第144話-一瞬の判断が命取り-
ミヤはその傭兵の男性から距離を取り、ダガーを構える
それは相手が拳なら誰もが考える手であり、正攻法とも言える
しかし、相手の男性は微笑みながらある行動を取る
「そんな物はわかってんだよぉ……なら……これはどうだ?!」
その男性は『縮地』を使い、ミヤとの距離を詰め
ミヤに向かって右からのアッパーを繰り出す
それを間一髪、ミヤは後ろに避け回避するが、避けた位置には空気が切れた
ような鋭い素振りのような音が出る、それはまるで真剣を何もない所に振った時
に出る音のような……鋭い音
『当たったらまずい……』
ミヤはそう思いながら男性から、さらに後ろに距離を取るため、バックステップを
するが、また『縮地』で距離を詰められ、今度は左手からの突きが飛んでくる
それを左手のダガーで受け止める事に成功するが、ミヤの左手はその衝撃で
痺れてしまう……そんな時、その男性はハンナ側にいる『ある人物』と眼があい
その男性は驚きの表情でハンナ側から慌てた感じでフィルナに飛び退くと
大声で『その人物』に向かって叫ぶ
「ど、どうして! どうして……あなたがここにいる?!」
エステはその言葉にすぐ気づいた、その言葉は『アスク』に向かって言われた
言葉だとしかし、エステの予想は、次の男性の言葉によって簡単に打ち砕かれた
「フィリシナ・アーティベルク……」
「あら? 私を知ってるの?」
「もちろんだ……傭兵の中でもっとも華麗にそして、『一陣の薔薇』
と呼ばれたほどの人物を知らないほうが馬鹿だ……」
「……その件は悪いけど、戦いが終わった後でいい?」
その言葉に男性が頷くが既に時は遅く、エステはフィリシアに話かける
「フィリシア……お前は傭兵だったのか?」
「え、ああ、そうそう……お小遣い稼ぎに少しやってただけっ」
「そうなのか? その割には『一陣の薔薇』とかいう異名まで付いている
じゃないか……それなのに……」
「エステ、悪いけど、その異名? は嫌いなのよ、薔薇なんかじゃないから」
「そうか、悪い事を聴いたな」
「いいわよ、気にしないで」
エステはフィリシアの態度と口調を聴くとすぐに聴くのをやめた
『一陣の薔薇』はフィリシアの中で聴かれたくない過去なのかもしれと
それに、人には1つでも……嫌な過去、喋りたくない過去があるのだから
「……あの人を凝視するのはいいけど、あなた死ぬよ?」
「?!」
その男性がミヤが眼を離した時には既に時は遅く、ミヤは『そこにいない』
エルフの大陸見せた『ハイド』よりもさらに影が薄く、まるで消えたように見える
だからこそ……その男性がミヤの殺気に気づくことはない
「……よそ見なんかするから、こうなる」
気づいた時にはミヤは男性の背後を取っており、手刀を首に当て気絶させた
どんな優秀な人間だとしても、一瞬の油断が全てをだめにする
それを証明するかのような、そんな一戦であった
「まったく……高いお金を払ったのに、ほとんど負けてるじゃないの
こうなったら私がでるわ、この勝負に勝ったほうが勝ちよ」
じゃあ、今までの戦いは何のためにと思わせるフィルナの言葉に皆が思ったが
合えて誰も突っ込まず、フィルナが前に歩いてくると同時にハンナも前に歩き
だした時、フィルナはフィリシアを指刺し、話かける
「フィリシアさん、あなたが私の対戦相手よ、お互い『レイピア』が得意よね
それをここで証明しましょ? もしも私が勝ったら、あなたの2つ名も
私にちょうだい? 薔薇なんて美しいじゃない」
「……今すぐにでもあげられる物ならあげますが?」
「あら? それは私に対する皮肉? まぁ、良いわ、フィリシアさん
対戦相手に指名してもよいかしら?」
「ええ、私も少し……戦いたい気分ですので」
フィリシアはチラッとエステのほうを向くがエステはミヤと話をしていて
フィリシアを見ていない、しかし、スティナはそんなフィリシアに話かける
「フィリシアさん……ハンナさんは『まかせた』と言ってます
ハンナさんがいなくなったら嫌なので、どうか勝ってください」
その言葉を聴いたフィリシアが右手をスティナの頭に乗せると髪を
くしゃくしゃになるまで撫でまわすと、笑顔でスティナに言い、前に出る
「私は負けないわよ、だから……あなたは黙ってみてなさい」
スティナは髪を直しながらフィリシアに向かって笑顔で言う
「はいっ!」
その笑顔にフィリシアは少し溜息を付くと、無造作に端っこに置かれたいた
武器の中から1本のレイピアを取る、元々はフィルナ側が勝手に用意した
武器達なのだが、フィリシアはそんな事を知ってはいない
「……私はこれでいく、あなたは?」
「私? 私はもちろん、これよ」
フィルナは傭兵の1人から1本のレイピアを受け取る
それは、持ち手部分に黄色い薔薇がつけてまるで『貴族のレイピア』
とも言えるような武器、ただしフィルナに至って高級なだけで使う武器
ようは見世物武器で戦うような事は行わないとハンナは思った