第167話-ミナセとロスト-
『おい……俺を持ってどこに行くんだ?』
廊下をロストを持って歩いているミナセにロストは話かけるが
ミナセは口を開かず、裏庭への扉を開ける
そして、ミナセは裏庭の芝生が生えている所に体育座りをし
ロストを自分の目の前に置くと、ロストに話かける
「……ねぇ、ロスト」
『……なんだ?』
「私は変な事をスティナに言っちゃったのかな……」
『変な事? ああ……さっきの話か』
「そうね、言わない方がよかったのかなって今更後悔した……」
『それならどうして教えたんだ?』
「なんとなく……かな、スティナもいい歳だし、教えておこうかなって」
『……まぁ、スティナなら大丈夫だろ』
「そう?」
『ああ、お前の心配しすぎだ、というかだ』
「え?」
『……お前が人のように心配する事ができるとはな』
「な、なにそれ……私だって、人だよ?」
『ああ、そうだな……そうだった』
「だった? まるで私が前は人間みたいな言い方しないでくれる?」
『失礼、ミナセ……今のお前に俺は抜けるか?』
「唐突に何を? まぁ……やってみてもいいけど……」
ミナセはそう言いながらロストを持ち、立ち上がると両手で鞘と柄を持ち
抜こうとするが……抜けない
「あ……ら? 抜けない」
『……』
「ロスト、私が剣を抜けない理由……知ってるの?」
『いや……知らん』
「じゃあ、スティナ以外無理なんじゃないかな……」
『お前はどうして俺をそこまでしてスティナに渡したい?
抜けなくてもお前のほうがスティナなんかより強いはずだ』
「それは……ね、前にも言ったと思うけどスティナを守ってほしいのよ」
『守るか……最近の彼奴は俺を抜く事なく自分の力で戦っている
この後のお前との訓練をすれば、大丈夫じゃないのか?』
「……ふぅ、ロスト、あなたは私に何を言いたいの?」
ミナセは溜息付きながらその場に座り、また先程と同じように体育座りをすると
ロストを目の前に置く
『お前が持てばスティナにたいする被害もない、さらにお前が護衛すれば
ハンナや他の奴らを連れまわす心配はない』
「……そうね、でもだめなのよ」
『何がだ?』
「私がスティナといると今の状態よりも、もっと被害が増える
ロストを私が持ったとして、スティナ達がたちうちできない時に
切り札が必要でしょ?」
『被害だと……?』
「そ、被害……まぁ、細かい事はこのお母さんにまかせて
あんたはスティナの面倒を見てくれればいいのよ」
『何がお母さんだ、子供を守らない時点で親の務めを放棄してるだろ』
「……ロスト、あんたもしかして、スティナとの旅で性格ひねくれてる?」
『知らん……俺は俺だ、意識もあるし性格もある』
「それもそうね、さてっと……そろそろ寝ましょうか
年寄りの話はこれぐらいして……ね」
『年寄り……か』
ミナセはそういうと剣を右手で持ち立ち上がるとスティナが寝てる部屋に戻り
部屋の扉を開けると目の前にスティナが腕を組み、睨むように立っていた
「どこに行ってたの?」
「え? ほ、ほら……久しぶりの再会だし、ちょっと話をね」
「私の剣を無言で持ち出して?」
「一応、私がスティナにあげた剣……」
「でも、今は私のだよね? お母さん」
「そうですね……はい」
スティナの怒った口調にミナセは頭を下げ、反省の顔をスティナに見せていると
ロストがミナセだけに聴こえるよう、小さな声で言う
『……いくら強くても、娘の前じゃ意味はないんだな』
その言葉にミナセは微笑みながら右手のロストを見ると、スティナがミナセの
顔を覗き込み、怒るように言う
「聴いてるの?」
「う……うん、聴いてるわよ、ごめんなさいね、ロストを返すわ」
ミナセはそう言いロストをスティナに渡すとスティナは両手で受け取ったのを
確認したミナセは、一気にベットまで移動するとベットの中に入り、横になり
立っているスティナに言う
「もう夜遅いし、寝ましょう……おやすみなさい」
「……」
スティナはそのミナセを呆れ顔で見るとロストを花束のように抱っこしながら
ベットに入り、自分の横にロストを置くと、体を横にし、スティナは目を瞑る
そんな状態のロストは心の中である事を思いながら寝ることにした
『私の剣か……スティナにそう言ってもらえるとは……少し嬉しかった』