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ここから始まる表と裏の物語-the back a story-episode1  作者: 鈴菜
第21章-ミナセの稽古-その訓練の行く末-
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第180話-始まりは何時もここから-

どれくらい闇の中を巡り廻ったのかはわからない

誰かが自分に話かけてくる訳でもない

暗い暗い闇の底……自分が死んでいるのか生きているかすらわからない

そもそも死んでいたらこうやって考え事をできたのだろうか?


そこまでスティナが思った直後

何やら耳に響く声が聴こえる


「……様! ……姉様! お姉様!」


『あれ……? この声……ミヤ?』


スティナはミヤの声に誘われるように目を開けると

両膝を地面に付け、両手でスティナの顔を触ってる

泣きそうな顔のミヤと目が合う


「あ……れ? ミヤ無事だったんだね」


「はいっ……でも、お姉様を助けられなくて……」


「でも、ほら……こうやって生きてるし……」


スティナはミヤにそう言った後

自分の服を見る

どこか破れてる所はないか? 無くなってる物はないか?

それを確認するが……何1つ無くなってはいない

ロスト……ロスト・ヘレン・ブレードは何故か鞘に収まっている


「うん……大丈夫そう」


スティナはロストの事を心の内にしまいながらミヤに笑顔で返すと

ミヤも泣きそうな顔で笑顔を浮かべ説明を始める


「よかった……私の武器も何故か鞘に収まってて……

 無くさなくてよかったんですけど……」


「けど?」


ミヤも微妙な言い回しにスティナは首を傾げ、ミヤに聞き返す

するとミヤは後ろを振り向きながらスティナに言う


「……ここどこなんでしょうか?」


「え?」


スティナはミヤの言葉に体を起こし、周囲を見回すと

そこは『見覚え』をある風景だった


砂漠……何時も自分が歩き生活していた、あの場所

しかし……1つだけ、そう……1つだけ……可笑しな場所があった


「どうして……」


「お姉様?」


スティナの言葉にミヤはスティナの顔を見ると

驚いてる可笑しな光景を見ているスティナに疑問を感じ

スティナと同じ方向を見るが、ミヤにはそれがわからない


「お姉様……?」


「どうして……塵旋風で無くなったはずの私の村があるの?」


「え?」


スティナの言葉にミヤは遠くに見える

藁や木で作られている簡単そうな家はミヤの目でもわかる

しかし、スティナの言葉に疑問を感じるミヤはスティナに言う


「……時間もたってますし、建て直されたのでは?」


たしかにミヤの言ってる事に間違いはない

あの塵旋風から逃げられた人が建て直し、人を集めたのなら……

それは合ったのかもしれない


「だって……私の村の周囲に住んでる人なんて……誰もいないもの」


「……生き延びた人がいたとかは……?」


ミヤは動揺しているスティナに心配かけないように優しい言葉で質問する

するとスティナはその言葉に体を震わせながら言う


「た、たしか……1人、女の子が生きてたとは思うけど……」


そう……あの塵旋風で私が助け逆に殺されかけた、あの女の子

もしも、あの子が生きて、助けを呼びにいけば、村は建て直されたのかもしれない

だが、スティナはその時の事を思い出し体を震わせる

そんな状態のスティナをミヤは抱きしめ、優しく言う


「大丈夫です、私が一緒です、今度は私が必ず守りますから……」


「ミヤ……」


ミヤの言葉にスティナは頷き、立ち上がる

そして村の方向へ歩く、その横をミヤは笑顔で同じ速度で歩く

その光景にスティナは落ち着いたのか……ミヤを見て微笑む


「行ってみてもいい?」


「もちろんです! 他に行ってみたいというかこの辺の事

 さっぱりなのでお姉様にまかせちゃいます」


「ありがとう」


2人はしばらく歩き、村にたどり着くと

村の人々だろうか……その人達の話声が聴こえてくる


「今日もいい天気だよな!」


「そうね、これで砂がこなければ最高なのに」


「砂はしょうがない、ここで住んでる宿命だろ」


「そうよね」


それを見たスティナはさらに驚く


「小母さん……小父さん……」


「……お姉様、お姉様の家はどの辺だったんですか?」


