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第32話-エステの1日-

俺は『依頼発行場』で別れ別の場所へ向かう

それは王都のスラム街にある墓地

その墓地に俺の父親と母親が眠っている……もう骨だろうけど

『そこ』にいる事には変わりはない。


「久しぶりだな……親父、母さん……最近は殺しはしてない」


俺は1年に1回ここに来て、あやめた人間、何をやったのかを報告している

人を殺して親が喜ぶ訳がない、復讐すればまたその人物が復讐するだけ。


「でもよ、最近守りたい奴ができた、たしかに金も魅力的だけど

 未来を荷う子供は守らないといけないだろ? なぁ親父」


『お前が人を守る? 馬鹿を言うな、お前もまだまだ若いだろ?』


「そんな事はねぇよ、親父……俺はもう『18』だ、ミヤみたく餓鬼の頃から

 殺しの世界にいる人間もいる、まったく……世の中は理不尽だよな」


『そうとも限らないわ、悪い部分だけを見ようとすればいくらでも見れるけど

 良い所を見ようとすれば……必ず1つは見つかるはずよ、エステ』


「そうかい? 母さん……俺も1つは良い所があるのかい?」


しかし、俺の呼びかけに答えてくれる人はいない

今の今まで、生きているはずのない人、その人達の声が聴こえた気がしたのか

俺は寂しそうな表情をしながら空を見上げる。


それから俺はスラム街をぶらついていると1つの小さい店の中で叫び声が聴こえる


「う、うちには高価な物はないわよ! 他のとこにいきなさい!」


それは俺が小さい頃、物を買うためにたびたびお世話になった道具屋

道具屋と言っても、その店のおばさんの手作りの物が多かったけど


「どうした?!」


俺はその店の中に入ると、おばさんが茶色の鎧に黒のズボンの男2人の1人に

胸倉を掴まれ、泣きそうな顔をしている


「いやー、ここに婆が『お前に売れる物』はないって言うんだよ

 俺達は頑張って国のため頑張ってるってのよ」


俺は見ただけでわかった、こいつ等は金稼ぎだ、国の兵士でもない

『依頼発行場』ではなく、街の外で人を襲う盗賊に近いはず


「おい、そこの2人、俺を倒す事ができたら、100,000ゴールド進呈するぜ?

 もしも、負けたら……そうだな、有り金全部よこせ、な?」


「おもしれぇ……その喧嘩買ってやるぜ!」


俺と男2人は店の外に出て距離を取る、相手は盗賊紛いの男2人

武器は2人ともナイフ1本


「死ねよ!」


男の1人がナイフを俺の腹めがけて突き刺しにかかってくる

しかし……先程戦ったインペリアルガードに比べれば雑魚に等しい

さらに後ろからナイフで首を斬ろうともう1人が『もらった!』と声を荒げるが

俺は突き刺しにかかってくる男の背後に回り2人の攻撃を避ける


「……つまんねぇな、これならスティナのほうが上なんじゃねぇか」


「あん? そいつが誰だかしらねぇが……2対1だぜ、降参しろよ」


「だからしねぇよ、雑魚」


俺は男1人の胸元に走り込み、腹に右手の拳をめり込まし、左足で腹を蹴り飛ばす

しかし、後ろからもう1人がナイフで背中を斬りかかろうとしてきた時

その男は頭を蹴り飛ばされ、民家の塀の部分に吹き飛ばされ、塀を壊す


「1人の時は……隙がある攻撃は……控えろ、狙われるぞ?」


その声がする方向に振り向くとそこにはハンナがいた

どうしてハンナがこの場所にいるかは不明だが、俺は感謝を述べる


「ハンナさん……悪い、助かった」


「構わないさ……私はそろそろ行く、エステ……店の人が見ているぞ」


俺が店の方を見ている隙にハンナはどこかへ行ってしまった

ハンナの事をそこまで気にする事なく俺は店のおばさんに話かける。


「悪かった、店の前で暴れちまって」


「いいよいいよ、私を助けてくれたんだろ? ほら、これお礼だよ」


そう言っておばさんは俺に『りんご』をくれた

スラム街でりんごなどの果物は高級品だと言うのに笑顔でくれるおばさんは

別に嫌々な顔ではなく、嬉しそうに話続ける。


「エステちゃんも大きくなって、お仕事頑張んなよ、おばさん応援してるから」


そう言っておばさんは店の中に戻る、それからしばらくして王都の巡回兵士が

スラム街に来て、気絶した2人を連行して行く


俺はスラム街から離れ、『依頼発行場』向かいながらりんごをかじると……


「げ……このりんごまだ甘くねぇ……まぁ、いいか、このりんご1個分の働きだ」


1回かじったりんごを空に投げ、落ちてくるりんごを右手で受け取ると

俺は歩き出し、ながら独り言を洩らす。


「行ってくる、父さん、母さん……そこで見てろよ、俺の戦いを」


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