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ここから始まる表と裏の物語-the back a story-episode1  作者: 鈴菜
第9章-ミナセの過去とあの時の真実-
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第67話-始まりの物語-

「うん……これだけスティナを抱きしめれば……しばらくは大丈夫」


ミナセは小さな声でそう言うと、地面に落ちたロストを拾うと

ヘンデスヘルスに貰った石を剣に合わせ……1つの力を剣に託す

その力こそ『ロスト・タイム・システム』命名者はロスト本人である


その力を付加した後、ミナセはスティナに剣を渡し真面目な顔で喋り出す


「スティナ、この剣をあげる……今は抜けないかもしれない、けど

 あなたがどうしても困った時にこの剣は協力してくれるはずよ」


スティナはミナセから剣を受け取ると抜こうとするが抜けない

それを微笑みながらミナセはまたスティナに言う


「……頑張りなさい、スティナは私の子供なのだから、きっと大丈夫

 その剣が導いてくれる道を歩みなさい、それがあなたの冒険になるわ」


「お母さん……? 何を言っているの?」


「ふふ、ちょっとだけスティナに助言をしてあげてるだけ

 それと……心を強く持ちなさい、私は絶対に大丈夫だから」


その時……あの塵旋風ダストデビルが起き

ミナセとスティナの家に襲いかかってくる


外では村の人々の騒ぎ声……鳴き声……が響く

そんな状態でもミナセは落ち着きながら言う


「スティナ、あなたは大丈夫……きっとあなたの歩む道に私はいるわ」


そう言ってミナセはスティナを押し家の外に出すと塵旋風に巻き込まれる

その光景をスティナはその場に座り……泣きながら叫ぶ


「お母さん……?! お母さん……」


塵旋風に巻き込まれた瞬間にミナセは剣に言われた通り、石を使うと

何かに共鳴したように石が光だし……ミナセを包み姿を消す

その光を感じたのか、今まで無言だったロストが心の中で言う


『……行ったか、まぁ……助言した所でこの子が理解できるか……

 それを見せてもらうぞ、ミナセ・スティナベルク……また会おう』


ミナセが次に目が覚めた所は……先程の遺跡の箱の前

ミナセは起き上がり、箱の中を見ると減った石と剣が無くなっていた

それを見たミナセは少しだけ微笑みながら独り言を洩らす


「夢じゃなかったのね……ロスト、スティナをよろしくね」


その直後、ローラントが突然後ろに現れ、地面に尻餅を付きながら

目の前にミナセに言う


「やっと戻ってこれた……ミナセ、剣はどうなった?!」


「実は……消えちゃった」


「消えた?!」


ローラントは慌てて起き上がり、箱の中を見ると剣がない事に気づく


「まじか……それも石が1個減って7個か……」


「で、ローラント、石の効果はわかったの?」


「え? ああ……この石は土地名を言っても飛ばされるわけではなく

 自分の頭の中にある『イメージ』した場所に飛ぶ事ができる

 お陰で土地名ばっかり思いながら石に念じてたから中々戻ってこれなかった」


「なるほどね……じゃあ、ローラント、石も余ってるし

 私に付き合ってよ、行きたい場所があるの」


「行きたい場所? 石を使うぐらいだから……元の場所とかか?」


「それもあるけど……遺跡巡りをしてみたいの、強い相手もいるし

 それにローラントにお礼もしてないしね」


「お礼って……僕はこの石を発見できただけで十分だけど」


「そう? それなら私は1人で遺跡巡りしてくるわね」


そう言ってミナセは石を4つ取り、1人歩きだそうとしている

その光景をローラントは空いている左手で頭をかきながらミナセに言う


「まったく……遺跡の場所もわからないだろ? 僕が案内してやる

 ついでに未発見の遺跡を探すのも手伝ってもらうからな」


「……いいわよ、それとこの石の名前『空間転移』って名前ね」


ミナセとローラントは石を使い、その場から消える

遺跡には何も入っていない箱が静かに『そこ』ある


その後はミナセとローラントは石を使いながら遺跡探索を始める

遺跡を巡った数は10を超えた頃、2年の月日が流れている

2人が遺跡巡りの疲労回復のため街に戻り

ローラントに家にいた時、ミナセがローラントに話かける


「ローラント、残りの石って何個?」


「……君と僕合わせて2個だね、歩けば良い所を飛んだりしたから

 誰かさんのせいで後1回しか使えないけどね」


「あら、それは誰かしら? まぁ、それで……最後の石、使ってもいいかしら?」


ミナセが使おうとしている先はスティナ達が向かっている船着き場

遺跡巡りの途中ミナセは遺跡近くの街によるために石を使った

その街には船が止まる場所があり、情報を盛んに交換されており

その街でミナセは『ある』情報を掴んだ、それは……

『指名手配』された人間の名前、その名前こそ自分の娘、スティナである

その人間が船着き場に向かっていると言う情報を船の乗組員から聴いた


『まさかスティナが指名手配されて……こっちで名前が聴けるとはね

 あの子は私に似てるから、何かやると思ったけど……少し心配ね』


そう思ったミナセが考え付いたのが船着き場に石で飛ぶ事

たぶんだか昔……ミナセはその船着き場に行った事を覚えている

自分の旦那とだったか覚えていないが……に行った記憶がある

だから、ミナセはローラントに頼み、自分の最後の石を使う事に決めた


「……理由はよくわからないけど、ミナセが行きたい場所があるってこと?」


「まぁ、そういう事、最後の1個だから……ここには戻ってこれないわね」


「で、場所はどこなんだい? 君が覚えていれば行けない事はない

 君に捕まれば同じ場所に移動できるかもしれないし……ね」


「え?! まさか一緒に来るの?! やめといた方がいいわよ

 それにその方法でもしも変な場所に飛ばされたら……」


「その時はその時……その場所で楽しめればいいだけさ」


「……まったく、ローラントはしかたないわね、良いわよ、やってみましょう」


そう言ってミナセは石に念じ始めるたのを確認したローラントは

石を持ち、ミナセの肩に手を当てる

すると石は光だし2人を包み込みその場から姿を消す


そして2人が目を覚ました時……その場所は砂浜だった

ミナセはその場所から立ち上がり、辺りを見回すと船が止まっている事がわかる

しかし……その周辺に兵士らしき人間が多くいる

その直後、船付き場近くに止まった馬車から1人の人間がその人間達の所に向かう

その人間の髪……服装が見えたミナセは走り出しながらローラントに言う


「ローラントはそこにいて! 私はあの子達の援護に行く!」


「ああ、気を付けて……」


ミナセが走って行った後、その場に残されたローラントは砂の上に座り

独り言なのか考え事なのかを喋り出す


『……ミナセが行ったと言う事は来たい場所にこれたと言う事だな

 しかし、僕の石も砕けた……1つで2人を飛ばす事はできないが

 便乗して同じ場所に行く事は可能なのか……実に面白い』


そう思った後、ローラントはその場に座り、船付き場の方を見ながら再度

独り言を洩らす


「ミナセ、頑張れ……無事に戻ってこいよ」

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