第44話-スティナとミナセ-
「さて、本題に入ろうか」
そう言ったアイリスさんはまた席に着くと紅茶を一口飲む
私達に言う。
「ミヤ・ステイラー、ハンナ・アスミル、エステ・クレイムだったかな」
そう呼ばれた3人は立ったまま腰にある武器を構えるが
アイリスさんは座ったまま微笑み話を続ける。
「危害は加えない、理由は、この子がミナセさんの娘だからな」
「ミナセ……? ミナセ・フィーナベルクか?!」
ハンナさんは私の母親の名前を聴いた瞬間驚いたようにアイリスさんに言う
アイリスさんは『そうだ』と答えると驚いた表情で3人ともこちらを見る
「私の母親って有名な方だったんですか?」
「お、お姉様……ミナセって王国最強の剣士とまで言われた人間ですよ
この土地に住んでる人間なら知らない人はいないかも」
「そうだな……私は一度も会ったことがないが、まさか……ミナセの娘とは」
「俺も吃驚だ、まぁ……スティナの身長以外はミナセ譲りなのだろうな」
「身長以外ってなんですかー!」
私がそう言うとミヤ、ハンナさん、エステさんは笑いながら『冗談だ』と言ってる
それをアイリスさんは微笑ましく見ながら話しを続ける。
「……さて、君達は『どこ』を目指している?」
それを聴かれた私達は少しのあいだ黙っているとハンナさんが1歩前に出て
アイリスさんに話かける。
「スティナが持っている武器が……狙われている」
「……? ああ、もう『1本の剣』が何かある……そんなところだろ?」
「ああ、この剣は『戦争を簡単』に終わらせるぐらいの能力がある」
「なるほど、そんな力があれば誰でも欲しくなるわけだ、それを守るために
3人はスティナの護衛って所か、で……その剣はミナセさんの仕業か」
「……そこまでわかるのか、さすが第1階級」
「いや、なんとなく……ミナセさんならそうすると思ったからな」
「……どうしてそう思うのか、理由を聴いてもいいか?」
ハンナさんに聴かれたアイリスさんは微笑み、窓の外を見ながら答える
「あの人は『楽しい事』が大好きだ、自分の娘がその剣をどう扱い
どう使うか見てみたいのだろう」
そう言ってアイリスさんは立ち上がり、紅茶セットが置いてあったテーブルの
引き出しを漁り、1つの袋をテーブルに置き言う。
「その中に150,000ゴールドがある、旅の足しにでもしてくれ」
「いいんですか……? これで船に乗れる」
私がそう言うとアイリスさんは驚きながら言う
「ほぅ、船旅か、それなら私も付いて行こう、この辺はそろそろ飽きた」
「……あんたお姉様の事好きとかじゃないわね」
ミヤがアイリスさんに突っかかるとアイリスさんは溜息を付きながら言う
「違い違う、スティナに付いて行けばミナセさんが見つかると思ってね
もしも、迷惑でなければ構わないか?」
「はい、私はいいんですけど……皆さんは?」
私が3人に聴くとエステさんは頷き、ハンナさんとミヤは少し嫌そうに言う
「……スティナがそれでいいなら、私は……それでいい」
「お姉様が良いたらーそれでいいですよー」
「ありがとう、ハンナさん、ミヤ」
その後、アイリスさんが船が付く場所まで案内すると言い、部屋を出て
船着き場まで向かう。