見ないでと言うより
もう見る必要も相手にする必要もないと考えたのだろう
「っと、ごめんなさいね、スティナさん……それで承諾してもらえるかしら?」
「私ではそこまで……この土地の事や、状況が読めないので
長老……申し訳ないのですが、一緒に話をし考えてくれませんか?」
「ええ、もちろんよ……私に協力できることがあればなんでもするわ
その前に……立ってないで私の前に座ってお話しましょう」
それは長老とスティナ……1対1で話をしようと言う言葉
身内の人間は信用できないと決め、話から除外したのだ
「わかりました……とりあえず、相手の拠点は1つなんですよね?」
「一応1つは見つけたのだけど……それ以外はわからないわ」
「……それならそうですね、この周辺に詳しくて足の速い人います?」
「いると思うけど……その子をどうするの?」
「偵察してもらいます、もちろん敵に見つからないように隠れて移動してもらって
危なくなったらすぐに撤退してもらって構いません」
「なるほど……その後、どうするか聴いてもいいかしら?」
スティナは長老に自分の考えを話だす
相手の拠点が1つならば2部隊で挟み込むように攻撃を仕掛ける
その時の陣形は前衛にハンナ、ミヤ、エステ
中衛にブーメランを持ったエルフ、後衛に火矢を放てるエルフ
最後方には盾を両手で持ったエルフ達
この陣形を組み、相手の拠点に攻撃を仕掛け、総力戦をする
「こんな感じなんですけど……どうでしょうか?」
「1つ質問いいかしら? 一番後方の盾を持った子達はどうしているの?」
「後ろから攻撃された時、ハーピーの滑空攻撃を盾で少しでも止めてもらって
その隙に味方が攻撃してきた敵を排除するという方法です」
「なるほど……じゃあ拠点が2つ3つとあった場合は?」
「それなら、味方を数を分担します、拠点の大きさ次第で魔物の数も違うでしょう
し、まぁ……偵察してもらわないと何もわからないんですけど」
「そこまで考えてくれれば十分よ、偵察は夜でいいかしら?
それまでにこちらで何人か準備させておくわ」
「じゃあこちらからも1人用意します、その方が情報と土地が知れますし」
「わかったわ、ではまた後でここに来てね」
「はい」
スティナはそういうと長老以外に見向きもせず、家を出ると
先程まで座って言葉を発しなかった1人のエルフがスティナ前に走って来て
喋り出す
「先程をすみませんでした……私はスティナさんに協力させてください
何かできる事があれば、まだ未熟ですが私の部隊を使ってください」
「部隊と言う事は……何個かに別れているのですか?」
「あ、はい……精鋭は先程煩く行った2人のほうですが、新人や若い子は
私の部隊にいます、もしも文句が言う子がいれば私が説得するので
だめでしょうか? 足の速い子います」
「それなら、少しお借りしてもいいですか?」
「もちろんです、では後程、足の速い子を長老の家までお連れします」
そう言って片耳にピアスのしていない女性エルフと別れた後
スティナは休憩家をめざし歩きながら心の中で思う
『……緊張した、あんな言葉使いしたことないもん、でもこれで
私が怖いと言う印象は与えたはずだし……大丈夫よね』
そうスティナは心の中で納得するが、両手の掌が汗でべたべたになっているのを
慌ててスカートで拭くと……歩き出す