第27話-インペリアルガード包囲網-
インペリアルガードが街をうろついている事を確認した私達は王都を出る事にした
しかし……インペリアルガードの兵士数名が宿屋に入っていくのをハンナさんが
確認しており、入口から外に出ることは難しい。
「で……どうする依頼主、部屋から出られないぜ」
エステさんは真面目な顔で私に言うが……正直『依頼主』と言う事が嫌
だから私はエステさんに言う事にした。
「依頼主って呼び方やめてくれません? スティナでいいですよ」
「そうか? 了解した、スティナ……で、どうするか……」
「……窓から屋根に飛び移るか……」
「ハンナ、それだとお姉様ができない、他の方法が探さないと……」
「そうか……それなら強行突破か?」
ハンナさんとミヤが会話をしている最中、エステさんは部屋の扉を閉め
聞き耳を立てながら2人の会話を聴いている。
私は……特に何もせず真ん中のベットの上に座っている
護衛されると言う立場では居心地いいのだが……1人何もしていないのは
ちょっと寂しく、何か役に立ちたいと思ってしまう。
それを感じたのか剣のロストが私に小さな声で話かけてくれる
『……自分の思った通りにやれ、お前の意見を尊重してくれるはずさ』
「うん、言ってみる、ありがとね、ロスト」
『俺の事はいい、さぁ……仲間に言ってこい』
私はロストに背中を押される形でミナとハンナさんの近くに行き話かける
「あの……この4人なら正面突破して馬車奪うか、どこかに潜入すれば……」
「正面突破はいいが……馬車か潜入か……」
ハンナさんが腕を組みながら悩んでいるとエステさんが思いついたように言う
「あ……たしかだが、依頼発行場に休める場所があった
あそこなら兵士どもが寄り付く心配はないはず」
「……それならそこに行くか」
「りょーかい、お姉様は私が守るから大丈夫」
そして私達4人は扉を開け宿屋の外に飛び出すと……
入口の外にインペリアルガードの兵士達が取り囲んでいるが
こちらに攻撃してくる様子はなく誰かを待ちながら
私達を囲んでいるようにも見える。
そして兵士達の後ろから1人の男がやってきて、ハンナさんを見るなり大笑いを
しながら武器を構える。
「はーははは、俺の名前は『ラフト・フィクス』、インペリアル第3階級だ
お前はハンナ・アスミルだな、勝負を申し込む!」
「……断る」
「なんだとぉぉ?! 俺の勝負を受けられないだと?!
賞金稼ぎハンターと聴いていたが聴いてあきれる!」
「……今は武器がないんだ、見逃せ」
「武器がない……ハンナ、お前は戦士失格だ! 武器を持たない人間など
戦士にあらず! とっとと殺してしまえ」
「暑苦しい奴……私が変わりにやる」
ミナがそう言い1歩前に出ようとした時、エステがミナの前に右手を出し言うと
それに反応したラフトがエステに話かける。
「俺がやる、こんな暑苦しい奴の相手は男で十分だ」
「ほぅ、お前……名前をなんて言う?」
「……エステ・クレイム、お前を倒すのが俺だ、かかってきな」
エステはそう言うとラフトに挑発しながら笑顔で言う
それに煽られた形でラフトは味方の兵士に叫び声を上げる。
「お前らぁぁぁ! 俺の邪魔をするな! 俺とこいつの1対1だ!」
「……俺が勝ったら今日1日、俺達の事を見なかったことにしろよ?」
「上等だ! 第3階級ラフト・フィクス、行くぞぉぉぉ」
「……行くぜ、男同士の戦いだ」
ロストはラフトの突撃に合わせるように突撃する。