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ここから始まる表と裏の物語-the back a story-episode1  作者: 鈴菜
第21章-ミナセの稽古-その訓練の行く末-
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第174話-フィリシアの殺意-

「せっ!」


フィリシアはミナセに突撃すると同時にレイピアを突きだす

しかし、ミナセはその一撃を弾くのではなく、余裕の表情でかわす

その行動にフィリシアはイラツキを感じながらも再度、ミナセを突く

それを何度と繰り返すと、1発たりともミナセには当たらない


そして……何度目かわからない突きをミナセが回避し

後ろにバックステップすると、ミナセはスティナに話かける


「ねぇ、スティナ」


「え? ……何? お母さん」


「この子の代わりに私ともう1戦やらない?」


「……どうして?」


「どうしてって……そんなの決まってるでしょ

 この子が『弱すぎる』から」


その言葉の一部分だけミナセはものすごく強調するように言う

それはその場にいた全ての人に理解できるように……


そのミナセの言葉に肩を震わせながら黙っていたフィリシアが

頭のリボンを外し……ミナセに突撃する


『絶対に許さないっ! 私を侮辱したこの人をっ!』


フィリシアは『殺意』を込めた表情でミナセの近くまで接近すると

レイピアを突きだす

それをミナセは余裕の表情で身をかわした直後

フィリシアのレイピアが斬りかかってくる


その攻撃は先程の攻撃の何十倍の速さでレイピアを振るっている

その攻撃にハンナとミヤは驚いている中

驚かずにエステはスティナに近寄り話かける


「あれは……スティナとの戦いで見せた連撃……だよな?」


「はい……でも、あの時のように綺麗な連撃じゃないです

 まるで……暴れているようにも見えるかも……」


「スティナにもそう見えるか……」


「はい」


スティナはそう答え、エステの顔を見ると……

エステはどこか悲しそうな表情でフィリシアとミナセの戦いを見ている事に気づき

スティナは心配そうにエステに話かける


「エステ……さん?」


「ん? どうした?」


「い、いえ……なんか悲しそうな表情してたので何かあったのかなって……」


「……フィリシアは、ミナセさんになんらかの恨みじゃないけど

 それに似たような物があると思うんだ」


「でも……お母さんとフィリシアさんがあったのって昨日ですよね……」


「そうなんだけど……フィリシアの、あの表情

 まるでミナセさんを殺そうとしてるように見える」


「……」


スティナはエステの言葉に答えず、ただ黙って2人の戦いを見る

しかし……その戦いは一方的だった


フィリシアが放つ、何十回ともいえる連撃を全て剣で受け止めず

易々と避け、ただ一度もかする事もない


「当たれ! 当たれ! 当たれ!」


フィリシアの邪念のような言葉と共にレイピアを振り続ける

それをミナセは悲しい顔で避け続け、フィリシアのレイピアを振る少しの

合間にフィリシアを蹴り飛ばすと、ミナセは剣を2本、地面に突き刺し

背伸びをすると、フィリシアに言う


「もう終わりにしましょ? あなたと何度やろうとも『あなたに成長はない』

 だから、何十回、何百回と……私とやっても無駄」


その言葉はフィリシア以外の人、全てが理解したのだろう

ミナセがフィリシアと言う人間を『諦めた』

そう……もう何度やっても無駄だと言う証明


「……あなたは……どれだけ私を馬鹿にすれば気が済むのよっ!」


フィリシアはレイピアを構え、無防備のミナセに突撃する

しかし……その突撃とレイピアを止めたのはスティナ


「……邪魔しないで」


「……フィリシアさん、落ち着いてください」


「私は落ち着いてるわよ……」


「落ち着いてないです……まるで獣みたいに感じます」


「ふんっ……獣で結構……スティナ、さっさと退いて」


しかし、スティナはロストを納めず……フィリシアの顔を見ている

その顔にイラツキを感じたフィリシアは一度、スティナの剣を弾くと

今度はスティナにレイピアを突きだす


「フィリシアさんっ!」


『無駄だ……頭に血が昇りすぎて何も見えてないな

 スティナ、あの殺意の篭った『化け物』を止めろ』


「化け物って……ロスト、そんな言い方は……」


『くるぞ……』


それ以上ロストは何も言わない

そんなロストにスティナは困った表情を浮かべた、その時

フィリシアは持っていた訓練用のレイピアを投げ飛ばし、自分のレイピアを抜く


「フィリシアさん……」


「スティナ! あの子を止めなさい……あなたにならできるはずよ」


ミナセはまるでスティナがフィリシアを止めるのがわかっていたかのように

スティナに言うと……ミナセはハンナ達の元へ歩く

そんなミナセにミヤは駆け寄り、話かける


「ミナセさん……どうしてお姉様にまかせたんですか?!」


「……私じゃ無理だからよ、私はあの子……フィリシアさんだっけ?

 あの子の殺意を引き出しすぎたのよ……」


「殺意を引き出し……た?」


「そ、あの子が前にどんな事をしていたのかは知らないけど

 あの子は『人を殺しすぎた』、それが今のあの子を縛り付けてるのよ」


「だったら尚更……ミナセさんがやったほうが……」


「それは違うよ、ミヤ」


「エステ……どういう事?」


ミヤの後ろからエステが話かけると、ミヤはエステの方へ向き質問すると

エステはスティナとフィリシアを見ながら話をする


「俺も傭兵をやってた時期がある

 だからこそフィリシアのあの殺意は少しだけ理解できる」


「……うん」


ミヤはただエステの言葉に頷き、エステの次の言葉を待つ

するとエステはそれに気づき、話を続ける


「傭兵というのは金のために人を殺したりする、それはわかってると思うが

 それをし過ぎると……目の前の相手が『敵』としてか見れなくなる

 今のフィリシアが丁度、それなんだよ」


「だからってお姉様が相手をするなんて……」


「もしもあのままミナセさんがフィリシアを倒したのなら

 フィリシアはミナセさんにさらに殺意を込め、日常でも襲うだろう

 それを理解したのかはわからないが、スティナが身を挺したんだよ」


その時のエステの顔からは『スティナを助けに行きたい』と言った表情を

ミヤは見て取れるほどで、ミヤはそんなエステと黙って2人を見る事にした


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