第141話-見えない武器、見えた先に-
「ああ、そうそう……この試合に勝った方が2戦勝利ってことで」
戦いが始まる瞬間にフィルナが笑顔でいる
フィルナ側に得する事はあるが、ハンナ側に得することは何一つない
そんな内容にナリアやミヤが食って掛かろうとしたが……ハンナはそれを止め
フィルナに向かって言う
「それでいいのですか? 後悔はしないでくださいね」
「ええ、もちろん」
ハンナはその条件を飲んだのだ
もちろん……ハンナ側からしたら『どうして?!』と思う事なのだが
ハンナは自身に満ちた表情でメンバーに言う
「大丈夫だ……アスミが負けるわけないだろ?」
その言葉にハンナ以外のメンバーは頷く、しかしミヤ一人頷く事はなく
難しい顔をしたまま、アスミとその対戦を見ている
「あらあら……私達の知らないところで盛り上がってるわね」
「そのようだな……」
アスミの目の前にいる女性はセーターのような服、鎧じゃなくて服な当たり
攻撃を当たる事がない自身、そして下はロングの茶色のスカート
まるで私服のように見え、髪はブロンドのロング
武器を隠し持っているようにも見えない
だからこそアスミは懐に飛び込み、その女性に左手で持っていたナイフで
斬りかかろうとした時、アスミの持っているナイフと何かが激突し
金属ような音が周囲に響き渡る、それに警戒してかアスミはその女性から距離を
取り、その女性を見るが、女性は笑顔のまま、両手を顔ぐらいまで上げ
こちらに両手を広げ、振ってくる
『……何だ、今の金属音は……あの袖に何か隠しているのか?』
「どうしたの? もう攻撃はおしまい? じゃあ次は私っと」
その女性はアスミに向かって腕を振り上げ、上から拳を振り下ろそうとする
それをナイフで受け止めればいいのだが、アスミは後ろにステップし
女性から距離を取る、そして女性の拳が何もない所を殴り空振りした時
女性は笑顔でアスミを見ている
「メイドさん、予測どーり」
その瞬間、アスミのほっぺ付近がかすり傷のように薄く線ができる
アスミが斬られた事、そして、その女性が武器をだした仕草はない
『クソッ……あいつの武器が見えない……』
「ふふふ、もしかして私の攻撃に気づかないの?」
アスミは図星を取られたが……その表情を表にだすことなく笑顔で女性に言う
「いいえ、ほとんどわかっております」
「そ……でもね、これでゲームセット」
その女性が左手を広げ上に上げた瞬間、アスミのメイド服が引き裂かれる
切れた服を片手で押さえ、左手のナイフを地面に落とし開いている右手で
ナイフを持ち、態勢を整える
しかし……既に手遅れなのか……アスミに余裕はない
「ふふ……今やっと気づいたみたいだけど……ごめんね、もう遅い」
「……みたいだな、ここは私の負けだ、降参する」
アスミは両手を上げ、降参の意志を示した時、フィルナは大きな声で言う
「何言ってるの? あなた達はほうは気絶……または瀕死になったら終了よ
だから戦いは終わらないわ」
「だ、そうだけど……続きを始めて良いかしら?」
その女性は笑顔で続きを始めようとしている、ハンナが大声で何かを言っている
ようだがアスミの耳にその声は届かないほど集中している
『なるほど……いけ好かないばばぁだ……なら……せめて』
アスミはその場で体を横に捻る……
その行動を見た女性は苦笑をしながらアスミに向かって言う
「何をしても無駄よ、無駄……大人しく切り刻まれなさい」
「大人しく? 生憎……大人しくは嫌いなんだ」
アスミはその場で回転しながら、右手に持ったナイフそして、先程地面に落とした
ナイフを蹴り上げ、左手でナイフを持つ
その回転は周囲の『何か』を斬っているように見える……だがアスミに
その後を戦う気力も集中力もないのだろう
回転をやめたアスミはその場で立ち尽くしている
「……すごいわね、最後の気力で私の『糸』を斬るなんて
でも、それが何の意味があったの?」
「……この後、戦うお客様とハンナが触れないように……かな」
「さっすがメイド……最後の最後まで良い根性だった……よ」
女性はアスミのお腹を思いっきり殴る、それを防ぐ術がないアスミは
その衝撃で吹き飛ばされ、ハンナの目の前まで吹き飛ばされた後、気絶する
それを見たハンナは怒り、フィルナに怒鳴る
「降参したんだ! どうしてあそこで止めなかった?!」
「あら? 私には『聴こえなかった』わよ、だから続けちゃったのよ」
その言葉にハンナは自分の武器を構え、殴りかかろうとした時
ミヤはそれを止めるため、ハンナの目の前に右腕をだし、ハンナを制する
するとハンナはミヤに怒鳴る
「どうして止める!?」
「落ち着け……これはハンナの冷静差をかくためにワザとやった
だからこそ……気絶しているメイドが最後に頑張ってくれた技を無駄にしちゃ
いけない、だから……次は私が行く」
「ミヤ……だが、お前には武器がないだろ?」
「素手でも戦える、問題はない」
ミヤは武器を持たず、気絶し倒れているアスミの横を歩き前にでる
すると相手の傭兵の男性が両手に剣を持ち、前にでてくる
「お前も素手かよっ……ったく……今度は餓鬼かよ」
「あん? 調子に乗るなよ、『三下』」
「ほぅ……餓鬼が目上の人に向かって三下だ!? 泣いて謝っても許さねぇぞ」
「上等……さぁ、きなよ」
ミヤは左手を前にだし、目の前の男性を挑発するかのように手招きする