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第51話-犬猿の仲-

ハンナが『その場所』辿り付いた時にはミヤとリクが戦いを繰り広げていた

お互い1歩も譲らず……とはいかず、ミヤのほうが有利なのはわかる


「リク……あんたは成長したの?」


「は?! ミヤ……てめえは成長したのかよ!」


リクはミヤめがけて拳を振るう

あの時スティナに壊されたナックルは綺麗に修理されており

ミヤに殴りかかっている


「私はしたわ……お姉様と一緒に旅ができて御旗より全然まし」


ミヤはその攻撃を横に避け、後ろに下がる

反撃するわけでもなく、まるでリクをからかっているようにも見える

もちろん……本人だってミヤの行動に一番イラツキを覚えているはずだ


「どうして……どうして! 反撃してこない?!」


「する必要がないからよ、あんた1人相手にするなら

 インペリアルの兵士数人のほうが楽しいからね」


ハンナにはミヤのその言葉が理解できた

リクにミヤは自分の『力量』をわからせるためにやっているのだ

そもそもミヤが本気を出せばリクなんてすぐ殺せるはずなのに……

それをしないのがミヤなりの優しさなのだろう


そんな時、ミヤにめがけて銃弾が飛んでいき、ミヤの顔を霞める

その銃弾の方向へミヤが向くと、そこにはヒーナがいて銃を構えながら

ミヤとハンナに話しかける


「ったく……リク、援護するからそいつらをぶっ潰すわよ!」


「待ちくたびれたぜ……いくぜ、ヒーナ」


リクとヒーナは『御旗』の時のハンナとミヤだと思っていた

御旗時代の2人は犬猿の仲と言ってもいいぐらい相性が良くなかった

その2人が連携できないとリクもヒーナ思っていたのだろう


「ミヤ、どうやらあいつらには……私達が今だに仲が悪いと思っているぞ」


「ハンナ、今もそうかもしれないわね、まぁ……守る者が一緒ってだけ」


「そうか……じゃあ、その守る者のために一緒に目の前の敵を蹴散らすか」


「ええ、そうね……じゃあちょっくらお姉様のために……」


ハンナとミヤはお互いの拳と拳をぶつけ、同時に同じ言葉を放ちながら

ヒーナとリクに突撃する。


     『全力で目の前の敵を排除するのみ!!』


その光景を見たリクは慌てた表情でヒーナに言う

リクの言葉にヒーナは冷静に対応しながらハンナとミヤを見ている


「おい、どういう事だよ……あの2人、仲が良くなってんぞ」


「……みたいね、まぁ……付け焼刃でしょ」


しかし……その考えは物の数分で勘違いだった事がわかる


ミヤが『アルインダーナイフ』を振るいながら縦横無尽にヒーナとリクの周りを

駆け巡り、2人の隙そして恐怖を与える中

ハンナは真正面からヒーナめがけて『ツヴァイ・アーツ・トンファー』を振るう

もちろん、それをリクが防ぎに来るのは『把握』されている

それを予測して背後からミヤが斬りかかろうとするとヒーナが反応して銃を撃つ

それをミヤがナイフで受け止め、それの繰り返しとなる。


「ちっ……迂闊に攻撃すればミヤに狙われる、だからと言って

 ハンナを放置すれば……リクが危ない」


ヒーナは最大限に頭を回転させ、ミヤとハンナの動きを予測する

この2人がここまで『あうん』の呼吸ができるとは思いもしなかった

まるで本当に攻撃先読みしてるようにお互いが武器を振るう


だが……実際は『あうん』の呼吸などではなく

ハンナとミヤはお互いの目を見て攻撃を仕掛けているのだ

それはまるで喋らず……目だけで喧嘩しているように


『ハンナ、さっさとしかけなさいよ! その隙にやってあげるから』


『お前が先に仕掛けろ、その隙にやってやる!』


『先に仕掛けやすいようにわざわざ、こいつらの周囲回ってるんだからさぁ』


『……しかたないな、先に仕掛ける、ちゃんと合わせろよ』


『わかってるわよ!』


犬猿の仲だからこそできる芸当なのか、それとも本当は仲が良く

相手の考えを読み取れるほどなのかはわからないが

これだけのやり取りを目線1つでやっているのは『周囲』をよく見てる証である


「せいっ!」


ハンナのトンファーがヒーナを狙う、その攻撃をリクが受け止めた隙をついて

ミヤがナイフを振ろうとするが……ヒーナがミヤめがけて銃弾を放った時

ミヤが行動を起こす


「そう何度も、やらないわよ!」


ミヤはその場でバク宙し、ヒーナの背後に回り込むと腰を浅くナイフで斬る


「っ!」


ヒーナの痛み顔に反応したリクがミヤの対応をするため行動を起こした時

ハンナはそれを逃さなかった


「私が目の前にいるのに余裕だな、リク・カイナス!」


リクのお腹をハンナは右腕のトンファーで殴り、リクがよろめいた隙に

左足を軸にした右足を思いっきり突出し、リクを吹き飛ばす

吹き飛ばされた先は……ヒーナのいる場所


「ハンナ、ナイス吹き飛ばし」


「お前もなかなか良い誘導だった」


2人とも武器を仕舞い、ヒーナとリクが重なり気絶したのを見ると

ハンナはミヤに話かける


「さっきの攻撃、わざと手加減したのか?」


「違うわよ、リクが対応に来るように仕向けただけ」


「……ああ、なるほど、私に止めをくれたというわけか」


「はいはい、そうね、で……どこの援軍に行くの?」


ミヤにそう言われたハンナは周囲を見回し、エステとスティナがいるで在ろう場所

に走りだす、それに続くようにミヤを走り出した後

気絶していたはずのリクが体を起こし、ヒーナに目をやると気絶している

そんなヒーナをリクはおんぶし、2人が走っていた方向を見ると独り言を洩らす


「……化け者共め、次あったら今度こそ、勝つ」


「そうね、もっと良い武器と……強さを手にいれましょう」


「なんだ、起きてたのか……じゃあ自分で歩け」


「お断りよ、私怪我してるからよろしく」


そう言ってヒーナはリクから降りる事はない、その光景に呆れながらリクは歩き出す……兵士達がいない方向へ

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