第12話-禁止された大砲-
私は遠くで隠れながら『その現場』を見ている
ハンナさんとミヤが優勢に見えていたが、それは簡単に逆転した。
相手の伏兵の弓部隊、さらに王都から挟むように大砲隊
そして……2人は弓の攻撃で動けない事。
この状態で2人を助けられるのは自分しかいない
だけど持っている物は『抜けない剣』と『ロングソード』
それに人と戦った事がない……
私がその場で『見ている』だけでいるとどこからか声が聴こえる
『おいおい、仲間のピンチだろ? お前しかいないのなら……行こうぜ』
「え?」
どこからか聴こえる声、幻聴ではなく私に話かけるようにそれは話を続ける
『大丈夫だ、もしも……お前さんが「そう」思うのなら俺は抜ける』
「抜ける? どういう事……?」
その言葉だけを残し謎の声は私に話す事はなかった。
「『そう』思うのならって……私に何を思えと言うの……」
私のその言葉に誰1人として反応する事もなく、ただ時間が過ぎていく
しかし……そんな時間であっても『戦況』は変わる。
「ミヤ……私が弓を止める……お前は大砲を」
「はいよ……ちゃんと防げよ」
「当たり前だ……全て打ち落としてやる」
ミヤは大砲隊の方に走り出す……それを防ごうと弓隊は矢を放つが全てハンナが
自分の分とミヤの分、全てを撃ち落とす。
「なっ……あいつ、何者よ……あれだけの矢を軽々と撃ち落とすなんて」
ロイミは唖然とした、女性2人に向けた打った矢……それも当たる矢のみを
片方の女性は見極め撃ち落としたのだ。
「やればできるじゃん、じゃあ私はっと……!」
ミヤは大砲に接近しようとするが……インペリアルガードの兵士に阻まれる。
「チッ、雑魚が壁に……それも数が多い」
ミヤの能力なら2人3人なら蹴散らせるだろう、しかし……敵の兵士は8人
残りの2人は大砲の準備を急ぎ、8人の兵士は大砲を守るように前にでて
大きな盾を構えている。
「……大砲ってそんなに時間かかるっけ……」
ミヤがそう考えた時、思い出す……『対人間相手の大砲』
それは『国より禁止された大砲』
どうして禁止されたか……それは人間を打ち抜くからである
元々の大砲は放物線を描き着弾する爆撃により人を倒す兵器だった
しかし……それだと名のある兵には軽々と避けられてしまう。
ならばと作り上げたのが『対人間兵器』、大砲の弾を砲内で圧縮し
人間に向けて打ち抜く兵器、しかも弾速は早く、心臓をピンポイントに狙える
数々の戦いで使われていた兵器だが、殺傷能力、残虐率の高さにより
帝都から禁止条例をだされた。
「……もしもそれだったらさっさと破壊しないと全滅する」
ミナはそう思い、大砲に突撃しようとするが兵士の盾に阻まれる。
「チッ……盾持ちがー!」
ミナは自分武器『アルインダーナイフ』で斬りかかるが大型の盾8枚は破れない
それもお互いをカバーするように立っているため、暗殺もできない。
そんな状況でもハンナは矢を防ぐ続け、ミナを援護するが……
ミナの状況を見てハンナは少し唇を噛みながら思う。
『……ミナも辛いか……この状況……あの子に頼るか……』
ハンナは『あの子』に頼りながらただひたすら武器を振り
ミナを援護する。
「うん……今のままじゃ2人とも……今、助けに行く」
スティナはそう言うと隠れていた場所を飛び出しサイドから大砲隊に突撃する。