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第157話-託された力-

切られた腕を見ながら悪魔はミナセを怒鳴りつける


『……なんで、お前が退魔の力を……』


「さぁ? どうしてだろう……あ、もしかして……」


ミナセはそういうと自分の服のポケットを漁りだす

それはヘンデスヘルスから受け継いだ形見のような物


「あった……けど、これ……ただの石ころよね」


ミナセは気づかない内に『それ』に触り、思ったのだろう


『自分自身に退魔の力が宿れ』と、石はその思いを受け、ミナセに力を与え

そして眠りに付いた、ヘンデスヘルスがミナセに託した石

それはどこにでもある、小さな石……その石に『好きな力』を託してくれる

不思議な力が宿っていた、本当はそれを武器に研磨すればのはずなのだが

ミナセの思いが強すぎたせいで、その手続き的な物を素っ飛ばして

今、ミナセ自身に退魔の力が宿っている


「もしかして、使っちゃった……?」


ミナセはその石と自分の剣を交互に見た後、溜息を付く


「はぁ……好きな力をこんな……それも悪魔にしか使えない退魔とか言う

 力を覚えちゃうなのて……これなら、もっと速く使っておけば……」


『退魔の力をこんな物だと……クロイス! 変われ

 あの力には悪魔には不利だ』


「あいよ」


クロイスは体を反転させ、またミナセの前に立ち、驚いた

ミナセの武器に霧状の物が付いている、しかも……その力を維持したまま

ミナセは平然とした顔でその場に立っている


「お前は人間じゃないな、人間の皮をかぶった化け物だな」


「ば、化け物って……私はちゃんとした人間よっ」


「普通の人間が、そんな大剣を片手でぶん回さねぇ……」


「そう? この武器軽いと思うんだけど、まぁ……そこまで言うなら

 これじゃなくて、こっちを使うわよ」


ミナセはツヴァイヘンダーを背中に仕舞い

腰につけていたショートソードを片手に1本ずつ持つ


その状態にクロイスは内心で『退魔は消えた』と思ったが……

それはすぐさま壊された

ミナセが持っていたショートソード2本にも霧状の物が付いている


「まぁ、俺は悪魔じゃないし……退魔の力は怖くない

 かかってこいよ……化け物」


「だから……化け物じゃないわよ!」


ミナセはその言葉に挑発され、つい……クロイスに攻撃を仕掛けたように見える

しかし、それは違っていた、クロイスに向かってジャンプし飛び込んだミナセは

クロイスの頭上を飛び越え、悪魔の真上から2本のショートソードを両角に刺す

そして、剣を引き抜くとリリア側に飛び降りると、リリアは驚いた表情のまま

ミナセに向かって話かける


「あんた……やっぱり……凄すぎ」


「そう?」


ミナセは『普通でしょ?』と言った表情でリリアに言う

その直後、闇の空間にヒビらしい物と共にガラスの割れるような音がでる


「ちっ……ミナセは悪魔の弱点を? おい……大丈夫か?」


『……折れてはいないがこの空間を維持するのは無理だな、撤退するぞ』


「ああ、次は油断はしねぇ」


クロイス達は闇の中から、どこかへ消えた後

闇の空間は綺麗になくなり……元いた場所に戻ったように見えた


「あれ……? ここどこ?!」


ミナセは驚いた、その場所はここに来る前にいた森ではなく

そこは煉瓦でできたような家で、洋風の町並み


「……さぁね、さっきの奴らが逃げる寸前にどこかに飛ばしたんでしょ

 あとさ、どうして悪魔の弱点が角だってわかったの?」


リリアは頭を左手でかきながら、ミナセに言うと

ミナセはそれにこたえる


「え? なんとなく?」


「はぁ……聴いた私がバカでした」


そういうとリリアはミナセの前を歩き、少し進んだ所で後ろを振り向くと

リリアはミナセに向かって言う


「次あったら敵同士……ミナセとああやって戦うのも悪くなかったけどね」


「じゃあ一緒に来る?」


「いかないわよ、私には私のやらなければいけないことがある

 ミナセだってそういうのあるでしょ?」


「あるわね」


「じゅあ、ここでお別れ……また会いましょ、『化物』さん」


リリアはそういうと街の中を走ってどこかへ行ってしまう

ミナセはその場に立ち尽くしていると、周りの人からじろじろ見られる

それが気になり、歩き出そうとした時、両手にショートソードを持ったまま

そりゃあ……周りの人の目線が痛いわけである


リリアは闇の空間からでた直後に武器をしまっていたことに今さら気づいた

ミナセは慌てて、武器を鞘に仕舞い、周りの人に頭を下げ謝るとその場を

離れ、少し歩きながら……腕組みをし……悩む


『……化け物とか人間じゃないとか……私ちゃんとした母親なのに

 スティナもちゃんと生んだし……握力とかも普通の一般的な人と同じだし』


それをぶつぶつと独り言のように考えながらどこかへ歩いていく

その先の道が『アスミル』家に通じているとも知らずに

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