第142話-今ここに繋がる思い-
スティナ、エステ、フィリシア、アスクが服屋を出た直後
メイド服を着た女性が息を切らしながら……スティナに声をかける
「あ……あなた、スティナさんですよね?!」
「え……はい、そうですけど……?」
いきなりメイド服の女性に話かけられたスティナは驚いた表情をしながら
メイド服の女性の質問に答える
しかし、エステとアスクは警戒してかスティナの前に立ち、メイド服の
女性を睨む、そしてアスクが、その女性に声をかける
「……誰かの使いか?」
「はい、実は……」
メイド服を着た女性は今現在、ハンナの家でフィルナとハンナが戦っている事
現在はハンナ達のほうが優勢で……ハンナ側のメンバーにメイド達が入っている
事を説明した所でエステは走り出す、それに続く形でスティナ達もそれに続くが
その話に理解できないフィリシアは後ろから付いてくるメイドを少し見た後
エステに向かって話かける
「どういうことなの?」
「え? ああ……まさか、俺達が留守にしてた間にハンナの母親が
ハンナに戦いを申し込むとは……急がないとやばいかもしれない」
「……ハンナってエステの……彼女か何か?」
「いや? 仲間だが、あの人がかけるとスティナが悲しむからな」
「……そっ」
そこでフィリシアは走る速度下げ、スティナをお姫様だっこすると
速度を上げ走り出す……その速度は足が速いはずのスティナさえ、置き去りする
ような……そんな速度、エステが声をかけるよりも速くエステ達とフィリシアの
距離はみるみると広がる
そして走りながらフィリシアはだっこしているスティナを見ると心の中で思う
『まったく……エステはスティナスティナスティナ……それにハンナって誰よ
あーもぅ、でも……エステが困っているのなら助けないと……ね』
「あの……フィリシアさん?」
そのな事は知らず、スティナはキョトンとした顔でフィリシアに話かける
それに少しイラッとしたのかもしれないがフィリシアは笑顔で聴く
「どうしたの? スティナちゃんも急ぐんでしょ」
「それは……そうですけど、どうして私を?」
「え? 私の『一番早い』速度に追いつける人いないし、一番軽くて
それに道を知ってるのがスティナちゃんだから?」
「……フィリシアさんは私との戦いで本気をだしてなかったんですか……?」
「……さぁね、だしてたかも知れないし、だしてなかったのかもしれない」
フィリシアの曖昧な言葉にスティナは頭に『?』を浮かべるような表情をするが
そんな事は気にせず、スティナに言う
「で、向かう先は『アスミル』家でいいのよね?」
「え? ハンナさんの家を知っているんですか?」
「ハンナって人は知らないけど、フィルナさんは有名だから知っている
一度だけレイピアの講習には参加した事あるし、場所は覚えてる」
「じゃあ……案内はいらなかったんじゃ……」
「……エステがあんたの心配ばかりするからよ」
「え?」
フィリシアの最後の言葉をスティナは聴き取れず、疑問の声をだすが
フィリシアは何も言ってないような表情で走り出す……
そして、数十分話をした頃にはアスミル家の入口の門までたどり着く
しかし、そこでフィリシアはスティナを降ろさず、メイドに言われた通り
裏庭まで走り出しながらスティナに言う
「たぶん……もう戦いは始まってる、もしかしたら……ミヤって子もいるかも
服は誰かの借りてるか、そのままの状態か……とりあえず急ぐよ」
「はいっ!」
そして、フィリシアが裏庭に辿り着いた時には、服が破れたままのミヤが
相手であろうか男性の目の前で何も持たずに立っている
その状態を構いもせず、だっこされたままのスティナは鍛冶屋で作った貰った
武器をミヤに向かって投げた後、スティナはミヤに大声で言う
「ミヤっ! それ受け取って!」
その言葉に反応したミヤは後ろを振り向き、上から飛んでくる『それ』を片手
で2つとも取り、手元に引き寄せ……それを見る
「これは……」
茶色の2つ鞘……ミヤはスティナに言われた通り、鞘を腰に付け
そして、鞘から2本のダガーを引き抜くと……ある事に気づく
『これ……私の名前が掘ってある……それにとても綺麗で手に馴染む
もしかして……これを私に渡すためにお姉様はどこかに行ってた?』
「ミヤっ! 頑張って!」
スティナの声援が後ろからミヤの耳に聴こえる……
その言葉は誰からの言葉より、ミヤ自身に力を与えてくれる
その言葉に答えるべく、ミヤは首を横に向け、スティナの顔を見ると
笑顔で答える
「もちろんっ……この武器に答えるために全力で頑張ります!
後、この武器、名前ってありますか?」
だっこされたままのスティナは少し恥ずかしそうにミヤに答える
「キリング・オブ・ダンス……私が付けた名前……」
「キリング・オブ・ダンス、お姉様が付けてくれた武器の名前
良い名前です」
その話に割り込むように相手の男性が地面に2本のロングソードを突き刺し
ミヤに向かって怒鳴る
「おい! いい加減しろ……何時まで俺を待たせるんだ!」
その言葉を聴いたミヤは睨むように相手の男性を見る
その目には『殺意』が込められているように……相手の男性は捉えた
その表情のまま、ミヤは男性に声のトーンを落とした低い声で言う
「……お姉様との会話に割り込むな……それに煩い、だから、さっさと倒す」
「さっさっとだぁ?! さすがの俺でも気分がわりぃ……手加減しねぇぞ」
「手加減? バカは休め休め言え、三下」
「……このっ! いい加減しろー!」
相手の男性は怒り狂ったようにミヤに突撃してくる
それに『この人、短期すぎ』と言った表情で首を横に振った後
武器を構え、臨戦態勢を取ると、小さな声で独り言を言う
「いくよ……キリング・オブ・ダンス、私とあなたの初陣
お姉様にかっこいい所見せよう……」