第131話-自分を理解してくれる人達-
「こっちは準備できたわよ、ハンナ、あなたはできたかしら?」
「……そんなに早く準備できるわけない」
「あら? それならあなた達の不戦勝ね」
「……そういうことね」
ミヤはそこで気づいた、フィルナは試合をするとは言ったが
『何時?』までは指定していない、それも次の日とも言っていない
ようは……それを聴かなかったハンナ達が悪いと言う事になる
それに気づいたミヤはフィルナに話かける
「でも試合ってどこでやるのかしら?」
「それは決まっているわ、私の家の裏にある、訓練所よ」
それを聴いたミヤは小さな声と共にハンナの脇腹を肘で押す
「なんであんたの家に訓練所なんてあるのよ」
「……母親がレイピアの先生をやっていてな……それを教えたり
馬術をやるのに作った」
「で、どうするのよ、この状況……」
「簡単な話だ」
ハンナはミヤと小言で話をしている目の前でフィルナはしてやったりと
言った顔微笑んでいる、そんなフィルナにハンナは声をかける
「すみません、お母様、こちらは2人で始めさせてもらっていいでしょうか?
私達2人の後の試合は不戦勝になるかもですが、それでどうでしょう?」
「嫌よ、人数を揃わなければそっちの負けよ」
「貴族と言うのは本当に我儘ね」
「ええ、そうよ……それに私が先に試合を言ったのよ、それに納得したんだから
こっちがルールを決めても問題ないわよね?」
そんな時……フィルナの後ろからメイド服を着たハンナよりも年上の人達が
5人が手前で腕を組み、ハンナに声をかける
「お嬢様、私達が数合わせになります、多少の武術はありますので
戦う事はできますよ」
「あなた達……」
「ねぇ、ハンナ、あの子たちは?」
「あれは……」
ハンナが答えようとした時、メイド達を見たフィルナが答える
「ハンナの親衛隊だった子達よ、今は家の中の事をまかせているのだけど
まさか……あなた達が私に刃向うとは……」
そう言いながらフィルナは横眼でメイド達を睨むがメイド達は毅然とした態度で
フィルナにメイド達は全員頭を下げ、フィルナに言う
「申し訳ありません、奥様、私達はお嬢様のためにここにいましたので
お嬢様が帰ってきた今はお嬢様のメイドです」
「……それなら、この勝負で負けたらわかってるわよね」
「それはもちろん、ですが奥様、お嬢様達は負けませんので」
「随分な言いようね……良いわ……あなた達が負けたらメイド達はクビ
ハンナは結婚いいわね」
「はい、ですが1つ、お食事の準備などがありますのでご飯を食べてから
でよろしいでしょうか? お嬢様は何も食べていないようですし」
「……お腹が減って負けたとか言われたらそれもそれで恥ね
良いわ、待ってあげましょう」
そう言うとフィルナはそそくさとその場を早歩きで離れていってしまう
それをフィルナと話していたメイドの1人が笑顔でハンナにウインクする
そうそれは……ハンナのためにわざと時間を稼いでくれたのだ
「それとお嬢様、先程メイドの1人にお嬢様のお連れの人達を探すように
言いました、ここに一度来客に来た人達の顔は覚えているので問題ありません」
「何からなにまですまない……というか良いのかあんな約束して」
「構いませんよ、あの奥様の下で働くのは少々疲れてしまったので
それにお嬢様とばたばた家の中で追いかけっこするのが楽しいですし」
メイド達は昔話を聴いたかのように笑い出す
それはハンナが小さい頃……ずっと一緒にいてくれたメイド達
今はハンナが成長してメイド達は30代なのだが、その顔つきは美人
30代とは思わせない体つきと顔である
「そうか……じゃああの疲れる奥様がまた怒鳴りに来る前にスティナ達を
見つけてくれないと困るな」
「ええ、そうですね、お嬢様」
ハンナは笑いながらメイド達にそう言う、それを隣で見ていたミヤが
心の中で独り言を洩らす……
『……あなたにもちゃんと理解してくれる人達がいるじゃない
これはますます負けられなく……でもどうしよう、武器ないわね』




