第78話-話の裏側と心の読み合い-
エルフの人々は自分の身を犠牲にして村を守っていた
しかし……それはミノタウロスをさらに調子に乗せているのと同じ事である
脅せば『貢物』が貰えるのがわかれば、それを繰り返せばいい
そんな時にスティナ達があらわれミノタウロスを討伐したのだ
「ところで……あなた達はミノタウロスを倒したって本当かしら?」
長老の御婆さんは話を変えるようにスティナ達に質問する
それは……これ以上聴かないでくれと言う無言の言葉のように聴こえた
それを理解してか、ハンナは長老の質問に答える
「ええ、私1人ではなく……私の味方3人の力を借りて倒したんです」
「そう……あなた達4人がミノタウロスを倒したのね
ミノタウロスは数えるぐらいしか個体がいないから倒せるだけで凄いのだけど」
「……長老、あなたが言いたいのは『私達に戦いに協力して欲しい』
と言いたいのですよね? 遠回しすぎると寝ちゃうので言わせてもらいます」
ハンナは苦笑を浮かべながら長老に言うと
ハンナが気づくのがわかっていたように長老は微笑み、喋り出す
「その通り……もしもよければ協力してくれないかしら?」
「嫌です」
ハンナは、はっきりと長老にそう言った
もちろん、ハンナなりに理由があって断ったのは長老も理解しているだろう
しかし……その理由が気になるのはスティナ達も同じである
「どうして嫌なのか……教えてもらってもいいかしら?」
「私達が大変というか辛くなるのに対して……その恩恵がないのです
まるで……ただ働きしてくださいと言ってるような物だから」
「……それもそうね、それは悪いから、そうね……こっちからは
そこにいる『ミヤ』さんの過去のお話はどうかしら?」
それを聴いたミヤは少し驚いた表情をしたが、すぐに厳しい顔をすると
長老の言葉に怒った口調で言う
「私の過去話が本当だとしても……それを餌に手伝わせるってことよね?
それなら私はそんな情報はいらない、何時か自分で見つけてみせるから」
その言葉に誰1人として突っ込む者はいないかに見えたが
スティナがその会話に割り込む
「……私は長老さんの依頼受けてもいいと思います
ただ、依頼ではなく『共闘』と言う形でミヤの情報もくれればいいです」
「お姉様?! 私の事はいいです、あんな安っぽい餌に釣られなくても」
「良いの……たしかに私1人で決める事はできないけど
この村……ミミナさんを助けたいし、それに出会ってしまって起きてしまった事 だからそれに目を背けたくないの」
「ほぅ……スティナも言うようになったな、良いだろう、俺も付き合うぜ
人間じゃなく魔物狩りもこの先役にたつはずだからな」
「エステさん……ミヤとハンナさんはどうですか?」
「私は反対だったけど……スティナがそこまで言うのなら私も頑張るよ
それに……ここで頑固に断ったらスティナに嫌われてしまうからね」
ハンナは笑いながらスティナの言葉に答える、それを微笑みながらスティナは
『ありがとうございます』と小さくお辞儀をするとミヤがスティナに言う
「まったく……お姉様はお節介なんですから、でもそれがお姉様の良い所ですね
わかりました、その……『共闘』なら私も協力させてもらいます」
それを聴いた長老は微笑みながらスティナを見ると、喋る
「ありがとう、スティナちゃん……だったかしら
それと共闘のお話はこちらからもお願いします」
そう言って長老は深々と床に頭を付けるぎりぎりまで頭を下げた後
頭を上げ、喋り続ける
「じゃあまずは『ミヤ』さんのお話をしないといけないわね
ただ……悪いのだけど、ミヤさんと私だけでお話させてもらえるかしら?」
「わかりました」
スティナはそう言うとミヤをその場に残し、家の外に出る
それを確認した長老はミヤに話かける
「……それじゃあ、話を始めましょう、あなたのお父さんとお母さんのお話を」