第77話-村の真実-
ミミナとスティナ達は村の中を歩いている途中、周りにいる人々の目線は
どこかそっけなく余所者を見る以上に警戒されているのがわかる
それは……スティナ達ではなくミミナも同じである
「私達はわかるけど……どうしてミミナさんまで……」
スティナは小さい声でそう言ったのをハンナは見逃さず、スティナに教える
「余所者……私達を連れてきたのはミミナだ、それも村の中に入れてる
それだけでミミナにたいしての信頼は少なからず下がっている」
「そんな……ミミナさんは助けてくれたお礼に私達を案内しただけなのに」
「知っている者からすればそれでいいが……少なくてもこの村のほとんどの人が
私達がミミナを助けたと思っていないのかもしれない」
「ハンナさんは他にどういう事があると思います?」
「そうだな……例えば私達がミミナを脅して一番偉い人物に会わせろと脅した
または、ミミナを人質に村を支配しにきた余所者……とかな」
ハンナはそこまで言うとそれ以上喋らなかった……その理由は
スティナが下を向いたままどこか悔しそうな表情をしたからであり
その表情の意味をハンナは理解しているため、それ以上言うのをやめた
そんな話をしているとミミナが立ち止まり、スティナ達に話かける
「ここが長老の家よ、悪いけど……少しだけ待っていて」
そう言うとミミナは長老の家の中に入っていく……
その場に残されたスティナ達はギスギスとした空気の中、その場で待ち
しばらくすると、ミミナが外に出て来て中に案内する
そこは先程スティナ達が休んだ家と同じ作りになっているが
長老の家だけあって先程の家の2倍は広い
その家の真ん中にある丸い大きな柱に寄りかかるように長老は座っており
少し腰を起こすとスティナ達に話かける
「……ようこそ、さぁ、そこに座ってくださいな」
長老がスティナ達を床に座るように進める、その床には綺麗な毛皮があり
その毛皮に座る形でスティナ達4人は座る
そして座ったのを確認すると、長老はゆっくりと話を始める
「まずはミミナを助けてくれてありがとう……あともう1つ知っていると思うけど
この土地では私達『エルフ族』と魔物……ハーピーとミノタウロスの戦いがある
今は丁度その真っ只中と言うところね」
「えるふ……族?」
スティナが長老に向かって小さくそう言うと、長老は微笑みながら教えてくれる
「エルフ族は……昔滅んだと言われた人類よ、この耳と黄金の髪
細い腕による繊細な作業を得意としたのだけど……それは時代を歩く事に
衰退して今では……耳と髪、年齢……ぐらいしか自慢できる物はないわね」
「……私はえるふ族……ミミナさんの髪や耳は素敵だと思いますよ」
「ありがとう、若い子にそういってもらえただけで今まで生きた意味があるわ」
そう言いながら長老が微笑んだ後……険しい顔をし、スティナ達に言う
「でもね、私達がミノタウロスには勝てないのよ」
「今までお互いが均衡を保って戦ってきたのでは?」
ハンナが長老の言葉に突っ込む形でそう言うと、長老は横に首を振り説明する
「私達はハーピー『だけ』なら勝てるわ、でも私達の腕力、弓では
ミノタウロスには勝てないのよ……だから、『貢物』しているの」
「貢物?」
「簡単なお話、村の誰かにお願いしてミノタウロスの元に行ってもらうの
それは……村の戦えない人達が犠牲になっているの……」
それはいわゆる『貢物』ではなく……人をミノタウロスに貢ぎ
戦いを緩め、生き延びてるだけなのかも知れない
そんな事情がこの村に合ったのはスティナ達4人が知るよしもなかった