第134話-過去の物語-サードフェイズ-
こうしてメイド達はハンナのためにハンナの母親、フィルナに頭を下げ
ハンナの鍛錬を引き継いだ、ただし条件がある、その条件とは
『ハンナに対して手加減を禁じる』
理由は簡単だ
メイド達がハンナに対して手加減をするか、または遊んでしまわないように
そう言いたいのだろう……
だけどメイド達は『はい』と答える、答えるだけなのだが……
それはお互いがお互いの腹の探り合いをしているのである
『まったく……メイド達は何を考えているのかしら
ハンナがメイド達に何か言った? それはないはず……
私がハンナをメイド達に近づけなかったんだから』
『……こいつは腹黒いな、私達を利用する気満々だな
さらお嬢様を躾ける役目と言う嫌な役を私達にまかせるとは』
フィルナとアスミの2人はお互いを見ながら心の中でそう言っている
これが口からでれば……何が起こるかは一目瞭然なのだが……
それをしないあたり2人は『大人』なのかもしれない
「では、奥様、お嬢様の鍛錬をお引継ぎさせていただきます」
「ええ、頼んだわよ」
そしてアスミがフィルナに一礼をし、部屋を出、扉を閉めるとフィルナに
気づかれないように急ぎ足でメイド達の部屋に戻り、部屋に飛び込む形で
入るとメイド2人とハンナに片手でブイサインをし、息を切らしながら言う
「やったよ、ハンナの鍛錬引き継ぐことができたっ」
「ほんと?! これでハンナと遊べるね!」
「うんうん、アスミ、やるじゃん!」
「あーだが……1つメンドクサイ事があってな……」
アスミは先程のフィルナとの会話をする
するとカナとナリアは驚いた顔をしたが、ナリアはすぐに微笑みながら言う
「厳しく遊べばいいのね?」
「ナリア……厳しく遊ぶってどうやってだ?」
「そんなの簡単でしょ? 鍛錬は鍛錬でも楽しくできれば問題なし」
「うん、そうだねっ! ナリアちゃん良い事言うねぇー」
「でしょー?」
ナリアはカナに向かって笑顔で言い、カナはそれを納得している
しかしアスミだけは首を傾げ、頭の上に『?』をだしているような顔をする
それを見たハンナはアスミのメイド服の裾を引っ張る
するとアスミはそれに気づき、ハンナに目線を合わせる
「どうしました?」
「アスミって……頭硬い人?」
「う……そ、そんなことはないですよ、私は頭柔らかいです」
「じゃあ、ナリアが言った事わかるよね?」
「え、ええ……もちろん、厳しく遊ぶんですよね、まかせてください!」
アスミはハンナの目の前で両手でガッツポースをするが
ハンナの目線はどこか信じていないような目にアスミは後ろに1歩引いてしまう
それを見たナリアがハンナの前で両膝に両手をやりながら言う
「さ、ハンナ、今から鍛錬やろうかっ」
それを聴いたカナが部屋の扉を開け、扉の外にで、顔だけを部屋の中
に向け笑顔で言う
「じゃあ、今から競争ねっ! 一番最初に付いた人順だからぁー」
そう言うとカナは早歩きで歩きだしてしまう、それに慌てたアスミが
同じく部屋を飛びだしながらカナを追いかける、それを微笑みながら見た
ナリアはハンナの右手を握るを手をつなぎ歩きだす
「さぁ、ハンナ……今日が楽しくなるといいね!」
「うんっ!」
メイド達とハンナの鍛錬が始まる