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ここから始まる表と裏の物語-the back a story-episode1  作者: 鈴菜
第11章-エルミィティガルド-
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第81話-人として背中を預けられる存在-

誰もが誰も全てを完璧にできるわけがない、だからこそ『適材適所』と言う言葉があるように……ハンナとミヤはそれを伝えたかった


必ずしもスティナが弱いから……戦闘なれしていないからと言って指揮側に回した訳ではない、ハンナとミヤは何年も戦いをしており、体は戦闘に慣れている

もちろん、自分で考え行動することは容易にできるが、味方全てを把握して

指揮をやれと言われたらまず無理に近いだろう


ではどうしてハンナとミヤはスティナに指揮を進めたのか?

その理由は……スティナ自身が周りに気を配り戦える人物だからと

ハンナとミヤは見ている、かと言っても今までの戦いの中では個人技が多く

戦争と言った十数名を使い戦う物はなく、そう言う面だけどを見れば

スティナは『まだ』ハンナやミヤ、それにエステからも劣っている


だがしかし……スティナ自身が腕を上げハンナ達と並び立った時

1人でも指揮できる者がいればその戦況の勝ちは2倍、3倍へと跳ね上がる

それもスティナを含め4人の中で最も若く、伸びるのはスティナであり

ミヤに至っては『戦う』ほうの思考が高く、味方の援護などではなく

『個人』として動く割合が多かったために……味方をほとんど見ていない

それをハンナは知っているため、スティナを押した


しかしエステは最初、ハンナを押していたのも理由がある

エステ自身、スティナ達と一緒に行動するのが一番遅く、個人個人のちゃんとして

分析も中途半端に近い、そう考えた時に……一番歳が上に期待できるのはハンナに

なる、だからこそエステは『勝てる確率が上がる』ハンナを押した

だが……ハンナとミヤの言葉の意味を理解した事により、スティナにまかせた


さらにハンナとミヤの戦闘力は高く、ある程度の状況、環境ならば行動はでき

少しの味方ならばフォローし援護に回れるが、現在のスティナでは逆に援護なしではミノタウロス、ハーピーと1人で戦えるとはハンナもミヤも思っていなかった

もちろん、スティナ自身の引き出し切れていない部分はあると思うが

それを今鍛えられるほど、この土地にはない、敵とぶつかった時には

殺意と殺意、殺すか殺されるか……そんな状況を感じ取り動かないといけない

それを『今』この時にスティナに感じ取ってほしい

それがハンナとミヤが口に出さず……スティナにわかってほしかった部分である


そんな中……スティナは長老の家の前まで歩き、中に入るとそこには

長老含め、女性4人のエルフの人達が座り何やら作戦会議を始めている

そのうちの2人は片耳に木のピアスらしい物をはめ、1人は付けていない


「……ようは人間を前において後ろから私達が援護すればいいのよね?」


「そうそう、彼奴らはミノタウロス倒せるんだし、後ろで弓撃ってれば勝てる」


そんな言葉がスティナの耳に届く、もちろん悪気があってエルフ達がそう言っている訳ではない、エルフ達は接近……剣などを持って戦うのには弱く

後衛を務め、味方の援護をする……はずなのだが、エルフ達は既に

『ミノタウロス』には勝てない、そう思っているからスティナ達にまかせ

自分達は援護すればいいと楽観的に考えてしまう


それがわかっているからこそ、スティナのその人物達の会話に割って入る


「私達に期待しても、限界はあります、メンバーを2つに分けるとするならば

 私は後ろ側、エステさんとミヤ、ハンナさんに前衛をやらせるんですか?」


「し、しかたないでしょ! ミノタウロスに勝てるのはあなた達だけなんだから」


「……じゃあエルフの人達はミノタウロスに勝とうとしました?

 策を考えました? 最後の最後まで足掻きました?」


スティナがそう言った時、長老を含め誰1人として声を発する者はいない

それに追い打ちをかけるようにスティナはさらに喋り続ける


「なーんだ、じゃあ勝てない勝てない言って一般の人を犠牲にして

 自分達は安全に生き長られて来たって言うわけですね

 犠牲になった人達はどんな思いでミノタウロスの所に言ったんでしょうね」


「あ、あんたに何がわかるの?! 弓が効かないのよ! どうしろと言うのよ」


「弓の矢が効かないのなら、矢に火を付けました? それが駄目なら

 他の方法は試しました? もちろん……したんですよね?」


スティナはイラついた顔で喋る、それは煽りでもあり……軽蔑である

人が犠牲になっているのに一刻も早く助けに行こう、倒すのにはどうしたら良いか

それすらも考えないで『無理』だと決めつけ、諦め犠牲を出し続ける

そんな状況で何時間と話をした所で時間の無駄ある


「……もういいです、『何の役に起たない』人達は村で怯えてればいい

 私達は船を待ち、この土地から出させてもらいます」


「それは話が違うでしょ?! 共闘なんだから力を貸しなさいよ!」


4人のエルフの1人が立ち上がり、スティナの前に来ると怒鳴りつける

それを軽蔑したまなざしのスティナははっきりと言う


「……共闘? 勝つ気もなし、味方を助ける気もなし、人任せにして

 自分達はおんぶにだっこ……それで勝てるなら苦労も何もないですよ

 あなた達は何様なんですか? こちらからしたら『他人』なんですから

 当たり前のように自分の主張を押し付けないでくださいよ」


スティナが怒り、見下すような言葉をひたすらにエルフ達にぶつける

それはハンナ達の前ではけして見せない光景……見せないと言うより

見せる必要のない、スティナ自身もそこまで世間を知っているわけではないし

頭ごなしに言い続けたとしても……理解されるわけもないが

今スティナの目の前にいる人達はスティナが何をし、何をしてきたのかは知らない

だからこそ言える言葉であるが……少なからず

この土地はエルフの物で……守る対象もエルフである

それならば……頑張らないといけない対象がどちらなのかはすぐにわかる事だ

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