第76話-少しの休息-
ミミナの案内の元、スティナ達はミミナの住んでいると言う村にまで
ジャングルの中を進み歩いて行く……
「……ねぇ、何時になったら着くのよ」
ミヤは一番先頭を歩きながら邪魔な木や草をナイフを斬りながら道を作り
その後ろをスティナ、ミミナ、エステ、ハンナの順番歩く
「あと少し……」
「さっきからそれしか聴いてないんだけど……まさか迷ってないわよね?」
「そんな事はないわ、ちゃんと村に向かってるから大丈夫」
それから30分以上歩いた頃……ミミナが言っていた村が見える
その外見は木の壁とも言える城壁があり、その中に木でできた家が建っている中
その村に近づくと入口に立っていたミミナと似たような人物が3人ほどきて
ミミナ以外の人物に弓を構える、それを慌ててミミナは止めようと声をかける
「違う! この人達は私を助けてくれたの……お礼をするために連れて来た」
「……それは本当か?」
「本当よ、だから村の中に入れて」
ミミナの仲間らしい人達とミミナが話している最中、その人達の後ろから
腰が曲がった背の小さい御婆さんがこちらに歩いていてミミナに話かける
「ふむ……ミミナを助けたと言うのはあなた達かしら?」
その御婆さんはスティナ達を細めでみる……しかし一瞬だけミヤを見ると
少し驚いた顔をしたが、すぐミミナの方向に目をやると、話を進める
「ここで立ち話もなんでしょう、報告に来た守兵の子に
休む場所を用意させたから付いてきなさい
そこで少し休んだら……お話を聴かせてね」
そう言うと御婆さんは村の中に入っていく……すると先程までミミナを疑っていた
守兵の一人は少し嫌そうな顔をしながらスティナ達に話かける
「長老がそういうから……中に入る事は許す、ただもしも
騒ぎを起こしたら容赦なく射貫く、その覚悟をもって入れ」
スティナ達はその言葉に頷くと村の入口から中に入って行き
村の中で待っていた守兵の1人がミミナに話かける
「あの家を使って……ただ、他の皆はそこまでミミナの連れを
信用してないから気を付けて……」
「わかったわ、用意してくれてありがとう」
「いいわよ、あなたと私の仲でしょ?」
そう言うとミミナと話をしていた女性は村の入口へと歩いていくのを見た後
ミミナはスティナ達に『こっちに来て』と言い、家に案内してくれる
その中の外見は家の中央に大きな丸い木が立っており、その周りを囲むように
ななめに4つの毛皮の布団と毛布が引かれており、端っこの木のテーブルには
果物らしい物が何個かおいてあり、その布団の上に1人1人座る
「お腹が空いたらテーブルの上にあるのを食べて、毒は入ってないわ」
そう言われた直後、スティナはテーブルの上の果物を取り、ミミナの目の前で
『この果物は?』と1つ1つ聴いていく、それを丁寧にミミナは教えて行く中
ミヤは1つの果物を覚えていた
「これは……アクナリアの実?」
「あら……あなたよく知ってるわね、この辺で取れるのは珍しい果物なのよ」
『アクナリアの実』
エルミィティガルドに自生する果物、林檎のような大きさで味は蜜柑に近い
エルミィティガルドでも人気ある果物だが、その数は少ない
外の世界にでる事はめったになく、手に入れられたとしても高額な果物
「……小さい頃に母親に食べさせてもらった事があるのよ」
「そう? 外の世界で食べられるなんて……珍しい事もあるのね」
そんな中、スティナはミミナに教えて貰った果物の何個かをハンナに頼み
剥いてもらう、ハンナの手先は器用で兎の形だったり花の形だったりと
綺麗に作り、スティナを楽しませている
「食べ物で遊ぶなよ……それに綺麗にそういう作ったら食べにくいだろ」
「そんな事はない……楽しみながら食べればいい、生物を作るのは苦手だしな」
エステの言葉にハンナは少し微笑むとまたスティナに言われた通り次の果物を
手に取ると、空中に投げ綺麗に斬る、それを見たエステは小さな声で言う
「ハンナさん……あんたは過保護と言うか……本当に『お母さん』だな」
しばらく家の中でそうしているとミミナが立ち上がり
座っているスティナ達に声をかける
「そろそろ長老の所に向かいましょう、長老の家は村の一番奥にあるわ」
そう言ってミミナとスティナ達は家を出て、長老の家を目指す