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プロローグ-5-

「え?」


この上には街がある……それは私の中で疑問だった

私が砂の波で流されたとしても……村の近くに街はなかったのだから


もちろん……目の前のリドラーさんが嘘を言ってるようにも見えない

始めてあった人をすぐ信じられるかと言えばそうでもないのだが

『この人は信じられる』と私の心が言ってる気がした。


「この上は『王都・ノストレム』がある、信じられないなら後で見てくるといい」


「でも……どうやって見に行けば……?」


「ああ、それは……」


リドラーさんは私に周りの状況を説明するように丁寧にそしてゆっくりと

私に話かけてくれる。


『王都・ノストレム』は家庭などで使う水を流す事ができる

できると言っても……捨てているだけなのだが。


地面……現在では天井になっている砂、これは場所によって柔らかい部分がある

あるからと言って簡単に掘ってしまうと……そこに住む生物を刺激する事になる

ならば、その生物をなんとかしてしまえばいい。


そこに辿り着いた王都の人物は柔らかい部分に穴を掘り、そこを中心として

街中の水をそこに集めて流す事を思いついた……それにより人々は楽になったが

そこに住む生物達には『害』でしかなかった。


最初のうちには砂が水を吸い取り、さほど生物には被害がなかったが

そのうち水の量が増え……吸いきれなかった水が砂の中にあふ

砂の中は濁流だくりゅうとなった。

それにより……砂の中にはこのように洞窟のような場所ができる事がある


もちろん王都の人々はその状態を知っており、水の捨てる場所を月毎に変えている

人間の都合で変えるのは良いのだが、そこに住む生物達にとってはいい迷惑になる


結果……リドラーは王都の人間が同じ場所には水を流さない事に気づく。

理由は空洞ができているのにもう一度、水を流してしまえば崩れる危険がある

だが……水を吸い硬くなる事を王都の人間は知らなかった。


この水を吸い硬くなる現象を『ダイラタンシー』と言う。

もちろん……柔らかい砂の部分があるため、砂の上にでる事も可能であるが

私が倒れていた場所は先程の現象により……強固な砂の場所だったと言う。


「と言うわけだ、スティナちゃん理解してくれたかな?」


「はい……リドラーさんは詳しいんですね」


「……そうだね、詳しい……かな」


リドラーさんがまた悲しそうな眼をしたような気がした時

私は慌てだす……急に目の前の人物が慌てだしてリドラーも吃驚したが

すぐ私に声をかけてくれる。


「どうした……?」


「えっと……鞘に入った剣はなかったですか?!」


「ああ、あの剣か……」


リドラーさんはそう言うと私に右手を伸ばしながら笑顔で言う。


「ではお嬢様、剣がある場所までご案内しましょう、お手をどうぞ」


私は無言で左手をだし、その手を取る……取ると言うより『取らされた』が正解

『逃げられない』事をリドラーさんが私に言ってるような気がしたのだ。


だが……そこである事に気づく。


ベットから地面に足を付いて確認する……服は汚れていない

しかし……靴がない、多分だが砂の波の中、靴がどこかにいってしまったのだろう


そんな事を考えていると、リドラーさんが私の靴がない事を気づき

私をお姫様抱っこする。


抱っこされるのは正直恥ずかしい……しかしだ、足元は砂と言っても石がある

それを防ぐために抱っこしてくれたが……恥ずかしいのには変わりはなかった。


私がそう思ったのをリドラーさんは気づいたのか、歩きながら私の顔を見ると

どこか懐かしそうに微笑み……私に言う。


「……懐かしいな、まるで娘が戻って来たみたいだ」


私はその言葉に……答えないでいると、リドラーさんは再度微笑む

無言で私の剣がある場所へと足を進める。

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