第69話-スティナの考え事と仲間の考え方-
ミナセ達が次の船を待っている頃……一足早くスティナ達は船旅をしている
しかし……スティナは肘をデッキの手すりに付け、1人海を見つめ続けている
その光景を見たハンナ達は少し離れた場所で小さな声で話始める
「おい……スティナはどうしたんだ?」
「ハンナ、それぐらいわかりなさいよ……お母さんと会えたのに
すぐお別れだもの戻りたくてしかたないはずよ……」
「なるほど……ミヤ、少し話かけたらどうだ?」
「やめとく……私はそういうの苦手だからね」
「なら、俺が話かけてこようか?」
エステが2人の会話に割り込み笑顔で言うが、2人は真面目な顔でエステに
同時に同じ言葉で話しかける
『やめとけ、ただのナンパになる』
「そんな事はないと思うが……まぁ、そっとしとくか……」
3人がスティナの心配をしながら船旅を進めている中
スティナはこんな事を考えていた。
『お母さん……やっぱり生きてたんだ、それも元気そうだし、心配しなくても
よかった、それにそのうち……会いそうだし、今はほっとこ……
でも、どうしてお母さんがあんなところに……?』
そう思いたった時、スティナはある疑問にたどり着く、それは
ロストが何も喋らない事、スティナはロストに小さな声で話かけてみる
「ねぇ、ロスト……起きてる?」
『ああ、どうした? 何か変な生物でも見つけたか?』
「変な生物は見つけなかったけど……お母さんなら見つけたよ」
『……そうか、それはよかったな、元気そうだったか?』
「う、うん……元気が有り余ってそうな顔だったよ?」
スティナが少し疑問に思った、何時ものロストなら私のお母さんがどんな人物か
聴いてきても可笑しくないと不思議に思ったのだが、普通に心配してくれたのだ
もちろん……ロストが私のお母さん、ミナセを知っている訳がないのだから
「またそのうち会えそうな気がするの、ロストもそう思うでしょ?」
『ああ、そうだな……俺もそう思う、だから心配しないで前を向け』
「やけに優しいのね、もしかして私のお母さんの事知っているの?」
『知るわけないだろ? 第一、俺がお前の母親と会った事のは一度だけ
スティナに剣を渡した時ぐらいで、その時の俺は寝ていたぞ?』
「それもそっか……なら知らないのね、じゃあ、今度紹介してあげるね」
『ああ、楽しみにしている』
ロストに取っては『懐かしい人物』であり、何時かもう一度話してみたい相手
スティナがこのまま前を歩けば、ミナセと会う道があるはず
だからロストは楽しみでしかたなかった……数年振りの出会いを
「さてっと……また頑張っていかないとね!」
スティナは両手を上に伸ばしながら独り言を洩らした時
隣にミヤがやって来て、スティナの左肩に両手を置きながら言う
「そうです、頑張っていきましょうね! お姉様!」
そして反対側の右肩にはハンナが左手を置き、微笑みながら言う
「大丈夫だ、お前の進む道は私達もいる……心配するな」
「2人共……ありがとう」
スティナがミヤとハンナに笑顔でそう言った……が
スティナの後ろで1人……寂しそうに喋り出す人物がいた
「まぁ……俺もいるわけだ、力仕事とかその辺はまかせておけよ」
「あ……エ、エステさんもありがとうございます」
スティナが後ろを振り向き笑顔でそう言うがエステの悲しいな顔はそのままで
スティナに嫌味混じりに話かける
「お前、俺の事を忘れただろ? それぐらいすぐわかるぞ」
「そんな事ないですってばー! ちゃんとわかってますよー」
それを聴いたスティナはエステの前まで行くと
後ろで両手組みながら前屈みに笑顔で言う
それを少し離れて見ていたハンナとミヤは話始める
「ねぇ……ハンナ、お姉様が段々男の扱い上手くなってるわよ」
「そうだな、誰のせいだ……まったく」
「十中八九……ハンナのせいだと思うわよ」
「そんな事はない……ぞ?」
ハンナが首を横に傾けながらそう言った時、船が船着き場に付き
船員が大きな声で言う
『船付き場に付いた、さぁ……お客さん、降りた降りた』
船員の何人かがスティナ達をここが終点だと言わんばかりに船の外に追い出し
スティナ、ハンナ、ミヤ、エステがその土地に降りた時、船は出発してしまう
それはまるで4人をその場所に『放置』するかのように……