第2話-武器を使うと言う事-
リドラーさんに案内され、辿り着いた場所は自分の居た部屋の2倍ぐらいの部屋
左右の端には剣、槍、斧……数々の武器が置いてあり
リドラーさんはその武器を触りながら私に話かけてくる。
「スティナちゃん、どの武器がいい? 初心者なら小型の方がいいだろ」
そういってリドラーさんがナイフを取り、私に渡そうとした時、私は断った。
「私は……お母さんに教わった『剣術』があります、だから剣にします」
「そうか、じゃあこれを使うといい、私も同じ物を使おう」
そういってリドラーさんは私に『ショートソード』を手渡し
同じショートソードを手に持つと、私と距離を取り、武器を構え
私に話かけてくる。
「……準備はいいかい? お互い武器が刺さるか斬れそうになったら終了だ」
「はい、わかりました」
しかしながら私は人に剣を向けた事がない。
母親は『盗賊に襲われた時、自分の身を守るために教えてあげる』と言った
母親がいなくなってからは自分で狩りに行ったりはしなかったため
1人で教わった練習方法を試していたぐらい。
「さて……お手並み拝見といこうか、お嬢ちゃん」
リドラーさんは走りながら右手で持っていた剣を私に横払いしてくる
私はそれを半歩後ろに避け、左手でもった剣をリドラーさんに頭上から切り込む
しかし……その攻撃は避けられ、リドラーさんは余裕の表情で武器を構え直し
私に切りかかってくる、その攻撃は頭上、それを防ぐと今度は横払い……
私が必死になって避けているとリドラーさんは私に話かけてくる。
「逃げてばかりじゃ決着はつかない……剣を人に向けると言う事は
向けた人を殺す覚悟で行かなくてはいけないんだ」
「殺さなくても動けないようにすれば……!」
私はその言葉に反論するようにリドラーさんに言い返したが
リドラーさんは攻撃の手を緩める事無く、私に言う。
「君は、相手の足を斬って動けなくすればいいか?」
頭上からの切り込み、それを私は両手で剣を持ち、その攻撃を受け止める
しかし、リドラーさんはすぐ剣を構え直すと……横に払ってくる。
「動けなくてして、その後……その人はどうする? 足が使えなくなったら
手だって一緒だ、手を斬れば斬った方の手が使えなくなる」
横払いを後ろに避けるとリドラーさんは左足を踏み込む、下から剣を上へ
すくい上げる攻撃をしながら話を進める
私はその攻撃を再度後ろに避け、武器を構え、横払いするが
リドラーさんは最小限の動きで私の攻撃を避ける。
「そんな状態に自分がなったらどうする? 苦しい思いをするだけだ
だったら……人思いに殺してしまったほうがいいに決まっている」
「それでも……私は殺したくはないです、人と人が争うなんて!」
その言葉を聴いたリドラーさんは優しいな顔と悲しい顔
どちらかわからない表情で私に言う。
「それは『偽善』だよ、それに……人間と言うのは欲に強い生物だ
偽善者だらけなら……殺し合いなんて起こらない」
私が黙っているとリドラーさんは剣で私を突き刺しにかかってくる
その攻撃を私は自分の剣ですくい上げ、リドラーさんの剣を吹き飛ばす
しかし……試合はまだ終わっていない。
「……それにスティナちゃん、人を殺して嬉しい人間なんていないんだ
だけど、殺した人の名前、顔なんて覚えていないのだから」
そういってリドラーさんは私に回し蹴りをする
その攻撃に私は対応することができなく剣を吹き飛ばされると
首を手で優しくつかまれ……戦いは終わる。
「悪かったね、戦い中なのに話しかけてしまって」
そういってその場に座り込んだ私に右手を差し出すリドラーさんがいる
私はその手を取りながらリドラーさんに言う。
「……いいえ、武器を扱うと言う重みを知って使わないといけないんですね
私は……少し甘く考えて居たのかもしれません」
「この世界は……いや、ここも同じだ、もしかしたら明日には目の前にいる
仲の良い人すらいなくなる、それを食い止めるために戦うんだ」
リドラーさんは続けて私に笑顔で少しからかいながら言う。
「もちろん、君も同じだ、私が危なくなったら助ける、だけど……
私が危なくなったら抱き着いて助けてくれよ?」
「……助けはしますが、抱き着きはしません」
「まじかよ……俺の夢が……」
「ヒーナさんとハンナさんに頼めればいいんじゃ?」
「無理無理、あの2人に頼んだら『そこで死ねばいい』と言われたし
実に世知辛い世の中だよな……」
私とリドラーさんが話をしている場所より少し遠くにいるヒーナさんに
1人の男性が声をかける。
「あいつは誰だ? 総長……師匠の知り合いか?」
「知り合いというか、今日から仲間になる子だよ……リク、あんたも仲良くしな」
「断る、俺は女は好かないし……弱い奴はもっと嫌いなんでな」
そう言うとリクはリドラーの方へと歩いていき、リドラーに話かける。
「師匠、新しい新人ですか?」
「そうだな、スティナちゃんと言う、仲良くしてやってくれ」
「断ります、弱い奴には興味ありませんので」
私はリドラーさんの目の前に来た男の人の事は知らないが……
正直いきなり『弱い奴』呼ばわりされるのが少しだけムカついた。
「弱いか……なら試しにやってみればいい、お前は専用の武器を使って良い」
「は? そんな事をしたらあいつ死にますよ?」
「いや、死なないさ」
「……わかりました、やってみます」
リドラーさんとその男性の話が終わり、その男性が私に話かけてくる。
「俺の名前は『リク・カイナス』、お前に勝負を申し込む」
リクと呼ばれた男性の両手にはナックルが装着されていた。