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第156話-退魔の力-

「どうした? かかってこないのか?」


ミナセはクロイスの言葉に頷きなどの行動を示さず、ただクロイスをじっと

見つめている、クロイスはそんなミナセに襲い掛からず、その場にいる


『やっぱり……あの悪魔と分離できないから、あの場所から動かないのかぁ

 でも、クロイスがこっちに来てもリリアが動けばいいだけなのに……』


ミナセはそう考える、そして1つの疑問にたどり着く


『もしかして……あの場所から動けない?、でもそれだとしても……

 まぁ、細かいことはいいや、試してみようっ』


ミナセはそこから走りだし、ツヴァイヘンダーを右手で持つと

自分が走っている場所にツヴァイヘンダーの先端を付ける形のまま

クロイスに走り込む


「やっと来たか……」


「そうね、じゃあ……せーの!」


ミナセは地面からクロイスの頭めがけてツヴァイヘンダーを振り上げるが

それはクロイスが首を横にし、軽く避けてしまう、それに見たミナセは

剣を振り上げた状態のまま、左足を後ろに下げ、少しだけクロイスから距離を取る

するとクロイスは近いはずのミナセに攻撃を仕掛けてこない


『……違う、地面に何かはない、今たしかにツヴァイヘンダーで地面を擦った

 それでも違うと言うことは……クロイス自身に何かある……?』


「どうした? もう終わりか? お前の力はそんな物じゃないだろ?」


そのクロイスの言葉でミナセは気が付いた

さっきからクロイスは私とリリアを攻撃できるタイミングなんて数多くあったはず

しかし、それをせず、私達の動きを見たり、かわしたりすることが多い

それをひたすらに行うと言うことは『私達を力量を見ている』

と結論にたどり着く、もちろん……クロイスがそう考え

行動しているのかはミナセには不明


「さっきから攻撃の手が緩んでいるぞ?」


「そうね、悪魔との戦いで疲れちゃったかも」


「そうか、だが……後ろのお仲間は元気みたいだぞ?」


クロイスが右腕を上げ、自分の背中のほうを親指でやると

そこにはリリアが悪魔に攻撃を仕掛けている


『……本気をだせ、小娘』


「え? だしてるんだけど?」


リリアは先ほどからスピア2本を使い、悪魔に攻撃を仕掛け続けた

しかし悪魔は器用に両腕を使い、リリアの攻撃を防いでいた

もちろん、スピアの攻撃……突きによる物は普通の人間なら盾などで防ぐが

この悪魔の皮膚は固く、リリアの攻撃を素手で受け止める


『それで本気……実につまらないな……クロイス、殺しても構わないか?』


「ん? ああ……俺が興味あるのはミナセだけだ」


『そうか……ならば死ね』


悪魔は右腕をありえない長さまで伸ばし、距離を取っていたリリアを襲撃する

リリアはその行動に対応が遅れ、悪魔の攻撃を食らいそうになった時

その攻撃をミナセがツヴァイヘンダーで止める


「……大丈夫?」


「あ、ありがとっ……」


リリアは地面にお尻を付き、両手を武器を持ったまま、地面に手を付けている

その表情は驚き、まるでミナセが助けに来るのがおかしいような表情である


「ここで私が死んだほうが楽だったんじゃないの?」


「バカじゃないの?! ここでリリアが死んだら2対1で私が不利でしょ

 それなら、今は仲間のリリアを助けるわ」


「……そうだったね、でも……あの悪魔の体固すぎ、攻撃が通らない」


「知ってる……」


「不利だよね」


「ねぇ、リリアはクロイスのほう、頼める?」


「別にいいけど、ミナセが悪魔のほうやるの?」


「そうよ……今はあいつら動いてこないから、こうやって話せてるし

 チャンスは今しかないわよ」


「了解、今はミナセを信じてあげる」


「ありがとっ」


そういうとリリアは起き上がり、今の位置からクロイス側に回り込む

しかしクロイスはミナセのほうに向かず、リリアを見ている

そして悪魔はミナセを見ながら言う


『今度はお前か……』


「ええ、そうよ……悪魔って、退魔の力に弱いのよね?」


『……よく知っているな、だが……あの力は昔に消えたはずだ

 だから、今私達を倒すすべはない』


「ふーん、要するに……悪魔を倒したいって気持ちを剣に込めればいいのね」


そうミナセは言葉を発すると両手でツヴァイヘンダーを構え

両目を閉じ、なにやら集中を始める

悪魔はそんなミナセを鼻で笑い、あえて攻撃を仕掛けなかった

だが……それをしなかった事を後悔する出来事が今、目の前で起きた


「こんな感じ?」


ミナセは目を開け、ツヴァイヘンダーを見ると剣の周りに白い霧状の物が

剣にまとわりついているように見える、それを見た悪魔は動揺しながら

ミナセに話かける


『お、お前がどうして退魔の力を……もしや、英雄か何かの生まれ変わりか?』


「違うけど……あ、でも……あんたみたいな奴より、ずっと強い人を知ってるわ」


『ほぅ……名前を聴いても構わないか?』


「ええ、ヘンデスヘルスって名前よ」


『……ヘンデスヘルスだと……あの……大悪魔を知っているのか?』


「大悪魔かは知らないけど、私の友達で私が倒した相手よ」


『倒した?! だと……』


それを聴いた悪魔は動揺を隠せなかった、ヘンデスヘルスは昔、悪魔の中でも

上位に君臨し、その強さ、そして凶悪さは悪魔の中でも1、2を争うレベル

と言われていたほどだ、そんなヘンデスヘルスを友と呼び、倒したという

目の前の女は何者なのかと……悪魔は再び疑問に思う


「……で、お話はもういいかしら? この力、試してみたいんだけどっ」


その言葉とは裏腹にミナセが悪魔に向かってジャンプし空中から剣を上段に構え

悪魔に向かって思いっきり振り下ろす、それを悪魔は左腕をだし、防ごうとした

時……悪魔の左腕は綺麗に切り落とされ、地面に落ちる


「あら? 切れちゃったわね、なるほど……これが退魔の力……

 意外と簡単にできる物なのね」


ミナセは悪魔を切った場所から後ろにバックステップしながら

珍しい表情で剣を見つめていた

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