プロローグ-6-
私はお姫様抱っこされながらリドラーさんが歩いている景色を見る事にした。
しかし先程、私が寝ていた部屋と変わらず……砂の天井に砂の地面……
道幅は人3人がすれ違う事ができるぐらいで、部屋と思われる所には木の扉がある
「スティナちゃん、ここに君の剣がある……ちょっとそこで待っててくれ」
リドラーさんはそう言うと私を地面に降ろし、目の前の扉を開け中に入っていく
見せたく物でもそこに閉まっているのかと思わせる言い方で少し気になり
扉の前に1歩進み……聞き耳を立てようとした時、扉が開かれる。
「……? 何やってんだい?」
扉から出て来たのはリドラーさんではなく、茶色の髪で長さはセミロング
緑の服に黒いズボン、一瞬男性かと思ったが女性である。
「あ……えっと、中が気になっちゃって」
私は適当な言葉で目の前の女性を誤魔化す、しかし……目の前の女性には
『誤魔化』せていないようで笑われる。
「あははは、そうかい……じゃあ部屋の中に案内しちゃおうかな」
私が案内され中に入るとそこは……いろんな物が山のようにで置かれていた
どれも壊れていたり折れていて使い物にはならないと言ってもいいぐらいの物
物は左右に積まれているが、中央には小さな木のテーブルがあり、その上に
私の剣がある……今すぐ取りたいがそんな事をすれば何をされるかわからない
だから、私はその場で黙って立っていると、女性とリドラーさんが話を始める。
「リドラー、この剣なんだが……抜こうとすると手に『雷』みたいな物
が走って拒んでいるようにも見える」
「ふむ……私も触ってみよう」
リドラーさんが私の剣を抜こうと持った時……静電気のように雷が見えた気がした
私が触っている時はそんな現象は起きなかった、抜けもしなかったんだけど……
「これは……持ち手を選んでいるか、それとも拒んでいるか……」
リドラーさんは手を顎に当て何やら考え込んでいると、先程の女性が
私に剣を投げてくる……私は咄嗟のことでその剣を両手で抱える。
「ナイスキャッチ、悪いけどさ……その剣、抜いて見せてよ」
私は言われるがまま、剣を抜こうと掴む
しかし……何時もと変わらず、持てるが抜く事はできない。
「ほら、リドラー……やっぱりあの剣はあの子しか選ばない」
「なるほど……『人を選ぶ剣』か、中々に興味深い」
私は黙って2人の会話を聴きながら考える……
私の母親の形見の剣と言っても塵旋風に飲まれて
そのまま行方不明……形見と言って良いのかわからない。
しかし、母親が私にこの剣をくれた時には『ただのロングソード、護身用よ』
そう言って私に手渡した、その時買ってきたのか作ったのかは聴いていない
ただ1つわかっているのは、母親が不器用で作る事はできない事。
「あ、忘れてた!」
女性は大きな声をだしながら私に近寄って来て握手を求めながら言う。
「私の名前は『ヒーナ・リリースティベル』、16歳、この呪われた旗で
武器の整備と開発をしてるんだ、よろしくお願いするよ」
ヒーナさんはそう言った後、リドラーさんに聴こえないように私に耳打ちする
「後、その剣にすごく『興味』があるんだ……いろいろわかる気がしてね」
そう言うとヒーナさんはリドラーさんの所に戻ろうとした時、私は名前を言おうと
ヒーナさんに話かけるが、「知ってるから大丈夫」と笑顔で言われた。
『知っている』……先程、リドラーさんが私の名前を伝えたのか、それとも……
だけど、この人が私の事を助けてくれたわけでもないが、剣を返してくれたから
私はヒーナさんを優しい人だと思うようにした。
その後、リドラーさんは私に話しかけながら『ある物』をくれたのと
後ろでヒーナさんが右手を振りながら口で「あげる」と言ったように聴こえた。
「そうそう、ヒーナのお古で悪いんだが、靴だ……それと今から助けてくれた人
に会いに行こうか……何時までも待たせると怒られるしな、ははは」
その靴は『白色のショートブーツ』
綺麗に使われており、痛んでいる所がない。
リドラーさんは笑いながら扉を開け、私の前を歩いて行くので
私は急いで靴を履き、リドラーさんの後を付いていく。
その時の私は気づかなかったが……
リドラーさんが私を『監視』しようと言う素振りは一切なかった。