第37話-スティナとミヤの依頼-
「付きましたよ、お姉様」
ミヤの言葉と同時にミヤは屋根から降り、依頼発行場の前に立つと私を降ろす
そして、私とミヤは中に入り受付を済ませると……受付に案内される。
『受付ってあったんだ……知らなかった……」
私は心の中で前にやったことを反省しながら受付の女性の元へ行くと
その女性は何も言わずに依頼を渡して、声をかける。
「この依頼をやると高額ですよ、ミヤさん、スティナさん」
「まだ私達の番じゃないし、それになんですぐ名前わかったの?」
ミヤは受付の女性に食って掛かるとその女性は笑顔で答える
「エステさんから頼まれたので……それだけですよ」
少し納得が行かない顔でミヤは依頼書を見る、私も横から覗き込むと
そこには……こう書かれていた。
『討伐依頼・調査依頼』
討伐依頼は、馬車を襲うとする盗賊の討伐
調査依頼は、最近不等に利益を得ている店がある、それの調査
討伐依頼は15,000ゴールド、時間帯は……から……まで
調査依頼は10,000ゴールド、調査した内容を明記して発行場に提出
両方完了で+15,000ゴールドとする。
「なるほど……どっちがどっちをやるかわかりやすくしてくれたのね」
「ミヤ、私が討伐の方やろうか?」
「大丈夫です! まかせてください!」
私がミヤに変わろうかと言った理由は……馬車を襲う盗賊
御旗の可能性があるから、それをミヤに頼むのは少し気が病むが
ミヤは私が言いたかった事を理解していたらしく笑顔で言う。
「お姉様が行った方が危険じゃないですか、それなら私におまかせです」
「そう……? それなら討伐の方はまかせるね」
「はいです」
ミヤはスティナと別れ、1人依頼された場所に向かう
依頼された場所付近に盗賊が出るとの事なので、ミヤはしゃがみ様子をうかがう
その場所は北門から少し離れた場所、誘導のため馬車を出してくれた店の人には
感謝しないといけない
しばらくして……馬車を囲むように男4人現れる、しかしミヤが男共の確認するが
御旗の連中ではない事がわかり……笑顔で突撃する。
「お姉様にあー言っただけ、最近溜まってたのよね……さぁ、始めましょう」
ミヤはそう言うと走りながら飛び上がり男1人の背中をアルインダーナイフで
突き刺した後、ナイフを引き抜き蹴り飛ばす
その光景を見た男3人が武器を持ちミヤを取り囲むが……ミヤは笑いながら
姿を消す。
「ふふふ……雑魚が群れを作っても無駄無駄……」
姿を消すと言っても実際に『そこ』にいて『そこ』にはいない
自分自身の殺気を消し、高速で動き回るのが、この技の正体なのだが
この技に気づく人物は今もいず、消えると証言される事がほとんどである。
「チッ、近くにいるはずだ、適当に弓をばらまけ!」
3人の男の武器は、ショートボウ、ロングソード、ナイフ
もちろん、ミヤがどの男がどの武器を持っているのを見逃すわけがない
弓をばらまけと言った瞬間に弓使いの男は首を刈られ絶命している。
「ひぃ……どうなってんだよ! そうだ! 馬車を奪って逃げれば!」
ナイフの男が馬車に近寄ろうとした時……目の前にミヤが現れ、何も言わず
首を跳ね……ゆっくりとロングソードの男に近寄って行く。
「な、なんだお前……! ま、まさか……ブラッディドレスの」
「懐かしいわね、そう呼ばれるのも久しぶり」
しかしその男が次に発言することはない、なぜならミヤに心臓を貫かれている
その光景を黙って見てた馬車の主人は引きつった顔でミヤに言う。
「お、お……俺は先に戻ってほ、報告しておくから」
そう言って先に街へと馬車を向けて行ってしまう
その後をミヤがゆっくり歩きながら武器を仕舞うと、小声で言う。
「あーあ、服に血が付いちゃった……お姉様に会う前に水で落とさないと……」
その頃……私は依頼の店の前に辿り着く
店の名前は『スマイルフラワーランド』
店の中を見るとメイド服を着た女性が男性に話かけているのがわかる
しかし、どうしてこの店が不当な利益を手に入れてるのか理解できないため
店の中に入ると、目の前にメイド服の女性が現れ、笑顔で言う。
「いらっしゃいませ、お嬢様、本日は何にしましょうか?」
私は目の前の女性が顔を上げた時、吃驚する
そのメイド服の正体はハンナさんだったのだ、私はそれに吃驚しながら
ハンナさんに聴き返す。
「……ハ、ハンナさん? 一体何をやってるんですか?」
私がそう聴いた時、ハンナさんは真っ赤な顔をしながら逃げ出してしまう
私は少し唖然としたが、ハンナさんを追っかけるため、店の主人の許可を取る
「すみません、先程の……メイドさん、私の『お母さん』なんです!」
「なるほど……娘さんだったか、あっちが更衣室だ、会いに行って良いよ」
「ありがとうございます」
この身長とハンナさんの美人が役に立ち、私は更衣室の扉を開けると
普段の服装のハンナさんがいて、私に話かける。
「ど、どうした? ……私を向かいに来て……くれたのか?」
「違います、このお店が不当な利益を得てるお店みたいなので調査に」
その言葉をハンナさんに言うと、ハンナさんはすぐに理解し、私に小さな声で言う
「なるほど……理解した、協力するぞ……あと」
「はい? どうしました?」
ハンナさんは更衣室の扉を開けながら真面目な顔で言う。
「さっきの姿は忘れて……後、他の皆には……絶対に言うな」
「はいっ」
ハンナさんが顔を真っ赤にしながら私にそう言ったのが少し面白く
私は少し微笑みながら返事をした。