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ここから始まる表と裏の物語-the back a story-episode1  作者: 鈴菜
第9章-ミナセの過去とあの時の真実-
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第65話-ミナセの過去-10

ミナセはその状態のまま腰を地面に付け、ヘンデスヘルスに向かい足を払う

それは……足払い、しかし、ヘンデスヘルスはその攻撃を読んでおり

後ろにジャンプしながら、ミナセを見ると微笑みながら言う


「女の癖に足払いか……下着を見ても興奮せんが良い攻撃だ」


それを言われミナセは顔を赤くしながらヘンデスヘルスに怒鳴る


「う、うるさいわね! ぜっーたい叩き潰す!」


「ははは、その勢いだ……かかってこい、女」


ヘンデスヘルスはミナセが立ち上がるのを待っており、悠然とした表情で

ミナセに向かい手招きしている

しかし、ミナセはその挑発にはのらず、ワンピースに付いた砂を払いながら

背中のツヴァイヘンダーを鞘から抜き構えると、ヘンデスヘルスに言う


「……女じゃないわよ、ミナセ・フィーナベルク、覚えておきなさい」


それを聴いたヘンデスヘルスはミナセのその言葉に笑いながら答える


「はーははは、面白い女……ミナセか、良いだろう、覚えておこう

 しかし、覚えておけと言われるのもあれだな、よろしい

 ミナセ、俺の事はヘルスと呼んで構わん」


「そう? それじゃあ……よろしく、ヘルス」


「ああ、では行くぞ! ミナセ」


ヘルスは大剣を構え、また姿を消す

それはミヤが行ったように『気配』を消すではなく、正真正銘の『消える』

まるでその場からも消えて幽霊だったのかと思わせる

しかし、そんな状況でもミナセは冷静にその場から動かなかった


『……目に見えないのなら、足音を聴く、足音が聴こえないのなら

 五感を全て使い感じ取る、それも無理なら……第六感を使う』


ミナセはそう考えながら両手で持ったツヴァイヘンダーを右方向に払うと

剣と剣のぶつかる音が聴こえ、その場にヘルスが現れ、笑顔で言う


「ふん、よくわかったな」


「……そうでしょ? ヘルスの攻撃なんて簡単に読んじゃうんだから」


「それでこそ……だ、楽しませてくれる」


しかしミナセはヘルスの消える攻撃を読み切ってなんていない

運が良く、ヘルスが攻撃しようをした瞬間に剣を右方向に振れただけだ


「……次は決めさせてもらう」


そう言ってヘルスはその場から2回ほどバックステップをし、ミナセから距離を取った後……こちらに向かってゆっくりと歩いて来る

それも、片手の大剣は下に向けたまま

それを見たローラントはミナセに大声で言う


「ミナセ! チャンスだ、今の内に攻撃してしまえ!」


しかし、ミナセにローラントの言葉は届かない

届かないと言うより……聴こえていない

それほどの集中力をミナセは今、ヘルスに向かい高めているのだ


『下手に斬り込めばカウンターを貰う、だからと言って……

 攻撃を仕掛けなければ『重い一撃』を貰う、ならばどうする?

 自分自身が最高だと思った攻撃を仕掛ける……』


ミナセはヘルスに向かい突撃する

ヘルスはミナセの攻撃を読んでいたように大剣を両手で持ち頭上まで持つと

ミナセが来るタイミングを見計らって振り下ろす


しかし……その一撃はミナセには届かない、なぜならヘルスの攻撃は

ミナセのツヴァイヘンダーによって防がれている

それならばミナセがヘルスに攻撃ができないと思うがそうではない

ミナセの右手にはツヴァイヘンダー、左手にはショートソード

その、ショートソードがヘルスの腹を突き刺しているのだ


「……私の勝ちよ、ヘンデスヘルス」


ミナセの悲しそうな言葉と共にヘルスの心臓からショートソードを抜き鞘に納め

ヘルスが力を無くし大剣を地面に落としたのを確認したのち、ツヴァイヘンダー

を鞘に仕舞う


ヘンデスヘルスは力無くしてその場に大の字に倒れ、ミナセに言う


「実に楽しい戦いだった……まさか最後の最後で二刀流とはな」


「……ええ、前にね、スティナ……娘からこう言われたのよ」


『お母さんは武器1本でも強いんだから2本持ったらもっと強いよね?!』


「だから、ためしに『今』、やってみただけ……どう? 強かった?」


それを聴いたヘルスは頭に右手を当てながら笑い出す


「はははは、お前の娘はすごいな、実に良い考えだ、ぜひ……会ってみたいな」


その光景を見ていたローラントには『不思議な光景』だった

もしも、ヘルスが起き上がり武器を突き出せば目の前に立っているミナセを殺せる

そんな状態だと言うのにお互いがその場で笑い話をしているのだ

ミナセもミナセ、倒れたヘルスの目の前で口に手をあてながら喋っている

どうみても可笑しい光景のため、ローラントがミナセに近寄ろうとした時

ミナセは左手をローラントに向け、掌を出す

それは『こなくていい』と言う無言の言葉、ローラントはそれに従い、その場から

動かす、ミナセとヘルスを見ている


「ええ……何時か、合わせてあげる……私の大切な娘、スティナに」


「そうか、楽しみにしておく……そうだ、ミナセ」


「何かしら? ヘルス」


「あの箱の中身はお前に譲ろう、それと……面白い力をお前に1つやるよ

 それをどう使うかはお前の勝手だがな」


そういってミナセに手を出すよう指でやるとミナセは右手を出す

すると、ヘルスはミナセの掌に小さな石を1つ置く


「それを武器に研磨すると好きな力を与える事ができる、俺に勝てた褒美だ」


「こんな石がねぇ……思いによらない褒美よ」


「それともう1つ……あの中身には意志『が』宿る、そいつを頼む」


「……? よくわからないけどわかったわ」


「そうか……じゃあ、後は頼むぞ……ミナセ」


ヘルスは笑顔でその言葉を言うと砂になっていく

もちろん、ヘンデスヘルスと言う人物はこの世界はいない、ただの亡霊だとしても

ミナセとあれだけの死闘を繰り広げたのは……始めての相手だった

ミナセはそう思いながら空……遺跡の天井を見上げながら独り言を小さな声で言う


『……ヘルス、あなたの事は忘れないわ、私の友なのだから』


そう言った後、ミナセはローラントの方へ向き大声で言う


「さて! お宝の中身、見るわよ!」


「あ、ああ! 今行く!」


ローラントはミナセの隣を歩くべく、走り寄る

ただ1つ、ミナセはローラントに言ってない事がある

それは……ヘルスから譲り受けた石の事

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