第45話-船着き場-
街を出て馬車に乗り、船着き場まで少し時間がかかる
そんな中、ミヤは私の右腕を両手でつかみ、アイリスさんを警戒する
その光景を見たアイリスさんは溜息を付き、腕組みをしながら言う
「だから、取る気はない、それに私も良い年齢だ」
「……じゃあ何、好きな人いるの?」
ミヤにそう言われた時、アイリスさんは真顔で答える。
「ああ、いる」
「誰、教えなさいよ」
「別にかまわないぞ、ミナセさんだ」
それを聴いた私とハンナさん、エステさんは軽く噴き出した
私の母親が好き……ああ、なんだ……人としての『好き』だと
私は少し動揺した後、アイリスさんに聴く。
「アイリスさんは私の母親の事、好きなんですね」
「ああ、戦闘スタイル、外見……あの性格、全部『愛している』」
「あ、愛……?!」
私はアイリスさんのその意味を心の中で理解した
この人は私の母親の事を大好き、ある意味ミヤと同じなのだろうと
そう思った時、ミヤが口を開きアイリスさんに言う
「わかるわかるわ、私のお姉様の事大好きだもん」
「そうか! 私の気持ちをわかってくれるのか!」
「ええ、もちろんよ!」
そう言ってミヤとアイリスさんと握手をするため、近寄っていくが
その光景を黙って見ていたハンナさんが喋り出す
「……まぁ、人の恋愛に……口出しはしないが……アイリスとミナセが結婚したら
ミヤ、お前は最強の2人から娘である……スティナを取るんだな」
それを聴いたミヤはアイリスさんから距離を取り、大声で言う
「……それは無理、だからその前に私がお姉様と結婚する!」
私はもう意味がわからなく黙っている事にしてその場に座っていると
エステさんが隣に近寄り座ると話かけてくる。
「まぁ、なんだ……あいつらなりにスティナを楽しませているんだよ
半分ぐらい冗談だと思って聴いてればいいよ」
「なるほど、冗談でしたか……それなら」
と私はミヤとアイリスさんを見ると2人は口論していた
「私が先にお姉様と結婚するの!」
「いーや、私だ!」
2人のやり取りが冗談に見えなくエステさんの顔を見ると首を振り私に言う
「悪い、冗談じゃないみたいだ……ハンナが余計な事言ったおかげで
火に油を注いだ感じになったな」
そんなやり取りをしていると馬車は止まり、ハンナさんが私達に声をかける
「付いたぞ、船乗る前に金払うから……集めるぞ」
そう言ってハンナさんが皆からお金を受け取り、船の受付場所に向かう
戻ってくるあいだ、私達は馬車の中で待機していると……ハンナさんが戻ってきて
私達に声をかける。
「……厄介な事になった、インペリアルと御旗が競合して船を占領している」
私はそれを聴き、馬車からこっそりと船の方を見ると、兵士達が乗り場に陣取り
その周囲を封鎖している感じである
船自体は港に停泊している、船の外見は2本マストに帆を付いており
大きさ的には中型? 本で読んだ知識なので正確かはわからない。
「さて……どうするか、人数不利すぎる」
「しかたない、私が囮をやる……その隙に行きなさい」
アイリスさんはそう言うと馬車から降り、船が停泊している場所まで走る
私達もそれに続くように馬車から降り、馬車の運転していた人にお金を渡し
アイリスさんを追いかける。