第50話-ハンナvsヒーナ
スティナがエステの助太刀に行っている頃
ハンナはヒーナと一騎打ちをしていた。
周りには人はいなく……誰も邪魔する者はいない
邪魔する者がいない反面、助けに入ってくれる人もいない
そんな事を考えているハンナにヒーナが声をかけながら武器を構える
「ハンナ、あんたはどうしてあの子の味方をするわけ?」
「どうして? 何か理由がいるのか?」
「それはそうでしょ? あんただって『利益』のない人間を助けよう
なんて思わないでしょ?」
私がヒーナからその言葉聴いた時……溜息をはいたが昔の私のなら
ヒーナの言ってる事に頷いたのかもしれない
そう思いながら私はヒーナに言う
「利益……か、人……仲間を助けるために理由なんかいらないだろ」
「私もあんたの仲間なら私に協力しなさいよ!」
ヒーナは私を睨んだまま銃をこちらに向けている
その状況の中私は両手に『ツヴァイ・アーツ・トンファー』
を構えたままヒーナに言う
「……元仲間だな、今はスティナを狙う『敵』、それだけだ」
「あんな子より私達のほうが付き合い長いでしょうが!」
「それがどうした? 私はスティナの戦い方、そして私を助けてくれた
だから私はスティナを守り……最後まで付き合うと決めたんだ」
そう……私はあの時、スティナとあの剣に助けられたのだ
もしもあの時、スティナが剣を抜けていなかったら私とミヤは生きていないし
今、ここで武器を構えていなかったのかもしれない
「そういう事……ならいいわ、私があんたを殺してあげるわよ、お母さん」
ヒーナは知っていた私が『お母さん』と悪戯にでも言われると反応が遅れる事を
それを狙って両手の銃から私に石の弾丸を打つ
「……お母さんか、それも悪くない……スティナのお陰で呼ばれなれた……」
私はヒーナの弾が飛んでくるよりも速く横に避けた、ヒーナの事だから
何かしらの策を考え、狙ってくるのは理解できたし
「ちっ……前はこれで引っかかったのに!」
ヒーナはそう言いながら後ろへ下がりながら私に弾を撃ってくるが
ヒーナの銃弾には1つの難点がある、それは……弾速が遅い事
だから避けるのも容易だし、突撃する事も簡単である。
「それぐらいなら……弓矢の方が速い!」
私は銃弾を掻い潜り、ヒーナの懐まで潜り込み、顔めがけて右回し蹴りを放つが
それをヒーナは右腕で防ぐと、膝蹴りを私に放ってくる、それを後ろに避け
武器を構え直す
「あんたの攻撃はばればれ、私が接近攻撃しないとでも思った?」
「いや……そんな事は思わない……ちなみにだが……ヒーナ
お前はもう、私に負けている」
「はぁ? 何言ってんのよ! 私は立っているでしょ?
頭おかしくなったんじゃない?」
「……いや、『逃げる』には十分ってことだよ」
私はヒーナから距離を取り走りだし、密集地を探す
それはインペリアルガードとインペリアルガードの抗争の中へ
ヒーナも味方を打ちながら私を探すような事はしない
そこを掻い潜り、抜けた先にもう1つの一騎打ちが見える
私はその一騎打ちの『味方』を助けるためにそちらに走り出す。