第72話-魔物-
私達の目の前にいる生物は『ミノタウロス』と言う生物らしい
その姿は先程言った通り……牛頭に半裸で下半身が布みたいな物で隠れている
持っている武器は大斧、それを両手で持ちながらこちらに鼻息荒く近寄って来る
「これぐらい、私1人で十分です!」
ミヤが武器『アルインダーナイフ』を構え、ミノタウロスに斬りかかる
ミノタウロスはミヤの速度に目が追い付かず、その場から動けない状態で
ミヤの一撃を胸元にクロス斬りを浴びせた後、後ろに一回転しながら着地する
しかし……ミヤの斬撃を受けたミノタウロスは平然とした顔でその場に立っており
ミヤの一撃はかすり傷程度にしか感じていないようである
「嘘でしょ……あの化物、皮膚が硬すぎる……」
「それなら……私の打撃で行く」
ハンナさんはミヤと交換する感じでミノタウロスに突撃をする
その手には『ツヴァイ・アーツ・トンファー』が両手に握られており
右手から放たれた一撃がミノタウロスの右顔を直撃する
「皮膚が硬いのなら、顔は……!」
しかし、その一撃もミノタウロスは殴られた顔を大斧をその場において掻いている
まるでその一撃は虫に刺された程度にしか感じていない
「まるで岩みたいな硬さだな……どうする? ミヤ」
「どうするって言われてもねぇ……」
そう2人が悩んでいるとミノタウロスが大斧を両手で持ち直し、2人の居る場所に
振り下ろす、その一撃を2人は間一髪かわすことに成功するが……その地面は
大きな衝撃を浴びたかのようなクレーターができている
「おいおい……あの一撃を食らったら生きてるわけないよな」
エステさんが私にそう言った時……私はある事に気づく
ハンナさんが殴った顔は傷もないし、痣もない
しかしミヤが斬った胸元には傷が残っている
それならば……同じところを斬り続ければミノタウロスの頑強な肉体にも
ダメージを与え倒す事ができるのではないかと思い、3人に言ってみる
「あ、あの……ミノタウロスの胸元に皆で総攻撃をしかけてみましょう」
「わかった……私は打撃だから最後の一撃にする」
「りょーかいです、お姉様! 初陣は私がもらいますね!」
「なら……俺はスティナの次に援護する、その方が安全だろ?」
まるで3人は私がしたいことを読んでいたのか言うのがわかっていたのか
私の言葉にすぐさまに納得し、行動を起こそうとしてくれる
「じゃあ、ミヤ、私、エステさん、ハンナさんの順番で!」
私がそう言うと私を含め3人はミノタウロスを囲むように動き
ミヤはミノタウロスに走り出し胸元に切り込む
その攻撃にミノタウロスは反応し、大斧を横に振り払う
ミヤはそれを後ろに避けたと同時に前に勢いをつけ、胸元を斬った後
私の所まで戻ると武器を仕舞い、私の右手を両手で握りながら言う
「お姉様! 次おねがいします!」
「うんっ!」
私はミヤの言葉に頷きながら言うと……走り出すが
目の前のミノタウロスは平然とした顔で振り払った武器を構え直し
私に大斧を振り下ろそうとするがその動きは遅い
だからこそ、私は……ミヤの動きを真似せず『1歩前へ踏み込む』
そうすることで私はミノタウロスの懐に踏み込むことで大斧は私を素通りして
何もない地面に大斧が振り下ろされる
そして……私は左手で抜き取った右腰のロングソードでミノタウロスの胸元を
突き刺し、剣を抜く、しかし……ミノタウロスは体を少しぐらつかせると
大斧を持ち直し、こちらの次の攻撃を追撃しようとする
「では、エステさん! お願いします!」
私はその場から後ろにバックステップするとエステさんが私の左右から
キル・マッチを飛ばし、ミノタウロスの胸元めがけ飛んで行く
そしてキルマッチはミノタウルスに吸い込まれ、胸元を切り裂き
これで3人の攻撃が……ミノタウロスの一点に集まる
「後は頼むぞ……ハンナさん」
「……わかった」
最後の1人、ハンナさんがエステさんの言葉でミノタウロスに突撃し
胸元を右手のトンファーを殴るが……ミノタウロスは倒れない
「しまった……! 浅かったか?!」
そうハンナさんが言った時……ミノタウロスは後ろに倒れ絶命する
それを確認したハンナさんはこちらを向き、私達に言う
「……死んでいる、さて……あの子の援護に行こう」
私達はミミナがハーピーを誘導したであろう海辺の方向へ走り出す