第153話-ミナセの憶測、辿り着いた答え-
この空間は四方が闇……暗闇でできている、と言っても薄暗い程度なので
足元や遠くの人を見る事はできる、ただし……足元は暗く、なにか足が付ける
場所らしき所にいるぐらいしかわからず、ここがどこなのかは不明である
ここにいるのは私とリリア、そしてケインというフードを被っている男性
ケインは私達よりも速くここに来ており、『敵』らしい影人間と戦っている
私達がここに来たのは……この闇の場所かは不明だが『謎の手』がリリアを
掴み、闇の中に引きずり込もうとしたのを私が巻き込まれた形になる
それ以外にわかった事は……何故だか知らないが、食事をとらなくていい事と
お手洗いにいかなくても平気と言う事らしい
この辺が、ケインの話や私が見た事をまとめて考えた事であり
ここから出る方法は今も不明である
ただ、そんな中、私は1つの疑問があり、ケインに聴いてみる事にした
「ねぇ、ケインさん……ここってどこまで行っても闇なんですか?」
「ん? ああ、そうだな、俺は試しにかなり歩いたと思うが
特に何もなかったし、何かがあったわけじゃないな」
「……じゃあ、ケインさんはどうして『ここ』まで戻ってこれたんですか?」
「それは、適当な物……ようは剣の鞘だったり置いて目印にすれば
それを目指して戻ってこれるからな」
「なるほど……」
そこで私は気づく、どこまでも闇が広がってるわけではなく
物を置いて戻ってこれるのなら……それは無限の闇ではない
それも置いた物が闇に吸い込まれたり、影に回収されるわけではないから
置いても安全と言う事は理解したし、ケインさんのお陰で少なからず
光が見えた
「で、ミナセは何かわかった訳?」
「そうね……ここは闇だけど、無限に広がってるわけではないし
ケインさんが言ってる『影人間』もたまにしかでてこない
それを踏まえると……ここは誰かが作った物なんじゃないのかって」
「誰かが? こんな馬鹿げた空間……作れる方が凄いと思うんだけど」
「これは憶測だから、鵜呑みにはしないでね」
「わかってるわよ……でも、ミナセって以外に頭回るのね」
「そんなことはないわ、これぐらい少し考えれば誰でもできるわよ」
私とリリアがその会話をしてる間、ケインさんは下を向き、寝ているのか
ただ話を聴いているのか……それはわからないが、会話に入ってくる様子はない
人見知りと言う訳でもないのだから、ここから脱出する方法を考えるのを
手伝ってくれても罰は当たらないと……私はそう思った
そんな時、私達を取り囲むように周りから影の人間……ではなく
影は影でも頭に2本の角が小さく付いている悪魔らしき影
手は爪が長く、体系は人間とそう変わらない
「……ケインさん、影は人間の姿をしているんじゃないんですね?」
「……そうだな、俺も始めてみた、こんな影もいるんだな」
しかし……その時のケインさんの口調からは焦りもないし、悪魔を見たという
驚きの感じも捉えられず、どこか冷静に武器を構えただけである
だけど、リリアは違っていた
「ね……ねぇ、ミナセ……あいつらの頭に角が生えてるんだけど……」
「それは見ればわかるけど?」
「……何あれ?」
「悪魔じゃないかな? ほら、本とかで見た事あるでしょ?」
「ないわよっ!」
リリアは私にそう怒鳴る……私もこのリリアと言う人物はついさっき
知り合いになったばかりで、敵だった相手だ
最初は別の土地から来た……またはまた別の場所からと予測したのだが
ここまで話をした段階でリリアは明らかに『人間』その者である
これがもしも、人間でなく異界の人物だったりしたら、私は裸踊りでも
して良いぐらいの気分になり、笑いがこみあげてきて、つい……リリアの顔を
見ながら、笑顔になってしまうと、リリアは私に怒鳴る
「何? 私がその悪魔を知らないから馬鹿にしてるわけ?」
「違う、違うわ……気にしないで」
「……そっ、まぁ……とりあえずはこっちの出方を見ている悪魔を倒そ」
「ええ、そうね」
「了解だ」
私とリリアが話をしている間、悪魔達はこっちを攻撃してこなかった
何かを待っているのか……それとも、誰かが動くのを待っているのか
それはわからない、ただ1つ周りを見た時、『ある』事をしてみたくなった
ので、リリアに小さく耳打ちをする
「リリア、ケインさんが動いてから動いて」
「は? どうして?」
「お願い」
私とリリアの会話を横目でこちらを見てくるケインさん、もちろん相手の影も
こちらを襲ってくる様子はない……それに気づいたのかリリアは頷き武器を構え
敵を見ながら、ケインさんに話かける
「ケインさん……私、悪魔と戦った事なくて……どうしたらいいか」
「……なるほどな、ミナセも悪魔を見るのは始めてか?」
「はい、始めてです」
「そうか、ならば俺が先陣を切ろう、行くぞ……!」
ケインさんが1歩前にでた時、影は動き出す
そう……私はケインさんと話をしている間、姑息にも足を動かしていた
1歩前にだしたり、下げたり……リリアを壁にしながらだけど
それのお陰で結果、ケインさんが動いた事により影が動きだした