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第173話-親子対決-3

しかし……スティナの拳がミナセを捉える事はなかった

なぜならミナセはその拳を後ろにバク転し回避する


「なっ?!」


そのあまりの行動にハンナは驚く

もちろん……ハンナだけではなく、ミヤ達も驚きの表情をしている

それほどまでに今のミナセの行動は凄かったのだ


「どう? スティナ、私だってこれぐらいできるのよ」


「……さすがお母さん」


ただのバク転ならば『ミナセなら……』ぐらいで終わったのかもしれない

しかし、ミナセは片手に大剣を持ち、さらに片手にスティナから取った

短剣を持った状態でバク転をやってのけたのだ


「……あ、そういう事ね」


「ん? ミヤ、何かわかったか?」


そのミナセの行動に最初は驚いていたミヤが頷き、1人納得する

そんなミヤにハンナは気になり質問すると、ミヤはスティナ達を指さし言う


「ミナセさんはあの大剣を使ったのよ」


「大剣……?」


「そ、大剣を地面に突き刺して、その大剣を蹴り飛ばしながらバク転

 どう考えても、それを思いつく辺り……凄い」


「おいおい……言ってる事はわかるが、それをあの一瞬で……」


「一瞬じゃないわよ、多分だけどお姉様が短剣取り上げられたと同時に

 ミナセさんはお姉様の次の行動を読んでいたのよ」


「理由はわかったが……そんな行動を簡単にできるとは……」


ハンナはミヤの説明を聴き、さらに驚いている中

フィリシアはただ1人、ミナセの行動を驚きもせず……腕を組んで見ている


『……あの大剣、木よ? それを蹴り飛ばして……そんな事したら

 剣の方が先に折れるわよ……それを簡単にやるなんて……』


「さて、スティナ……あなたが強くなったのは

 じゅーぶんわかったし、終わりにしましょうか」


「……うん、ありがとう、お母さん」


「ふふ、今の所、スティナが一番見込みがあるわね」


ミナセにスティナが武器置き場に剣を置きに行く最中

空いている片手を口に当てながらクスクスと笑う

それを聴いていたロストがスティナに言わず、心の中で突っ込む


『……結局、親馬鹿だな』


「お姉様っ! 凄かったです!」


「あ、ありがとう……ミヤ、でも私なんてまだまだ……

 ミヤ見たく短剣を上手く使えなかったし」


「でも、凄かったですよ! 落ちていた短剣を使うなんてっ!」


「おい、ミヤ……スティナも疲れてるだろうし、あんま騒ぐなよ」


ミヤはやや興奮気味でスティナに近寄り、スティナの片腕を両手で掴みながら

喋っていると、エストがそれを止めると、ミヤは納得したのか

エストの隣の通ってハンナ達の方へ歩いていく最中

エステだけに聴こえるように小さな声で言う


「……私とお姉様の邪魔するなんて最低」


しかしエステはそのミヤの言葉を無視するようにスティナに近寄り話かける


「お疲れ」


「エステさん……どうしました?」


「いや? ただお疲れを言いに来ただけだが?」


エステは右手で頭の後ろをかきながら恥ずかしそうに言う

その行動にスティナは首を右に傾けながらエステに『お疲れ様です?』と言う

そのな光景をミナセは両目を瞑り、微笑ましい表情を浮かべた後

両目を開け、スティナ達に声をかける


「次は誰かしら? それとも……もう終わりでいいの?」


その言葉に1本前にでたのは……フィリシア

武器置き場からレイピアを持ち、ミナセの前まで来ると

ミナセを睨みつけるように言う


「……始めから全力で来て、そうしないと怒るから」


「あら? 随分と自分を過信してるのね……」


ミナセはフィリシアの睨みに大人の余裕なのか笑顔でそう言い返すと

フィリシアは溜息をはき、ミナセから距離を取り、武器を構える


「……あ、ちょっとだけ待ってね」


ミナセはフィリシアにそう言うと武器置き場に行き

大剣を置き、ロングソード2本を手に取り……元の位置に戻る

その行動にフィリシアはイラついたのか、ミナセに怒鳴る


「……あんた、私をなめてるの?」


「……なめてないわよ? って言うか、あなたは私に一度負けてるんだし

 なんで『わざわざ全力』をださないと行けないのかしら?」


『わざわざ全力』この部分だけミナセは強調するかのように

フィリシアの言葉に言い返すと、フィリシアは武器を構え、ミナセに突撃する

しかし、ミナセはその行動に驚く事なく……

呆れた表情のまま、武器を構え独り言を漏らす


「はぁ……こんなだったらスティナともう少し遊んでた方が楽しかったわね」

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