第63話-ミナセの過去-8
ローラントの影は形を変え、その場に立ち上がると……影に色が付き始める
その姿は……
「ま、まさか……『ストゥム・ステイラー』?!」
ローラントは目の前の影に声をかける
しかし、ローラントが呼んだであろう名前はミナセには理解できず
ミナセはローラントに聴く
「ローラント? 彼奴は一体なんなの?」
ミナセがローラントにそう聴いた時、ローラントは真面目な顔で答える
「あれ……いや、ストゥムは歴史から消えた剣士だ」
「歴史から消えた? 何かやらかしたとか?」
「アルストナハトは昔、村や街同士の抗争が多くてな……それを止めたのが
ストゥムだ」
「そんな人物がどうして……歴史から消えたの?」
「抗争を止めただけなら英雄なんだが……裏で守っていた街や村から
金品を要求したせいで暴動が起き、それでストゥムは処刑された」
「なるほど……で、今目の前にいるってことね」
ミナセはストゥムにツヴァイヘンダーを構えた時
ミナセの影も動きだし……姿を変えていく
その姿は女性のように見える
「……今度は、アミティス・リーナか、なるほど……」
「ローラント、1人で納得してないで説明してよ」
「ああ、アミティスはアルストナハトの遺跡第1発見者と遺跡荒らしを
1番始めにやった女性だ」
「で、その人も何かやらかして……殺されたのよね?」
「そういう事、遺跡発見して大々的に発表された直後、遺跡で見つかった
珍しい武器や物を強奪して……売りさばいていたんだよ」
「……? それは今は問題じゃないような?」
そうミナセが言った時、ローラントは溜息混じりで説明する
「昔の……遺跡は大事な物だったんだよ、誰もが遺跡に行けるわけではなく
研究者やお偉いさんだけが中を見れて、それを本に起こす、そんな時代だった
そんな時にアミティスは遺跡を荒らしたんだ、それで処刑された」
「なるほど……この影になった人間は『歴史から消された』人間なのね
でも、どうして……消された人間ばかり出るのかはわからない」
「……この遺跡の主の思い……がこいつらに通じたのかもしれないな」
そうローラントが喋った時、2人の影が襲いかかってくる
ストゥムは80cmぐらいの剣『フォールション』を
アミティスは大きな弓を構える
それに応対する感じでミナセはツヴァイヘンダーを、ローラントは棒を構えるが
ミナセはローラントの前に立ち、ローラントに言う
「さすがに棒じゃ勝てないわよ? 私にまかせなさい」
しかし……ローラント微笑みながらミナセに言う
「この棒は普通の棒じゃない、昔の資料から再現した武器で『長刺棍』と言う
僕はこの武器で自分の身を守って来たから大丈夫だ」
『長刺混』
長さは60cm、棒の両先体にナイフが付いているが、そのナイフは手前に曲がっており、その先端で相手を捕まえる事ができる、捕まえ投げる……捕まえている間に
味方が敵を倒すなど、多種多様な使い方ができる。
「そう? それなら片方まかせていいかしら?」
「わかった、僕がストゥムを防ぐ、ミナセはアミティスを『瞬殺』してくれ」
「……以外に要望大きいわね、歴史の英雄さんを瞬殺か……面白そうね」
「じゃあ……頼む」
ローラントは走りだし、ストゥムの前に立つと武器を構え、自分がお前の敵だ
と証明するかのように……棒をストゥムに付き出すと、それに乗った感じに
ストゥムはローラントに襲いかかってくる
『よし……予測どおり……昔の人間の造形は作れるみたいだけど
思考とかは再現できなかったみたいだね……』
ローラントは棒を動かしストゥムを突き刺す感じで突き動かす、それをストゥム
は横に横に回避をして行く……それもローラントの攻撃は『遅い』
遅いからと言って隙があるわけではなく、反撃したら逆に攻撃を貰うかのような
感じをただよらせているため、ストゥムは避ける事に集中する
そしてミナセとアミティスに襲いかかる、アミティスはミナセの殺意を感じ取り
後ろに距離を取りながら弓を構え、ミナセの向け射貫くが……
その矢はミナセに弾かれる、アミティスが何度も何度も射貫く矢は一発たりとも
ミナセに当たる事無く矢は地面に落とされる
「……つまらないわね、消された英雄さんだっけ? もっと強いかと思ったのに」
そう言った直後、ミナセはアミティスの背後にいて
アミティスは地面に倒れ込む……その光景を見ながらミナセは独り言を言うと
ローラントの援護に向かう
『残念ね、あなたに連携する意識があったのなら……勝つ確率が上がったのに』