第19話-道別れる時-
私達3人がハンナさんの部屋を出ると、そこにはリドラーさんが立っていて
私に達に声をかけてくる。
「……ハンナとミヤ、どうしてスティナを守る? 特にハンナ
お前は孤高が好きだったんじゃないのか?」
「……そんな事はない、私は……スティナを守るために……ここにいる」
「守るか、お前は『手配書』の敵を倒して満足していたんじゃないか?」
「たしかにな……だが、今は違う」
「そうか、それならそれでいい」
リドラーさんは少しだけ微笑むとミヤの方を向き言う。
「お前はどうしてスティナを守る? お前は王都のスラム街出身で
王都には恨みがあるんじゃないか?」
「あると言えばあるけど……私はお姉様を守る、今はそれだけでいい」
「それだけか……その剣を手に入れれば殺された家族の恨みを簡単に返せるぞ?」
「恨みねぇ……親の敵討ちをしても親が喜ばないって言葉はあるけど
でも、今はその時親を救えなかった分までお姉様を救う」
「なんだ親の分までって事はスティナと親を被せているのか?」
「そう思う? それは間違いよ、私は私自身でお姉様を守る、それだけよ」
「……それでミヤはいいんだな?」
「ええ、もちろん……何も問題ないわ、それにお姉様と一緒は楽しいから」
「楽しいか、そうか」
その時のリドラーは外見では3人を通そうと『威圧』をしているが内心は違う
ハンナとミヤは変わったな、スティナと会ってまだ1日2日……それなのに
2人はスティナを守ると言っている、それもハンナは手配書にしか興味がなく
何時もお礼で貰ってきた食糧を自分の分だけ取って後は食堂に放り投げる
そんな人間だった……ミヤは誰も近寄らせない感じが漂っていて子供と言う感じは
まったくなかった、それだと言うのに今はスティナにべったりだ。
『まったく……スティナは何者なんだ』
リドラーは心の中でそう叫んだ後、リドラーは目を閉じ
私達に話かける。
「ちっ、ハンナの部屋には誰もいなかったな、まったく……ミヤもハンナも
スティナをどこに連れてったんだ? 早く探さないとヒーナに怒られる」
リドラーはそうは言っているが慌てる様子もなく、ただそこに立ち
目を閉じたまま独り言のように呟く。
それに気づいたハンナはミヤと私に『行くぞ』と声をかけると歩いていく
そして私がリドラーさんの前を通ろうとした時、小さな声で私に話かける。
「スティナ……もしもお前が剣を持っていなければ、こんな事には……
だが、何時か御旗と同じ道に繋がる時がある、それまではお別れだ」
私がリドラーさんを通りぬけ、後ろを振り向いた時
リドラーさんは微笑みながら私を見ている中、出口へ向かうとそこには
ヒーナとリクがいて私達を外に出さないように立っていて
私達を見つけると2人は武器を構えて待っている。
しかし……ハンナさんの武器はヒーナさんが持っていて素手
こちらで武器を持っているのはミヤと私だけである。