第158話-偶然か必然か-
ミナセは知らない街、土地を適当に歩く
ミナセ自身……土地勘が無い時はとりあえず歩いてみて、気になった場所に
足を踏み入れたりして、知らない街を知ろうとする
しかし……この街は広い……砂漠の村、街、アルストナハトの街の数倍はある
そんな状態で街の中を歩けば、結果はわかってくる
「ここ……どこ?」
ミナセは案の定『迷子』になっていた
迷子と言っても、ミナセの場合は出発した位置すら微妙なので
元々『迷子』だったのかもしれない
「えーと……」
近くに合った店、野菜を売っているお店をミナセは近寄り見る
『……何この通貨……持ってないわよ』
そんな事を考えていると店の主人の男性に話かけられてしまう
「お、可愛いお嬢さん、よければ野菜買うかい? 今ならおまけするよ」
「あっ……いえ、今これしか持ち合わせがなくて……」
ミナセはそういって自分の土地の通貨とアルストナハトの通貨をポケットから
出し、店の主人に見せると、主人は驚いた顔をしながらミナセの掌のお金を1つ
手に取り、ミナセに聴く
「この金はーいったいどこの通貨だい?」
「これは別の土地の通貨です、こっちは『マルク』で、こっちは……」
そうミナセは主人に説明を始めた時、ミナセの後ろから声をかけられる
「そこの女性、少し話を聴かせてもらうか?」
ミナセはその言葉に振り返ると、そこには鎧を着た男性2人がランスを持ちながら
ミナセに話かけている
「えっと……私に何か?」
「その金は偽造か?」
「違うわよ、ちゃんとした別の土地のお金」
「別の土地? 何をふざけた事を……とりあえず、一緒に来て貰おうか」
「遠慮するわ……付いて行ったら碌なことがなさそうだし」
「では、力づくで捕まえさせてもらう」
2人の男性がミナセの捕まえようと動いた時、ミナセは店の主人が持っていた
お金と自分のお金をポケットに仕舞い、走り出す
それを追うように兵士2人はミナセを追いかける
『……あの兵士達弱そうだし、どこかで撒くのが理想ね』
ミナセは走りながら考え、そう思いつく
そして……ある1つの大きな家が見え、ミナセはその家の塀を飛び越え
中に入ると兵士達はすぐさま、その家の玄関へ移動する
『ここに隠れていればしばらくは安全かな……』
飛び込んだ家の庭には木や茂みがあり、隠れるには持ってこいの場所
しかし、その場所にずっといればそのうち、見つかると思い
ミナセは動き始める……
しばらく動いた時、裏庭らしき場所に移動したらしく、数多くの人がいる
『あら……何かのパーティ? 忍びこむところ間違えたかも』
その光景を遠巻きに見ていると1人のメイドの姿をした女性が1人の女性に
話かけている、内容は聴き取れず……多分、私の事言ってるんだろうなと
言うのはミナセにはすぐわかった
そんな時……パーティ側の方のハンナ達にフィルナが話かける
「この家の庭に賊らしい1人の女性が忍びこんだみたいよ」
「……その女性の特徴は?」
先程まで嬉しそうにしていたハンナ達はすぐさま真面目な顔に戻り
フィルナの話を聴いている
「メイドから聴いた話だと……身長はそこまで高くなく茶色の長い髪
背中に大きな剣と腰に3本の剣を刺していた、服装は白いワンピース」
「え?」
その言葉にスティナは少し驚き声をだすとミヤはスティナに話かける
「お姉様? どうしたんですか?」
「えっと……もしかしてお母さん?」
「それはあるんでしょうか? この土地にミナセさんが来ているとは……」
「そうだよね……でも、ちょっと『たしかめてみよう』」
「確かめる? どうやってですか?」
スティナは両手広げ、口の両端に持っていくと大きな声で言う
「お母さーん、いたら返事してー!」
その声はその場のいる人、全員に聴こえる声
もちろん、スティナの母親と言う発言に反応する人はいないと思った、その時
「はーい」
茂みの中から先程、フィルナに話を聴いた同一人物が声をあげ、立ち上がった
その人物に一番初めに声をかけたのがスティナである
「お母さん?! どうしてここに?」
「……スティナ、久しぶり」
ミナセは苦笑を浮かべながらスティナの驚いた顔と声に反応した