第168話-落ち着く事の大切さ-
そして夜が明け……スティナが目を覚まし
ベット起き上がり隣のベットを見るとそこには誰もいない
「……お母さん?」
スティナは急いで起き上がり、ベットを綺麗に直し、服を整えると
部屋の外にでて、小走りでミナセを探す
小走りで辺りをキョロキョロ何かを探しているスティナを通りすがりに見つけた
カナがスティナに話かける
「どうしたんですかぁー?」
「あ……カナさん、でしたっけ、お母さんみませんでしたか?」
「お母さん……ミナセさんの事かな? それならー食堂にいますよー」
「ありがとうございます」
スティナはカナに一礼すると走るが……急に立ち止まると、来た道を逆走し
立っているカナの目の前まで来ると言う
「あ、あの! 食堂ってどこですか?!」
カナは慌てているスティナを可愛く思ったのか、少し微笑むと
ゆっくりと歩きながら……スティナを連れ、食堂まで歩く
しかし、スティナは落ち着かない様子で『速く行きたい』と言う思いが
カナに伝わるほどなのだが……カナは急ぐ事なく歩きながらスティナに言う
「ねぇ、スティナちゃん」
「え? あ、はい」
慌てているスティナは急にこちらを振り向き話かけてきたカナに驚きながら
返事をする
「そんなに慌てなくても大丈夫ですよー、ミナセさんとご飯は逃げませんからぁ」
「あ、いえ……その、お母さんがどこに行っちゃ嫌だな……って」
「なるほどぉ、でも……スティナちゃんのお母さんなら黙っていなくならないと
思うけど……スティナちゃんはお母さんの事信用してないんですかぁ?」
「信用というか……その、黙って行かれちゃったから……」
そこでカナはきずいた、スティナはミナセと離れたくないと言うことを
見た目からして、子供だし……年齢もさほど身長と大差はないと思ったカナは
笑顔でスティナの頭を右手で撫でながら言う
「だいじょーぶ、ミナセさんなら食堂でご飯中だから」
「……はい」
「だからぁ、落ち着いて行きましょうね、慌てて怪我しちゃったら
私が怒られちゃうからね?」
カナは笑顔でそう言った直後、その場に転ぶ
そう……何もない場所でダイビングをするように転んだ
「だ、大丈夫ですか?!」
スティナの言葉にカナは服をはたきながら立ち上がるとスティナに言う
「大丈夫、怪我もしてないからぁ、スティナちゃん、心配してくれてありがとっ」
「さっきから気になったんですけど……ちゃん付け?」
「あ、だめだったかなぁ? 奥様がいる前だと怒られちゃうけどぉ
こっちのほうが親しみ安いかなーって思うんだけど」
「いえ、そのままでいいですよ……カナさん」
スティナはカナの名前をちゃんと覚えていない、昨日たしかに自己紹介をして
貰い、部屋まで案内してもらったはずなのだが……スティナは見事にカナの
名前を完璧に覚えているとは言えない……そんな状態をカナは最初から知っており
スティナをからかうように言う
「スティナちゃん? 私の名前はぁ、ナリアだよぉ?」
「え?! あ、ごめんなさい! ナリアさん」
スティナはカナに慌てながら頭を下げるとカナは左手を口に当て
クスクスと笑いながらスティナに言う
「ふふ……カナであってるよぉ? やっぱりちゃんと覚えてなかったんだぁ」
「へ? ……あ、もしかして私の事が名前をちゃんと覚えているか
確かめるためにそんな事を?」
「そのとーり、まぁ……次からはちゃんと
『カナ』って呼んでね、スティナちゃん」
「はい、カナさん」
「さてっと……スティナちゃんも落ち着いたみたいだし、食堂に行きましょー」
カナはその場でクルクルと一回転すると、笑顔でスティナの顔を見ながら
そういうと、また前を向き、歩き出す
スティナは落ち着きを取り戻し……カナの後を付いて行きながら気づく
『もしかして……カナさんは私が慌てている事に気づいて……
転んだりして、私に落ち着きを取り戻そうとしてくれたんだ……』
スティナがそう思う反面、顔から床に直撃した形のカナは
鼻を右手で擦りながら歩いていた