第17話-利用すると言う事-
リドラーさん達が部屋に来た後、私はヒーナさんに腕を引っ張られながら
ヒーナさんの部屋に入る。
「あのさ! 剣見せてくれない?! もしよければ抜いてみてもいいよ」
「えっと……」
私は困惑した、ヒーナさんの理由はわかりやすく
剣を調べたくしかたないと言った目をしている。
「ね、いいでしょ? あ、でも……その剣貸してくれてもいいんだよ?」
ヒーナさんの押し込みに私がたじたじになっている時
ヒーナさんの後ろから声がかかる。
「いい加減にしろ……次押し込み発言をしたら……お前を許さない」
「ハンナ?! どうしてあんたが私の部屋に?」
「スティナと一緒に入って来た、ミヤの変わりに護衛をしている」
私の護衛……外だけではなく中もだったみたいで
先程のミヤの事と護衛の事……御旗の内部でもいろいろ複雑になっているらしい
「そ、まぁ……ハンナもその溶断剣に興味があるんじゃないの?」
「少しはな……だが、スティナが教えてくれるまで……私は待つ」
「待つって本人もわからないでしょ?! だから調べてあげるって言ってるの」
「……今度触ったらお前の手が溶けるかもしれないぞ?」
それを聴いたヒーナは黙り、腕を組みながら考え込んでいる
その隙にハンナさんは私に近寄り小さな声で言う。
「ヒーナの隙を作る……外にミヤがいるから……ついていけ」
私は黙って頷くが……ヒーナさんも悪い人ではないと思う
もちろん、御旗の人達の全体が『悪い』『良い』と言うわけではないのだが
「おい、ヒーナ……この武器なんだが……」
ハンナはそう言って自分の武器をヒーナの目の前にやり言い出す
『持ち手の部分が可笑しい』『前の戦闘で切断できなかった』など
前の戦闘で何かあったのかないのかはハンナとそれを見るヒーナにしかわからない
「……はぁ、良いわよ、見てあげる」
ヒーナは黙ってハンナの武器『トンファーナイフ』を調べ出す
整備してる物にとって不満はなんとかしないといけないし、もしも自分の不備で
味方が死んだなんてあったらこの場所にもいられない真剣だ。
私はそんなヒーナさんを見ながら入口の扉を開き、外にでると
そこにはミヤが待っていて、私の左手を取ると走り出しながら言う。
「私の部屋まで走ります、付いてきてください」
私はその言葉に頷くのミヤが確認すると笑顔を浮かべ走り出す
走ってると言うよりミヤの速さに追いつけず走らされている方が正解なのだが……
そして、ミヤの部屋に入るとそこは……ピンク色の部屋と言うわけでもなく
シンプルに木のテーブルと椅子、そしてベット、特に私の部屋と違う所はない。
「ささ、お座りください……少ししたらハンナも来ますし」
そうミヤが言った直後、ハンナさんがミヤの部屋の扉を開けて入ってきた
ハンナに向かってミヤはまるで見ていたように話かける。
「で……ヒーナはなんとかなったの?」
「適当に武器見せて……あとは点検してもらうだけ」
「ヒーナは扱いやすいわね……さてっと、お姉様に理由説明しないと」
ミヤはそう言うと私に喋る剣の話をしなかったのと今逃げた理由を説明し出す
それは……私とこの剣が利用されるからである
理由は簡単、溶断と言う強力な兵器を手に入れた事になる
それを使えば王都を落とし帝都を容易に落とせる。
ちなみに『コスタインスティア』では王都よりも帝都のほうが位は上で
王都は地域を支配、管理する、帝都はコスタインスティアを管理する側
しかし……その帝都が落とされるような事にならないために防衛隊も存在する
そして、リドラーとヒーナはスティナと剣を利用し、王都を落とそうとして
御旗としては『義賊』をしているとはいえ、恨みを持つ人や国兵が嫌いな人もいる
そんな人物達が『王都を簡単に落とせる』物を手にいれたらどうするだろうか
答えは簡単だ……剣を手に入れ使ってしまえばいい……
その結果、スティナを利用するか、剣を手に入れ抜けるようにすればいい
またはスティナを殺せば剣の持ち手はいなくなる。
「えっと……私殺されるの?!」
「それは……ないと思う、今剣を抜けるのがスティナだけだからな」
「そうそう、だから、ヒーナがあれだけいろいろ言って来たの……来たんですよ」
こうやって2人の話を聴くと先程のヒーナがどうしてあれほど
剣に拘ったのかが……わかった気がした。
「で……ハンナ、これからどうするの?」
ミヤがハンナに質問するとハンナは喋り出す。