ミヤはスティナに気を使い、家の場所を尋ねると

スティナはぎこちない笑顔で『こっちだよ』と案内する

そして……その場所に家があった


「ここがお姉様の?」


「うん、多分誰もいないと思うけど……」


そういるわけがない

スティナが眠っていた時間がどれくらいかはわからないが

もしも何十日、何百日と過ぎていて……お母さんが探しにこないわけがない

ミヤはスティナの言葉を聴き、扉を開ける


「ミ、ミヤ……」


すると中なら声が聴こえる


「どちら様?」


「お母さん……?」


ミヤが扉を開けた先に見たのは『ミナセ』

笑顔でこちらに近寄ってくる


「あら、スティナ、お帰りなさい、『どこに』行ってたの?」


「え、えっと……」


「? 家の中で話ましょうか、隣の人は『お友達』さん?」


「え? ミヤだよ? お母さん、会った事あるよね?」


「え、ああ、ミヤちゃんね、ごめんなさい、お母さんぼけちゃった」


ミナセは笑顔でスティナにそういうとスティナの右手を取ろうとする

しかし、ミナセのその手をミヤは弾き、ミナセを睨み言う


「……あなた……いや、お前は誰だ?」


その口調からは殺意の籠っていた

そんなミヤにスティナは言う


「え? ……ミヤ?」


「……お姉様、1つ質問なんですが

 あの『過保護』なミナセさんが、お姉様も探さずに家でのんびりしてると?」


そこでミヤはもう1つの質問があったが、それを心の内に仕舞った

『もしかしたら、過去に飛ばされたのかもしれない』

その質問にたどり着いたのはスティナがこの村にくるまでの会話

しかし、もしも過去に飛ばされたのなら、お姉様がこの場所いないと可笑しい

むしろ……幼いお姉様が見えたのかもしれない


「……」


ミヤの言葉にスティナは少し考えているとミナセは笑顔でミヤに言う


「今のスティナなら1人で大丈夫でしょ? ミヤちゃんは心配性ね

 それに、その『抜けない』剣があるんですもん」


「……はぁ」


ミヤはミナセの言葉に溜息をつくとスティナの右手を取り

後ろにバックステップし、スティナの手を離すと短剣2本を構え言う


「ミナセさんの真似をするならもっとちゃんと真似をしろ

 この紛い物! さっさと正体を見せろ」


「え? 何を言ってるの?」


「ミナセさんは今のお姉様より『まだ』強い

 そんな状態なら、あのミナセさんが1人で行かせるわけもないし

 それに『抜けない』剣なんて馬鹿みたいな言い方をしない」


「……だって抜けないでしょ?」


「……抜けない? たしかに過去のミナセさん、そうかもしれない

 だけど……今のお前にはミナセさんのような『気』がないんだよ」


「……スティナ1人なら騙せたのに」


ミナセの恰好をした何かは微笑むとその姿を変える

その姿は紫色で頭に2本の小さな角、そして背中には小さな紫の羽

手は人間より少し長く爪はあの時みた、あの手をよりも細く爪も長い

そしてなにより全身紫色で目は2つとも赤色


「……なるほど、これが正体」


「……ミヤはわかってたの?」


「お姉様のお話を全部聴いて、考え抜いた結論と

 目の前の紛い物のミナセさんを見た時に感じたんです」


「……さすが、ミヤ」


「……でしょ?」


ミヤは微笑みながらスティナに言葉を返すと前を向き

スティナもロストではなくロングソードを抜き

ミヤと背中合わせに立つ


「ということは……」


「ええ、お姉様の思う通りです、ここはお姉様の村じゃなくて……

 そう、この紫色の化物の村だったと言うわけです」


ミヤがそう言った瞬間、今まで村人だった人達は姿を変え

目の前の化物と同じように姿を変える


「……さて、お姉様、起きてそうそうですが……

 この事態を収めるためには……」


「うん、わかってる」


「では……行きましょうか」


ミヤとスティナは目の前の紫色の悪魔と対峙する

ここから始まる表と裏の物語-the back a story-episode1

これにて一度完結になります。

え? 良いところで終わった? それでしたら……

ここから始まる表と裏の物語-the back a story-episode2

を楽しみに待っていただけると嬉しく思います。

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