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ここから始まる表と裏の物語-the back a story-episode1  作者: 鈴菜
第21章-ミナセの稽古-その訓練の行く末-
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第178話-駆け抜ける刃-

「ねぇ……お姉様」


「え?」


フィリシアの連撃を受け止めながらミヤは相変わらずの笑顔でスティナに話かける

そんなミヤな今も驚きながらミヤの言葉に生返事をする

それを見ながら微笑み、ミヤは会話を続ける


「そろそろ『飽きちゃった』ので……攻撃にでてもいいですか?」


「う、うん……私はもう大丈夫だから」


スティナはミヤの言葉に頷き、立ち上がろうとした時

ミヤはそれを制するように言う


「お姉様はそこにいてください、そうしてくれると私は戦えるので」


「……うん、わかった」


スティナはまたその場に座るとミヤは微笑み、前を向く

その間も横目でフィリシアの攻撃を全て短剣で受け流す


「さて……ここからが本番……」


「……受け止めるのが精一杯の癖に……」


ミヤのその後の言葉は小さな声でスティナに聴こえないように……

そしてフィリシアのみに聴こえるように言う


「エステから聴いた話……そう、お姉様に放った連撃以上受け止めた

 なら……もう遠慮しないわよ」


ミヤはスティナが広場に来る間の時間、エステと話をしていた

その内容はスティナとフィリシアの戦い、そしてミヤの武器を作るまでの話

最初は驚きながら聴いていたミヤだったが、最後まで聴き終わると……

ミヤは1人頷き、真面目な顔でエステにお礼を言った


「……かかってきなさい、今度は私が受け止めてあげる」


フィリシアは笑顔でミヤに言う、それはまるで『余裕でしょ』と言った素振り

先程のミヤを見ていたのか、フィリシアは余裕だと思ったのだろう


「そ……じゃあ」


ミヤは短剣を構え直すとフィリシアの前で短剣の連撃を放つ

その攻撃をフィリシアは微笑みながら受け止め、そして言う


「何? この程度なの?」


「……」


その言葉にミヤは無言で連撃を繰り返す

そして……それはさらに加速する

その光景は傍から見ていたエステ達にも見てとれるほど


「……おい、段々速くなってないか?」


「そうだな、5回1回……徐々に速度が上がってる

 あの攻撃は……フィリシアの模倣だろうな」


「模倣? ミヤが?」


「……スティナの得意分野は『模倣』だ

 それを真似て勝ってみるんだろ」


「どうしてそんな事を?」


「ん? そんなのもわからないのか?」


ハンナの『わからないのか?』と言った表情で腕を組み

エステの顔を見ている事にエステは少し苦笑をすると頷く

もちろん、エステにも理由は何個か浮かんだ

しかし、あえてハンナの言葉に頷く


「理由は簡単だろ、フィリシアがスティナに喧嘩を売り

 さらに肌に傷をつけた」


「それだけで模倣か?」


「いや……本当の理由は『お前なんかお姉様に及ばない』と言いたいんだろ

 そのための模倣だよ」


「……ミヤらしいな」


「ああ、そうだな」


エステとハンナは微笑みながらミヤとフィリシアの戦いをする

すると……戦況はすぐに動いた

ミヤの最初の連撃はフィリシアも余裕の表情で受け止めていた

しかし、今のミヤの連撃を防いでいるフィリシアに笑顔はない


「……」


「っ……私の真似ってわけ?」


「……真似? ええ、そうよ……ただ、今のあんたみたく

 『力の暴力』じゃなくて本当の連撃」


「……うざ」


「……そう思うなら、全て受け止めてみなさい

 私の『50連撃』を!」


ミヤはその言葉ともに更に速度を上げる

そこからフィリシアは防ぎきれていないのか肌にかすり傷が付く


「チッ……」


フィリシアはミヤの隙を付いて攻撃を行おうとするが

ミヤにその隙はない、レイピアと短剣の違いなのか振る速度

そして隙と言う隙が全て消されてる


「……」


しかし……そこで思いもよらない方向にミヤは攻撃をする

それは足払い、立っている状態の軽い左足の足払い

その行動にフィリシアは気づかず、綺麗に左足が払われ

フィリシアの体が左に揺らぐ


「隙あり」


その体制にミヤは体を回転さえ反動を即けると右足でフィリシアを蹴り飛ばす

その蹴りはフィリシアの腹を捉え……吹き飛ばす

それと同時にミヤは吹き飛ばされたフィリシアの元に走る

しかし、フィリシアは気を失っているのか起き上がらない

そんなフィリシアを見下すように見たミヤが後ろを振り向いた時

フィリシアは眼を開け、右手のレイピアをミヤの背中めがけ刺す

しかし、その突きはミヤに当たらない

当たらないと言うより、その場にミヤはいない


しかも次のミヤがいたのはフィリシアの頭の上

ハイドからの強襲……ではなく、フィリシアの攻撃を読んで動いたのだろう


「まったく……」


ミヤはそんなフィリシアの腹に右足を降ろす

もちろん、それを防げるわけのないフィリシアは直撃し咳き込む

さらにもう1回ミヤが右足を上げた時、スティナが叫ぶ


「ミヤ! もういいよ!」


「お姉様……」


スティナの言葉にミヤは足をフィリシアの頭の真横に降ろし

フィリシアの顔を睨むように見ると小さな声で言う


「雑魚……」


その言葉にフィリシアは悔しそうな顔をした後……気を失う


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