第34話-スティナとミヤの一日-
私とミヤは『依頼発行場』を目指していると……ミヤが私に話かけてくる
「お姉様、どうして私と一緒に行こうと思ってくれたんですか?」
「それは……ミヤが一番優しそうだったから」
「そうですか? そう言っても貰えるとうれしいですっ!」
実際の私は『ミヤは優しい』からで決めた訳ではない
本当の理由は……
ハンナさんに付いていくと足手まといになる、もちろんミヤもそのはずだけど
年齢が近い事もあり、私はミヤを選んだ
ちなみにエステさんは男性なので一緒にいると襲われそうな可能性もあるので
除外したのだがミヤと一緒の時も問題がないわけではない。
「おい、姉ちゃん達……なんだ1人餓鬼かよ、そっちの嬢ちゃん、一緒遊ぼうぜ」
「……お断り」
ミヤは先程までの笑顔が消え、かなり気分が悪そうに目の前の男性2人のお誘いを
断り、通り抜けようとするが……その男性の1人がミヤの腕を取り言う。
「子守なんていいからよ、俺達と遊べば金が貰えるぜ」
「うぜぇ……お姉様とのデートの邪魔したくせにシツコイ……」
「ミ、ミヤ……私の事は気にしなくていいから、いいよ」
「了解、お姉様……自衛行動をはじめまーす」
私とミヤの暗黙の言葉、それは『気にしなくていい』
ミヤは私を守るために攻撃したら喧嘩を吹っかける事はしない
それを解放するために私の事は気にしないで『暴れていいよ』と言う意味である
だが……ミヤが言った自衛はすぐに終わった
終わったと言うよりミヤが私を気遣い男性2人を気絶させただけなのだが
「さぁ、お姉様、いきましょー!」
「うん」
最近になってミヤの凄さがわかる、私の1歳年下だと言うのに、この強さである
何戦、何十戦……何百かはわからないほどミヤは戦ってきたのだろう
それを証明する強さであり、そんな子が私と仲良くしてくれるなんて嬉しい
私がそんな事を思いながらミヤと一緒に依頼発行場を目指すが
また絡まれた。
「お嬢さん2人、俺達と遊ばないかい? 金を出すよ?」
先程から男共が言っている『金を出す』これは隠語である
先程の男をミヤが気絶させた後、説明してくれた。
それは『体を売れ』と言う意味、内容は言わなくても理解できるだろう
それが目的で私達女2人に近寄ってくる
もちろん、毎回ミヤが変わりに会話し、気絶させそのあいだに逃げるのだが
思いの外、勧誘される回数が多い。
「……チッ、メンドクサイですねぇ……私の体はお姉様にしか売りません」
「そ、そうなのだ……」
私にしか売らないのは少し嬉しいが『売る』のだから金を取るわけだ
私は同性愛者と言う訳ではないのでミヤを買う事はない
「しかたないですねー、少し飛ばしましょうか―」
「へ?」
ミヤはそう言うと私をお姫様だっこをし、小さい家の屋根の上に行く
上に行くと言っても家の壁を蹴り、距離を伸ばしている
屋根の上に付くと屋根を伝って依頼発行場を目指す中、私はミヤに話かける
「何時もごめんね、私あんまり役にたてなくて……」
しかしミヤは笑顔で微笑みながら私に言う
「気にしなくていいですよ、何時も私はお世話になってますから」
「お世話……? 私は何もしてないよ……?」
「してます、私の気が紛れてますから……お姉様にすごく感謝していますよ」
それはミヤの安らぎなのだろうと私は思う
何時も何時も戦ってばかりいると気が休まるはずがない
それを私が緩和できるのならそれはそれで……ミヤの役に立っているはず
私はミヤの言葉にこう言う。
「こちらこそ何時もありがとう、これからもよろしくね!」
「はいっ!」
ミヤは笑顔のまま私の顔を見た後、足の速度を上げて依頼発行場を目指す。