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第166話-スティナとミナセ-2

「少しは落ち着きなさい」


ミナセは優しい声でスティナを両手で抱きしめると……両目を閉じ

スティナの体の震えが収まるのを待つ


そしてしばらく時間がたった頃、スティナは落ち着きを取り戻し

スティナを抱きしめているミナセに話かける


「ねぇ……お母さん」


「なぁに?」


「本当にお母さん1人で産んだの……?」


「ええ、本当よ」


「でも……1人じゃ産めないんじゃないの?」


「……そうね」


『ようは……スティナは拾い子か捨て……』


ロストがそこまで言いかけた時、ミナセは人間離れした動きでロストを持ち

小さな声……それも殺意丸出しなのはスティナが見ても明らかである


「……ロスト、それ以上言うとへし折るわよ」


『……すまない、失言だった』


「よろしい」


ミナセはそう言うとロストを床に置き、スティナの前まで歩くと

笑顔で片目を閉じ、スティナに可愛い声で言う


「……とりあえず、忘れて」


「お母さん……さすがにそれは無理あるよ」


「そ、そうよね……そ、そうだ……スティナ、明日から訓練だし寝ない?」


「お母さん、それで私は捨て子だったの?」


「違う」


ミナセは真面目な顔でスティナの顔を見ながらはっきりと言う

しかし、スティナはそんなミナセを余所にさらに質問する


「お母さん、私は拾い子だったの?」


「違うわ」


「じゃあ……なんなの?!」


スティナは泣きそうな顔で両手を真下に思いっきり地面にたたきつけるような

感じでイラツキをミナセにぶつける、するとミナセはスティナの横に座り

天井を見上げながらゆっくりと話始める


「……スティナ、私があなたを産んだのは本当よ

 年齢だってちゃんと一致してるでしょ?」


「うん……」


「父親がいないのに産めるのは可笑しいかしら?

 そんな事はないと思うわよ」


「でも……」


「信じれないかもしれないけど、私はね……結婚したくなかった

 もちろん結婚なんてしてないけど、でもね……私は子供が欲しかった

 他人の子供を見ると、その感情が抑えられなかった、そんな子供だったのよ」


「私と同じぐらいの歳で、そんな事を思うのは凄いと思うよ?」


「凄くなんかないわ……だって、私のお母さんが私よりも若い時に

 私を産んで、育ててくれたのよ、お母さんは死ぬまで私を心配してくれた

 それが何よりも嬉しかった、だから……私はお母さんがしてくれたように

 私はスティナに愛情を注いでいる……つもり……見えなかった?」


「……お母さんは何もない所で転ぶ人だったと思ってた」


「なにそれ……たしかに私は武器を持たないとだめな子かもしれないけど

 何もない所で転んだりはしてない、スティナ、私はあなたをお腹を痛めた

 のは本当、それだけは信じて、私がだめな子なのはスティナの中だけで」


「……ね、お母さん」


「ん?」


「涙流しながら言われると……言い返せないよ」


「へ?!」


ミナセは慌てて両手を両目に手をやると冷たい水が手に付く


『泣いたのなんていつ以来だったろ……戦いに負けて泣くなんてなかったし

 それに……私が泣けるのはスティナの前だけで……いいかな』


「大丈夫?」


「ええ、大丈夫……大丈夫だからね、スティナ」


そういうとミナセはスティナを抱きしめ、また泣き始めるミナセ

を慌てながら両手をミナセの背中に回し、スティナは心配そうに言う


「お母さん?! 大丈夫……?」


「……」


「お母さん?」


「……スー……スー」


「寝てる……なんなの?」


『さぁな、泣きつかれた子供だろ、さっさと寝かせてスティナも寝ろ』


「ロスト……起きてたんだ」


ミナセをベットに寝かせたスティナは自分のベットにロストを持ちながら

毛布を捲り、ベットの中に入り、小さな声でロストに話始める


「ねぇ……ロスト、お母さんは……どうして私に父親がいないことを

 ここで打ち明けたのかな……」


『さぁな、ミナセの心の内は俺には読めないさ』


「喋る剣ならそれぐらいしてよ」


『……そこまでできたら世界征服できるな』


「魔王ロスト……意外と似合うかも、ただ王座に剣だけってかっこ悪い」


『想像するな、それとスティナ……お前はミナセの前になると

 途端に子供に戻るんだな』


「え……?」


『いや、ハンナやミヤの前だと大人びてるというか……

 そうだな、心配をかけないようにしてる子供だな』


「そうかな?」


『ああ、そうだ……だから、今度からは同じように接してみろ

 そうすれば、お前の仲間も喜ぶ……きっとな』


「剣に心配される……なんて可笑しな光景」


『……お前は大人しいほうがいいかもな』


「どっちよ……」


『とりあえず、俺を床に置いてとっとと寝ろ、明日起きれなくなるぞ』


「はいはい、寝ます」


スティナはロストをベットの横の壁に立て掛けると枕に頭を乗せ横になると

天井を見ながら1人考え始める


『私は皆に心を開いてないのかな……』


そう思いながらスティナは目を瞑り眠り付く


それから数時間後……真夜中、ミナセはベットから起き上がりスティナが

寝息を立てるのを確認するとロストを手に取り、ゆっくりと扉を開け

部屋の外に出、扉を静かに閉めると歩き出す

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