プロローグ-3-
塵旋風に飲み込まれ……どれくらいの時間が経ったのだろう……
私は生きていて、私の体がベットで寝ているのがわかる。
「あ……れ? 私生きて……でも、ここどこ?」
寝ていたベットから起き上がった私は周りを見回すと……
そこは洞窟ような空間にも見える場所で
ベット以外は何もない一部屋、部屋の入り口には木の扉が1つある。
私は……そのベットから起き上がると、男性の人が木の椅子に座っており
私が起きたのを確認すると話かけてくる。
「お、起きたか……ふむ、やっぱり娘に似ているな……」
その男性は私の顔を見ながら、『娘』と言っている
私の父親は亡くなっており、目の前にいる男の人が父親ではない。
「あ……あの、ここは……どこなんですか?」
私は今の状況が掴めなく、目の前にいる男の人に聴いてみる。
すると、その男性は私の質問に笑顔で答えてくれる。
「ん?……ああ、ここは『呪われた御旗』のアジトだ」
それだけ説明されても私が理解できるわけもなく、より詳しく聴くために
私はその男性にいろいろ聴いてみる事にした。
だが……その男性は嫌がる事もなく、私に『この場所』の事を教えてくれた。
この場所は砂の地面の下に存在しており、天井となっている部分は砂
もちろん、地面となっている足元も砂で……まるで砂の洞窟。
「えっと……あなたの名前は?」
「俺かい? 俺は……『リドラー・フォン・シュタイナ』だ」
リドラーと名乗った人物の次の一言に私は驚くことになる。
「ちなみに義賊『呪われた御旗』の総長だ」
義賊……本で見たことがあるが実在していたと言う事に驚きを隠せなかった
しかし、義賊と言うのは大都市で行動を起こす者だと思っていたのが大きく
洞窟みたいな所を本拠地にしているとは思わなかった。
「……お嬢ちゃん、義賊と言っても俺達の相手は金持ちだけじゃない
俺達の狙いは……『国の兵士』共だ」
「国の兵士……って街とかを守ってくれている人達のことですよね?」
国の兵士……職種にすると警備兵や守護隊、近衛兵など様々だが
どうして『呪われた御旗』が兵士を狙うのかは理解できない。
「まぁな……だが、あいつらは守る理由を盾に金銭を要求したり、女を要求する」
見返りと言うやつだろう、仕事だからと理由もなくやるとしてもストレスは溜まる
その分として、兵士は金銭と女性を要求するのは納得がいくのだが……
それは『兵士達の言い分』であって『民の言い分』ではない。
「と言う事は……リドラーさんは兵士達を殺したりして、
街を救っていると言うわけですよね?」
「その通り……と言えば嘘になるな、傲慢な兵士の寝首を刈りとり
そいつらが持っていた金銭とかを取り返すのさ」
理由としては納得が行く話なのだが……私はどうしても納得いかない事がある
それをリドラーさんに聴いてみることにした。
「リドラーさん、兵士を殺すと言う事は……兵士の家族にも恨まられる覚悟が
あると言う事ですよね」
「それは当たり前だな……殺す覚悟があるのなら殺される覚悟もある
生きるために……やらないといけない事もあるからな」
リドラーさんの顔はどこか寂しく……そして悲しそうに私に言ったように見えた。