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第171話-親子対決-

「うん……少しは強くなったと思うよ」


「そう……本当は強くなってほしくなかった

 あなたは平和に暮らし、誰かのお嫁さんになっていれば……」


ミナセは悲しそうにスティナに言うと、スティナは笑顔でミナセに言う


「お母さん、それは『もしも』なんだよ、私は今ここにいる

 だから……今は私が強くなった事をお母さんに証明するの」


「……強くなったわね、スティナ」


「元からこんなだよ」


スティナは笑顔でミナセに言うとミナセは頷く

そして……真面目な顔に戻ると拳を構える


「さぁ……いくわよ、娘だからって手加減はしない」


「もちろん……」


スティナはそういうとミナセに向かい、走り込む

ミナセはその場から動かず、ただ……スティナが近寄ってくるのを待っている

そして、スティナが右手の剣をミナセに向かい斬りかかろうとした時

ミナセは右手を前にだし、スティナのお腹めがけて伸ばす

だが、その手はスティナには届かない


なぜならスティナはミナセの目の前で横に剣振り、空振りした

それは傍から見たら可笑しな光景なのだが、スティナがミナセのやろうした

行動に気づくには十分だった


『やっぱり……さっきのはカウンター……私の剣の音に反応した』


『……あらあら、スティナもできるようになったわね』


2人はその場から動こうとせず、眼と眼で会話しているようにハンナには見えた


「……すごいな……私は無理だよ」


「何が……?」


ハンナの独り言のような言葉にエステは聴きかえすと

ハンナはエステの方へ向き、微笑みながら答える


「……お前にだってわかるはずだ、ただ目と目を見つめているだけなのに

 まるで会話をしているように見える、あれは凄い事なんだよ」


「そうか? 俺にはただ、お互いが攻撃できないように見えるだけだが」


エステがそういう言った直後、倒れていたミヤは起き上がり、ハンナに言う


「……エステに言っても意味ないって言うか、お姉様が成長しすぎなのよ」


「スティナが……? たしかに剣の腕前は伸びたと思うが……」


「あんたはお姉様の事を何も見てないわね、護衛失格」


「は?」


エステが少しイラついた顔でミヤを見ている横で

ハンナはクスクスと笑いながらミヤに言う


「おいおい、それじゃ……エステにはわからないぞ」


「そう? これでわからないようじゃ……いろいろダメな気がするけど」


「……ったく、とりあえずハンナも喋るようになったのは知ってる」


「ん? 私の事か? 私は前からおしゃべりだぞ?」


ハンナは『何を言ってるんだ?』と言った表情でエステに言い返す

その言葉に唖然としているエステを余所に呆れ顔でミヤが言う


「……元々、ハンナはお喋りよ、ただ『かっこつけたい』がために

 無口ぽい物を皆に見せてただけ」


「ミヤにはバレバレだったようだな」


「そうね……長い付き合いだからよ」


そのやり取りを見ていたエステはどこか不思議な光景を見ている気がした

あれほど喧嘩し、仲がいいのか悪いのかわからなかった2人が笑いながら話を

している、その光景は傍から見たら仲の良い2人なのだが、前から見ている

エステにとっては……凄く不思議な光景だった


「さて、そろそろ『動く』ぞ」


ハンナの言葉にミヤとエステはスティナとミナセの方へ向く

その中、ただ1人、フィリシアだけは腕を組み……会話に入らず2人を凝視していた


……そんな話を聴いていたのかミナセがスティナに笑顔で話かける


「ねぇ、スティナの事話しているみたいよ?」


「……そう?」


スティナはミナセが見ている方向を見ず、ただ一直線にミナセを見ている

その視線にミナセは真面目な顔に戻り、また臨戦態勢に入る


『釣られないか……前は良く引っかかったのに……』


「とりあえず、お母さん、パンツ見えてるよ? 直したら?」


「……そんな冗談に引っかからないわよ?」


「本当なんだけど……」


ミナセはスティナの真面目な顔が嘘じゃないと悟ったのか

下を向いた時に気づく……ミナセ自身の服は黒いワンピース

今朝、メイドさんに服を変えた方がと言われ、着替えを渡され着替えたのだ


「……スティナちゃん」


ミナセが少し怒った表情でスティナの方を向くとスティナは『そこ』いない

その一瞬でミナセは『後ろから来る』と予測し、後ろを振り向くが

そこにもいない……左右を振り向いてもスティナはいない


『……じゃあ、こうするしかないかな』


ミナセは両眼を閉じ、無抵抗のように両腕を下に下げる

実際、スティナは消えてない、ミナセが見る方向を知っているか

見るよりも速く次の場所に移動しているだけ

それに気づいてか気づいていないのか、ミナセはその場から動かない


『あれ、カウンターだよね……』


スティナはミナセの横から剣を構えているが

両眼を閉じているミナセに攻撃を仕掛けない


『うん、それなら……』


スティナはミナセに走り込む

その足音に気づいたミナセは両目を閉じたまま

スティナが斬るであろう場所に狙いを定める……


しかし、そこでミナセの予想は崩される

間一髪の所でミナセの目の前を剣が突かれる


「……ロングソードで突きとは」


「……でしょ?」


2人は微笑みながら距離を取ると、ミナセはスティナに『ちょっと待ってね』

と言い、武器置き場に行くと……1本の大剣を手に取り、元の位置に戻る


「……少しだけ、遊んであげる」


その時のミナセは微笑んではいるが、今までのようにスティナを『娘』と

して微笑む顔ではなく、どこか『好敵手』を見るような顔にスティナは

武者震いをする……その状況にロストはスティナの腰の鞘の中で悟る


『あいつ……楽しくなってきたな……相手は娘だぞ……』



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