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第164話-ハンナとミヤの部屋-

「で、話ってなんだ?」


ハンナはベットの方に行かず、椅子に座り右足の上にしながら足を組むと

ミヤを見ながら言う


「……それは、お姉様の事よ」


「スティナの事? 何かあったのか?」


「……お姉様のお母さん、ミナセさんが見つかって一緒になって

 あの剣も追いかけられずに済んでる」


「なるほど……簡単な話、私達はもう用済みじゃないか? って事か」


「そうね、私達よりミナセさんの方が10倍は強いでしょうし」


「さらに私達は丁度居心地のいい場所にいる、私は抜かしてな」


「まぁ、そうね」


「……どうだろうな、そればっかりはスティナが決める事だ

 それにミナセさんとの訓練もある、話はそれからでも……」


ハンナがそうミヤに言いかけた時、ミヤは悲しそうな顔でハンナに怒鳴る


「お姉様と別れる事になっちゃうでしょ?!」


「それか……まぁ、いつかは起きる事だ……」


「私は嫌なのよ! この先も……一緒に旅をしたいっ」


「そうだな、それは私も同じだよ、でもな」


「なによ?」


「スティナの探していたミナセさんがやっと見つかったのと

 それと……あの喋る剣がなんとかなるんだ、それは嬉しい事じゃないか」


「……そうだけど、私は……」


ミヤがそこまで声をだした時、両目から涙が零れ落ちていた

そんなミヤの頭を左手で撫でながらハンナは優しく微笑む


「なに、撫でてんのよ……」


「いや、なんとなくな、まぁ、スティナが決める事だ

 私達はゆっくりと待とうじゃないか」


「……うん」


「それと、ミヤ」


「……?」


「さっき、ナリアに渡された荷物だ

 スティナからお前にプレゼントだ、そうだ」


「え?」


ハンナはミヤを撫でるのをやめ、メイドから受け取っていた袋をミヤに渡す

ミヤはその袋を受け取り、中を見ると……

そこには『白と赤のワンピース』が入っていた


「これを私に……?」


「みたいだな、へぇ……白と裾部分が薄い赤色か

 スティナはミヤの事をよく見てるな」


「……よく見てたら赤黒でしょ」


ミヤは皮肉のようなそんな言葉をちょっと拗ねた顔で言うと

ハンナはその言葉に苦笑を浮かべながら言い返す


「違うだろ、お前の『あの態度』なら白、そして戦う姿を赤

 それを合わせたんだ、お前が言う赤黒はミヤ自身の色だろ」


「……ハンナだってそう思ってんじゃないの?」


「ん? ああ……赤黒の事か? 

 私の中だと、ミヤのイメージは真っ赤だよ」


ハンナは微笑みながらミヤにそういうとまた拗ねた顔をしながら

ハンナに言い返す


「……ふん、ハンナの色は灰と赤よ」


「赤はわかるが、灰はなんだ?」


「……年取ってるって意味よ」


「お前なぁ……私はまだ若い」


「私より全然年上じゃん」


「それはそうだけど……ってそれなら年長者に敬語を使え」


「嫌よ、私が敬語の使うのは……お姉様ぐらいじゃない?」


「お姉様って、それなら私もお姉さんだ」


「違うわよ」


「何が……」


その時のハンナとミヤはお互いからかうように笑っていた

それは、お互いに遠慮はなく……腐れ縁のように

そして、ハンナはミヤと話ながら心の中で思う


『やっと笑ったか……どこか辛そうだったからな、よかった』


そうハンナが思う中、ミヤもまた心の中である事を思う


『ハンナ、やっと笑った、ここに来てまったく笑わなかったから、よかった』


それはお互いがお互いを心配し、笑顔になってほしいと心の中で思ったのだろう

それが……相手に伝わったかは、また別の問題である

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